本命強し! ニューマーケットの2歳GⅠ

昨日のニューマーケット競馬場オクトーバー・ミーティング二日目、開催の目玉となる2歳馬のGⅠ2鞍が行われました。
この日は第1レースから4レース続けてパターン・レースというプログラム。順に紹介していきましょう。

まず第1レースはオー・ソー・シャープ・ステークス(GⅢ、2歳牝、7ハロン)。昨日に引き続き雨の中、重馬場での競馬です。
1頭取り消して10頭立て。1戦1勝、2頭の無敗馬が注目されます。オブライエン厩舎のルック・アット・ミー Look At Me が10対3の1番人気、スタウト厩舎のハヴァント Havant は11対2の3番人気。
中を割って7対2の2番人気は2戦1勝、ゴドルフィンのコウラー Khawlah でした。

レースも3頭の争いになりましたが、結果はやや一方的。出遅れ気味のスタートを切ったハヴァントでしたが、ペースが遅かったために直ぐに馬群に取り付き、ゴール前1ハロンでスパートしての快勝です。
2着は3馬身4分の1差が付いてルック・アット・ミー。更に1馬身4分の3差でコウラーの順。

冒頭に書いたように、ハヴァントはサー・マイケル・スタウト師の管理馬、ライアン・ムーア騎乗。同馬は8月に同じニューマーケットの7ハロンで新馬勝ちした逸材で、スタウト厩舎の来シーズンのクラシック候補に名乗りを上げました。
1000ギニーのオッズは、現時点で14対1。

続いて第2レースはジョエル・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル)。ここは2頭の取り消しが出て9頭立て。

このマイル戦も人気馬同士で決着、4対1の2番人気シティースケープ Cityscape が7対2の1番人気ペニテント Penitent を破って優勝しました。
これもレースは一方的で、勝馬と2着馬の差は7馬身の大差。ハナ差3着にはフェアー・トレード Fair Trade が食い込んでいます。

シティースケープはロジャー・チャールトン厩舎、スティーヴ・ドラウン騎乗の4歳馬。
3才時にクラシックに乗った器でしたが、チャールトン師によれば、馬場の固かった2000ギニーに出走させたのが失敗(15頭立て着)。これが馬の成長を遅らせてしまったそうです。

今期はハンデ戦やリステッド戦を中心に競馬、久し振りのパターン・レース挑戦で彼本来の実力を取り戻した模様。今シーズンは海外遠征も計画されているようですし、まだまだこれからが期待できる存在でしょう。

いよいよ2歳のGⅠ2連発。最初は牝馬によるチーヴリー・パーク・ステークス(GⅠ、2歳牝、6ハロン)。

11頭立ての1番人気(7対2)は、ラウザー・ステークス(GⅡ)、サイレニア・ステークス(GⅢ)とパターン・レースを連勝中のフーレイ Hooray 。陣営では重馬場に不安があったようですが、外の10番枠からポンと出て外ラチ沿いに先頭、そのまま他馬を寄せ付けずに逃げ切ってしまいました。

4馬身半差離された2着にリムス Rimth 、更に1馬身4分の1差3着がマカーシド Maqaasid 。

既に何度も紹介しているように、フーレイはサー・マーク・プレスコット厩舎所属、セブ・サンダース騎乗。レース名に相応しく、チーヴリー・パーク・スタッドの所有馬です。

プレスコット師によれば、前回走った重馬場では能力が出せなかったフーレイ、これほど見事に克服するとは考えていなかった由。来年の1000ギニーについて、師は1マイルをステイすることには疑問を抱いていますが、それも間違いであって欲しい、というのが本音のようです。
ブックメーカーもその辺を加味し、1000ギニーのオッズ33対1は現状のままで変更ありません。

最後、第4レースはミドル・パーク・ステークス。ここは大物が誕生しました。

8頭立て。5対4の1番人気に支持されたドリーム・アヘッド Dream Ahead が、2着ストロング・スート Strong Suit に何と9馬身もの大差を付ける圧勝です。重の巧拙という要因もあったでしょうが、9馬身は圧勝劇と評してよいでしょう。短頭差3着にアプルーヴ Approve 。

ドリーム・アヘッドは既にこの競馬日記にも登場しているように、ドーヴィルでモルニー賞を制し、デヴィッド・シムコック調教師にGⅠレース初制覇をもたらした馬。今回の優勝でGⅠ2連覇、師にとってイギリスのGⅠ初優勝となります。

鞍上は英国期待の若手、冷静沈着なウイリアム・ビュイック君。前のレース、チーヴリー・パーク・ステークスでも2着と「乗れる」ジョッキーをアピールしました。

これで3戦無敗のドリーム・アヘッド、このあとデューハースト・ステークスに向かうか否かが見ものですが、いずれにしても現時点では2000ギニーの2番人気(6対1)に期待されています。
本命フランケル Frankel との対決という構図、来年の牡馬クラシック戦線に大きな見所が生まれました。

さて金曜日はアイルランドでもパターン・レースが行われました。ダンダルク競馬場のイヴニング開催、ポリトラック・コースで行われたダイアモンド・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)。

去年からGⅢに格付けされたこのレースは、アイルランドで行われた史上初のポリトラック・コースでのパターン・レースでもあります。
去年はオブライエン厩舎がアメリカのブリーダーズ・カップへのステップ・レースとして使い、マスタークラフツマン Mastercraftsman が第1回を制していました。

今年は7頭立て。既にアメリカのダート・コースで勝っているジターノ・ヘルナンド Gitano Hernando が9対10の1番人気に応えて優勝しています。
2着は首差でウェイド・ジル Wade Giles 、1馬身半差3着にミッド・モン・レディー Mid Mon Lady の順。
2番人気、オブライエン厩舎のベートーヴェン Beethoven は6着惨敗です。

ジターノ・ヘルナンドは、マルコ・ボッティ厩舎、キーレン・ファロン騎乗。これが188日振りの休養明けでしたが、コース得意を立証しました。
3月にドバイのワールド・カップで6着していた馬で、当然ながら来年の再チャレンジが目標。

去年のオブライエン厩舎ようにブリーダーズ・カップ挑戦も青写真にあるようですが、ボッティ師としては2週間後にニューマーケット競馬場で行われるチャンピオン・ステークスに向かいたい意向。オーナーがアメリカ人だけに、最終決定はオーナーとの相談で、ということになるでしょう。

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