ニューマーケットとロンシャン

昨日の土曜日はニューマーケットとロンシャン。ロンシャンは凱旋門賞フェスティヴァルの初日ですが、先ずはGⅠレースのニューマーケット競馬場から行きましょう。

オクトーヴァー・ミーティングの最終日、サン・チャリオット・ステークス(GⅠ、3歳上牝、1マイル)。GⅠに格上げされたのは2004年からですが、2000年からは距離もそれまでの1マイル2ハロンから1マイルに短縮されています。

今年は多士済々、11頭の牝馬マイラーが揃いました。6頭の3歳馬に対し、4歳2頭、5歳3頭というメンバーです。
人気も拮抗、4対1の1番人気に支持されたのは、既にGⅠ(フォルマス・ステークス)を制しているミュージック・ショウ Music Show でした。

連日の重馬場の中、外の10番枠からスタートしたセント・フロム・へヴン Sent From Heaven が強いペースで流れを作ります。
先行した馬には馬場が堪えのか、最後は追い込み馬の競馬に。

最後方に付けたグループからサフレーザ Saphresa が鋭く伸び、早めに仕掛けたストローベリーダイキリ Strawberrydaiquiri に1馬身4分の3差を付けて優勝。更に1馬身差で内から追い込んだレインフォール Rainfall が3着で続き、本命ミュージック・ショウは首差4着敗退です。

勝ったサフレーザは去年に続き2連覇。サン・チャリオット・ステークスを二度制したのは1984年と1985年に勝ったフリー・ゲスト Free Guest 以来のことですが、当時は2000メートルのGⅡ戦、GⅠレースになってからは初の快挙です。

同馬はフランスのロッド・コレ厩舎からの遠征。去年はテッド・ダーカンが騎乗していましたが、今回はフランスからクリストフ・スミオンが駆けつけての騎乗です。
前回のイギリス遠征(ロイヤル・アスコットのウインザー・フォレスト・ステークス)は不本意な結果でしたが、見事に雪辱を果たしました。

ところでサフレーザ、去年は京都のマイルチャンピオンシップでも好走しましたが、今年も招待を受けたばかり。躊躇うことなく京都に遠征する計画です。

さて世界の目が集まりつつあるロンシャンです。土曜日のパターン・レースは4鞍ですが、全てGⅡ戦という中身の濃い週末となりました。
(日曜日はGⅠばかり7鞍!!)

レース順にレポートすると、まずショードネー賞(GⅡ、3歳、3000メートル)。距離から見ても10月24日に行われるロイヤル・オーク賞(仏セントレジャー)のトライアルとしての意味も持つ長距離戦です。

日本でも報道されている通り、ロンシャンは雨が続いて重い馬場。週末も更に雨の予報が出ていますが、土曜日の結果も馬場状態が大きく影響したことは間違いないでしょう。

ショードネー賞は9頭立て。パリ大賞典で4着したゴールドワキ Goldwaki が6対4の1番人気に支持されていましたが、馬場に脚を取られて動けず、4着に終わりました。

優勝は21対1の大穴ケルティック・セレブ Celtic Celeb 、1馬身半差2着にこれまた穴馬アイヴォリー・ランド Ivory Land が入り、頭差3着がル・ラロン Le Larron の順。

勝ったケルティック・セレブは重馬場を滅法得意とする馬で、仏ダービーは17着に終わっていた馬です。
調教師はフランソワ・ドゥーメン、鞍上はティエリー・テュイレ。英国から参戦して逃げたコーカス Caucus を3番手から差し切っての快勝でした。

パターン・レースは初制覇、当然ながらフランス・セントレジャーに駒を進めてくるでしょう。

このレースまでに騎乗してきたペリエ、パスキエ、グィヨンらの名手は、口を揃えて馬場の重さを強調していました。“Very, Very Soft”。やはり不良馬場の得意な馬、馬場を活かした騎乗でないと勝つのは難しいのでしょう。

続いてロワイヤリュー賞(GⅡ、3歳上牝、2500メートル)。ここは8頭立て。ドーヴィルのミネルヴァ賞(GⅢ)を含めて3戦無敗のアナウンス Announce が6対4の1番人気に支持されていましたが、彼女もまた馬場に殺されてドン尻8着に惨敗してしまいました。

勝ったのはこれまた大穴、何と30対1のマリア・ロイヤル Maria Royal という3才馬で、首差2着ハイ・ヒールド High Heeled 、頭差3着ラ・ブーム la Boum という大接戦でした。

マリア・ロイヤルはアラン・ロワイヤー=デュプレ厩舎、ジェラール・モッセ騎乗で、本命馬アナウンスが勝ったミネルヴァ賞ではドン尻負けしていた馬。不良馬場による大逆転です。

この牝馬もフランス・セントレジャーを目指す予定。

どんどん行きましょう。三つ目のGⅡ戦はドラー賞(GⅡ、3歳上、1950メートル)。ここは10頭立て。凱旋門賞のために渡仏している武豊が、この週末ロンシャンで初騎乗するのも注目です。

ここは13対5の1番人気に支持されたシラス・デ・ゼーグル Cirrus Des Aigles が順当に勝利を掴みました。2馬身差2着にドイツから遠征してきたブダイ Budai 、頭差3着がイギリスからの遠征馬ディスタント・メモリーズ Distant Memories 。
スタート良く飛び出し、一旦3番手に下げてから抜け出す理想的なレース運びでした。

同馬を管理するのは女性調教師コリーヌ・バランド=バルブさん。同師とコンビを組むフランク・ブロンデルの騎乗です。
シラス・デ・ゼーグルは去年のコンセイユ・ド・パリ賞(GⅡ)を制した4歳馬で、その時も馬場は重い方でしたっけ。

武騎乗で臨んだ社台のシーマ・ド・トリオンフ Cima De Triophe は、好位追走も直線は脚が止まり7着敗退でした。

最後はダニエル・ウイルデンシュタイン賞(GⅡ、3歳上、1600メートル)。ここも武豊が日本人調教師の馬コルコント Corconte で参戦しますが、格下の馬、最初からほとんど期待は出来ません。

1頭取り消して7頭立て。去年の仏1000ギニー馬エルーシヴ・ウェイヴ Elusive Wave が実績から6対4の1番人気に支持されていましたが、彼女も引っ掛かってしまい、直線では脚をなくして5着敗退です。

勝ったのは後方待機、あと2ハロンで大外から追い込んだロイヤル・ビーチ Royal Beach 。53対10は人気薄の1頭でしょうか。
3馬身差2着にロシンヴァー Lochinver 、更に1馬身半差でエメラルド・コマンダー Emerald Commander の順。武騎乗のコルコントは、6着の馬から8馬身も離された7着ドン尻の惨敗に終わりました。

勝ったロイヤル・ビーチはロベール・コレ厩舎、オリヴィエ・ペリエ騎乗。仏ダービー14着、ジャック・ル・マロワ賞5着という成績の馬で、馬場が生んだ結果とも言えるでしょう。

さて愈々今日は凱旋門賞、ということになりましたが、私はこれから名古屋に1泊で出かけ、帰るのは月曜日の夜。私自身結果を知るのが1日遅れということになります。
早ければ明日の夜中にレポート出来るかも知れませんが、火曜日の朝になる可能性もあります。

不良馬場が幸いして日本馬が勝てば帰りの新幹線でニュースが流れるかもしれんなぁ~。う~ん、残念じゃ。

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