2010仏セントレジャー
最近は菊花賞とフランス・セントレジャーが同日に行われることが定着したようです。英国のセントレジャーに相当するクラシックだったロワイアル=オーク賞(GⅠ、3歳上、3100メートル)は、現在ではクラシックとしての意義を失ってしまいました。
即ち、施行時期が1977年からは10月下旬に繰り下げられ、1979年には古馬にも開放、そして1986年からはせん馬(gelding)にも出走権が与えられて今日に至っています。
今年の出走馬は10頭。クラシック世代の3歳馬4頭に対し、古馬は6歳馬を頭に4歳までの6頭というメンバー構成です。
近年のフランス・ステイヤーの弱体から去年は地元馬がたったの2頭という惨状でしたが、今年は3頭の英国馬を7頭の地元馬が迎え撃つという、やや持ち直した感のある長距離GⅠ戦となりました。
6対4の1番人気に支持されたのは、今年のフランスを代表するステイヤー、ジェントー Gentoo 。凱旋門賞当日に行われたカドラン賞(GⅠ)を制した6歳馬で、出走馬中唯一のGⅠ馬でもあります。
2番人気(11対2)は英国のフライング・クロス Flying Cross 。愛セントレジャー3着馬で、オブライエン厩舎から英国のゴスデン厩舎に移籍しての初戦。チーム・ゴスデンとしては英仏セントレジャー制覇を目論んでのチャレンジです。(ゴスデン師は、今年アークティック・コスモス Arctic Cosmos でセントレジャーを制覇しました)
その他同じく英国からの挑戦で、ヨークのロンスデール・ステークス(GⅡ)に勝ったオピニオン・ポール Opinion Poll 、仏レジャーのトライアルであるショードネー賞(GⅡ)を大穴で勝ってきた3歳のケルティック・セレブ Celtic Celeb 、カドラン賞でジェントーに2馬身差2着のウインター・ドリーム Winter Dream 、そのカドランで本命になりながらドン尻負けを喫したブレク Blek などにも注目が集まっていました。
レースは、カドラン賞では3番手に控えたケルティック・セレブが逃げ、予想通り超スローペースに落とします。ウインター・ドリームとフライング・クロスがこれを追走する展開で、馬順に変更の無いまま直線に入り、レースは直線だけのスプリント戦に。
ゴールまで600メートル、最初に動いたのはフライング・クロスでしたが、逃げたケルティック・セレブが二の脚を使って差し返し、再び先頭を奪い返します。
ケルティック・セレブの逃げ切りが濃厚と思われた時、終始後方に待機した本命ジェントーが漸く開いた馬群から一気に突き抜け、ケルティック・セレブに半馬身差を付けて見事に期待に応えました。
更に1馬身半差3着には追い込んだオピニオン・ポールの順。フライング・クロスは9着の凡走に終わりました。
勝ったジェントーはGⅠ2連勝、その前のグラディアトゥール賞(GⅢ)も含めてパターン・レースのハットトリック達成です。
同馬を管理するのはアラン・リオン調教師。フランス馬の勝利は2006年のモンターレ Montare 以来のことで、4年振りで地元に栄冠を取り戻しました。(2007年と2009年は英のスタウト厩舎、2008年は愛のオブライエン厩舎)
このスローペースを後方から絶妙なタイミングで1番人気に応えたのはクリストフ・ルメール。流石に世界のトップ・ジョッキーですが、これまでのモッセ騎手からの乗り替わりで手にした快挙です。
調教師、騎手ともに仏セントレジャーは初制覇。
長距離と重馬場を得意とするジェントー、リオン師によれば“ここまで成長するとは、正直思わなかった。来年は是非アスコット・ゴールド・カップに挑戦したい” とのこと。夏のアスコットは固い馬場になることが多く、課題は速い馬場への適応でしょうか。
3歳馬は今年も勝てず。2着のケルティック・セレブは惜敗でしたが、3歳馬が勝ったのは2002年のミスター・ディノス Mr Dinos が最後でしょう。3歳馬の連敗記録はどこまで続くのでしょうか。
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