オブライエン/ムルタ・コンビ、有終の美

昨日の土曜日、フランス平場シーズン最後のパターン・レースが行われました。私のヨーロッパ競馬レポートも今年の最終回です。

例年最期を飾るのが、サン=クルー競馬場のクリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ、2歳牡牝、2000メートル)。最後のGⅠ戦でもあります。距離が長いこともあって、勝った馬にはダービー候補としての期待がかかるのも当然でしょう。
今年も公式発表 heavy の重馬場。1頭が取り消して10頭立てで行われました。

一ヶ月前にロンシャン競馬場で行われた1800メートルのコンデ賞(GⅢ)が絶好のトライアルということもあって、そこで首/ハナの勝負をした上位3頭が再戦に臨んできます。5対2の1番人気に支持されたのは、その勝馬で4戦3勝2着1回のプレーリー・スター Prairie Star 。

一方イギリスからはシャノン厩舎のリゴレット Rigoletto が参戦。更にアイルランドからは、このGⅠ戦に滅法強いオブライエン厩舎が3頭出しでの挑戦です。

しかし、結果は一方的。レースは前後二つのグループに分かれ、一時は前団のグループから5馬身も離された後続3頭の中の1頭で、3対1に支持されたオブライエン軍団のエース格リサイタル Recital の力が上でした。

後方に待機して仕掛け時を待っていたジョニー・ムルタ騎乗のリサイタル、ゴーサインが出るとあっという間に加速して、2着バブル・シック Bubble Chic (コンデ賞2着馬)に5馬身の大差を付ける楽勝です。
更に2馬身差で本命プレーリー・スターが3着に入り、4着エクソダス Exodus (チーム・オブライエンの1頭)は更に6馬身差。
コンデ賞3着のクレーム Kreem は7着、英国のリゴレットは逃げて末脚を失くし、ドン尻10着に敗退しました。

勝ったリサイタルは、前走ナヴァン競馬場の新馬戦に楽勝したばかりで、これで2戦2勝。来年のダービーには14対1のオッズが出されました。
同馬を管理するオブライエン師は、“現時点ではダービー候補と評されるかも知れないけど、1マイルで通用するスピードも持っているからね” と速い競馬にも適応できる能力を強調しています。

オブライエン厩舎は2001年のバリンガリー Ballingarry 、2002年のアルベルト・ジャコメッティ Alberto Giacometti 、2008年のフェイム・アンド・グローリー Fame And Glory に続いてクリテリウム・ド・サン=クルーは4勝目。
またフランスには2歳馬のGⅠ戦が5鞍ありますが、今年オブライエンはその内3勝。マルセル・ブーサックのミスティー・フォー・ミー Misty for Me 、クリテリウム・インターナショナルのロデリック・オコンナー Roderic O’Connor と並んで、終わってみればやはりオブライエン強し、という結果を出しています。

騎乗したムルタは、月曜日にオブライエン厩舎の首戦ジョッキーを辞す宣言を出したばかり。過去3年間の騎乗で、このコンビによるGⅠレース制覇はこれが39勝目になるそうです。その中でも今回のリサイタルは、両者にとって最も楽な勝利だったと言えましょう。

今後オブライエン/ムルタのコンビが再現しないとは言えませんが、一区切りとして、同コンビは見事に有終の美を飾って見せました。

以上、2010年ヨーロッパ競馬の平場シーズンをレポートしてきました。競馬カテゴリーとしてはまだまだ続きますが、レースそのものの報告は来年3月までお休みです。

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