オブライエン・ファミリーの愛2000ギニー

昨日はイギリスとアイルランドでパターン・レースが行われましたが、先ずはカラー競馬場で行われたアイルランドのクラシック第一弾に当たるアイリッシュ2000ギニー Irish 2000 Guineas (GⅠ、3歳、1マイル)から取り上げましょう。

例年はニューマーケットの2000ギニーに勝った馬の参戦が話題になる愛ギニーですが、今年は独り舞台を演じたフランケル Frankel に最初から参加の意思が無く、専ら二番目に強いのは何かというのが大方の興味だったようです。
枠順発表にも書いた通り、今年は僅かに8頭立て。クラシック・レースとしては寂しいメンバーと思えましたが、終わって見れば順当だったかな、という気がします。

7対4の1番人気に支持されたのは、英2000ギニーで最もフランケルに近づいたデュバウィ・ゴールド Dubawi Gold 。去年はキャンフォード・クリフス Canford Cliffs でこのクラシックを制したリチャード・ハノン厩舎、リチャード・ヒューズ騎手のコンビがディフェンディング・チャンピオンということになります。
しかしデュバウィ・ゴールドはあの状況で偶々2着だったというフロック説を取る人もいて、地元ファンの期待を集めたのが、ブレンダーガスト厩舎のダンボイン・エクスプレス Dunboyne Express 。3対1の2番人気で続きます。

レースは本命デュバウィ・ゴールドがやや出遅れて後方に待機する展開。するすると先頭に立ったロデリック・オコンナー Roderic O’Connor がそのまま逃げ切ってしまいました。デュバウィ・ゴールドも後半で追い上げましたが、結局4分の3馬身届かず2着敗退です。
更に半馬身差で早目に逃げ馬を捉えに動いたオラクル Oracle が続き、2番人気のダンボイン・エクスプレスは最後の伸びを欠いて5着敗退に終わりました。

勝ったロデリック・オコンナーは、言うまでもなくエイダン・オブライエン厩舎のエース。期待された2000ギニーは11着に惨敗したため今日は7対2の3番人気に甘んじていました。オブライエン厩舎はこのレースに3頭出しで臨みましたが、終わって見れば1・3・4着(ハイ・ルーラー High Ruler)とどれも上位に絡んでいます。
オブライエン師にとって愛2000ギニーは7勝目。列記すれば、1997年デザート・キング Desert King 、1999年サフロン・ウォルデン Saffron Walden 、2001年ブラック・ミナルーシ Black Minnaloushe 、2002年ロック・オブ・ジブラルタール Rock of Gibraltar 、2008年ヘンリーザナヴィゲイター Henrythenavigator 、2009年マスタークラフツマン Mastercraftsman に続く快挙になります。
しかし今年は師にとっても特別でしょう。というのも、騎乗していたのが息子のジョセフ・オブライエンだったから。ジョセフにとってはもちろんクラシック初制覇となります。
ジョセフは18歳の誕生日を二日後に控えた若手。去年はアイルランドのチャンピオン・アプレンティス(見習騎手)を分け合ったばかりで、この勝利が通算60勝目の節目となります。

ジョセフ君、騎乗のチャンスを与えてくれた馬主への感謝を忘れず、いつも調教で騎乗している同馬前走の凡走は“休み明けで息が上がってしまったから。本来はあんな馬ではない” とロデリック・オコンナーの能力も強調していました。
父エイダンも喜びは隠せず、ファミリーによるクラシック制覇は夢のようだとコメント。次走はエプサムかシャンティーのダービーになることを宣言しました。これを受けて英ダービーのオッズも20対1に上がっています。
ロデリック・オコンナーの父は、オブライエン師に最初のダービーをプレゼントしたガリレオ Galileo 。そう、またしてもガリレオ産駒のクラシック制覇、今年3頭目となります。いずれ勝馬の血統については詳しいプロフィールを紹介しましょう。

一方人気で負けたハノン陣営、如何にも悔しそうで、あまりにも後ろから行き過ぎ、ここは勝たねばならないクラシックだったと、ハノン師も些かお冠の様子でした。

この日カラー競馬場ではクラシックを挟んで2鞍のパターン・レースも行われています。書き忘れましたが、この日の馬場状態は good to firm 。

先ず愛2000ギニーの前に行われたグリーンランズ・ステークス Greenlands S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。1頭取り消して8頭立て。前走ネル・グィン・ステークスで2着したオブライエン厩舎の3歳牝馬シング・ソフトリー Sing Softly が5対2の1番人気に支持されましたが、逃げてバテて4着敗退。
優勝は11対4の6歳馬ヒッチェンス Hitchens でした。1馬身4分の1差2着にティッドリウィンクス Tiddliwinks が入り、英国勢のワン・ツー・フィニッシュ。スプリントに強いイギリスの伝統を見せ付けました。更に1馬身半差で3着にサント・パードレ Santo Padre の順。

ヒッチェンスはデヴィッド・バロン厩舎、フラン・ベリー騎乗。2着馬はケヴィン・ライアン厩舎、パット・スマーレン騎乗。勝馬は4番手から、また2着は3番手からの追い込みでワン・ツーを達成しています。

クラシックの後はエキストリアン・ステークス Equestrian S (GⅢ、4歳上牝、1マイル)。ここも1頭が取り消し、9頭立て。今期G戦2勝と好調のロリー・フォー・ドリー Lolly For Dolly が11対10の1番人気に支持されていました。

レースはロリー・フォー・ドリーが人気に応えるかに見えた時、中団から伸びたエミュラス Emulous が残り1ハロン地点で本命馬を捉え、1馬身4分の3差を付けて快勝しています。11対4の2番人気でした。更に3馬身離された3着にキンキー・アフロ Kinky Aflo 。
エミュラスはデルモット・ウェルド厩舎所属、パット・スマーレン騎乗の4歳馬で、彼のカーリッド・アブダッラーの所有馬。陣営によれば成長著しく、シーズン後半にはGⅠクラスへの挑戦を楽しみにしている由。マイル路線に新たな脇役俳優登場の趣です。

さて土曜日は英国のヘイドック・パーク競馬場でも重要なスプリント戦が行われました。テンプル・ステークス Temple S (GⅡ、3歳上、5ハロン)。馬場はこちらも godd to firm です。

12頭の快速馬が揃いましたが、9対4の1番人気は「ブダペストの弾丸」と異名をとる16戦15勝のオーヴァーダズ Overdose 。ベースとしているドイツからの挑戦です。

しかし優勝を攫ったのは、8対1のソール・パワー Sole Power 。去年のナンソープ・ステークス(GⅠ)でファンをアッと言わせた4歳馬ですが、それがフロックではなかったことを見事に証明しています。
4分の3馬身差2着に去年の覇者キングスゲート・ネイティヴ Kingsgate Native 、更に半馬身差3着にプロヒビット Prohibit の順。
期待されたオーヴァーダズは7着と奮いませんでしたが、騎乗したアンドレアス・スボリクス騎手によれば、同馬には馬場が硬過ぎたとのこと。いつもとは走りっぷりが違っていたそうで、この馬にはある程度渋った馬場が適しているとコメントしています。雨が多くなるシーズン後半がオーヴァーダズの季節でしょうか。今日は弾丸不発と言ったところ。

勝ったソール・パワーはエドワード・ライナム厩舎、キーガン・レイサム騎乗のいわば中小企業。実はこのレースにはナンソープ・ステークスの勝馬が3頭も出ていて(去年はソール・パワー、その前に連覇したボーダーレスコット Borderlescott、更に前のキングスゲート・ネイティヴ)、その中での勝利には価値があります。
この日はスタートで頭をぶつけて後手を踏むアクシデントがあったそうですが、それを問題にせず快勝。ペースが速かったことが幸いしたようです。次走のロイヤル・アスコットにも魅力を感ずるものの、あくまでも狙いはナンソープ連覇と語る陣営でした。

一方2番人気で敗れたキングスゲート・ネイティヴ陣営(スタウト厩舎、ムーア騎乗)も結果には満足。去年はシーズン初戦で勝ちましたが、今年もこれがシーズンのデビュー。一叩きして目指すのはもちろんロイヤル・アスコットでの優勝。スプリントのGⅠが2鞍あるアスコットですが、距離のより短いキングズ・スタンド・ステークスに向かう可能性がより濃厚でしょう。

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