今日の1枚(148)
トスカニーニとNBC交響楽団によるベートーヴェン全集第2巻、2枚目に行きます。20ビットリマスター盤、品番は引き続き 74321 55836-2 。
①ベートーヴェン/交響曲第7番
②ベートーヴェン/交響曲第8番
録音データは、
①1951年11月9日の録音と、1951年11月10日の放送録音 いずれもカーネギーホール
②1952年11月10日 カーネギーホールでの録音
①は聴衆を入れた放送用コンサートと、前日に組まれたセッション録音とを合成して完成したもの、と読むことができます。ただ聴いていてその区別はほとんど判りません。ここでは客席ノイズなどは聴き取れませんし、演奏も一貫して集中力の高いレヴェルです。
前回の1枚目(第5・第6)に比べて収録レヴェルが高く、アンプのヴォリュームを少し下げる必要あり。録音そのものも、かなりマイクがオンに置かれているようで、ややオーヴァーフロー気味な箇所もあります。
トスカニーニの第7もいくつか録音が残っていて、ニューヨーク・フィルとの録音はSP時代の名盤として定評があったもの。いずれこの日記にも出てくる予定です。
ここで採用されているのは、HMVから ALP 1109 としてLP初出したもの。(ヴィクターでは LM 1756)
第1楽章提示部の繰り返しは省略。当時この繰り返しを実行する習慣はほとんど無かったものと思慮します。
第3楽章の繰り返しについては、第1スケルツォの前半は実行し、後半は省略。またトリオ部は、第1トリオの繰り返しは実行して第2トリオは省略。これも当時の一般的な習慣だったと思います。
トリオ部テンポが速いのもトスカニーニの特徴で、マエストロはベートーヴェンの指示通り、符点2分音符=84で演奏しているだけ、と答えていましたっけ。
また第4楽章の繰り返しは、各所に出るフレーズの繰り返しは全て行いますが、提示部全体の繰り返しは省略しています。これも慣例通り。
第7交響曲については、オーケストレーションの改編や加筆は認められませんでした。少なくとも素人が聴いて判るような変更は無いと思われます。
②は①以上に音量が大きく収録されています。当盤にはややエコーが掛けられていますが、演奏そのものの瑞々しさが際立っており、恰も作品が今生まれたばかりのような新鮮さ。モノラル録音であることを忘れさせる名盤と言えましょう。
聴衆の入らないセッション録音で、2種類あるNBC響との正規録音の新しい方が選ばれています。
LP初出は、前回も紹介したように第5交響曲とのカップリングで、HMVの ALP 1108 。ヴィクターからは LM 1757 で出ていました。
第7交響曲とは逆で、第1楽章と第3楽章の繰り返しは全て実行。
第8も基本的にはオーケストレーションの改編・加筆は行っていませんが、ただ一点、第4楽章第1主題が ff で繰り返さる個所、具体的には第22小節から23小節にかけての第ヴァイオリンのフレーズを1オクターヴ上げて演奏させています。
これは再現部(183~184)でも、コーダ(383~384)でも同じ扱い。
(第9交響曲第2楽章にも良く似た処理が行われますね)
参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.11
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.4
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