今日の1枚(159)

暫くお休みしていましたが、どうやら体調も回復したのでトスカニーニを続けましょう。
今回からはブラームスの交響曲全集です。全集と言っても1枚づつの単発で、最初は BVCC-9925 。引き続き日本ビクター開発のK2レーザーカッティングを使用した「トスカニーニ・ベスト・セレクション」の1枚で、第15集に当たります。
例によってマスタリングは優秀ながらブックレットは貧弱なもの。

①ブラームス/交響曲第1番
②ブラームス/ハンガリー舞曲第1番(ブラームス編)
③ブラームス/ハンガリー舞曲第17番(ドヴォルザーク編)
④ブラームス/ハンガリー舞曲第20番(ドヴォルザーク編)
⑤ブラームス/ハンガリー舞曲第21番(ドヴォルザーク編)

掲載されているのは録音データだけで、

①1951年11月6日 NBC放送録音 カーネギーホール
②③④⑤1953年2月17日 カーネギーホール

①は放送録音とクレジットされていますが、聴衆を入れないセッション録音と思われます。放送録音とされているものに特徴的な聴衆ノイズは一切聞かれません。
トスカニーニは①をNBCと二度録音していますが、これは新しい盤。新録音だけあって音質は良好。

交響曲の冒頭は、「ペザンテ pesante」というよりは高弦が良く歌う演奏で、ドイツ風のブラームスとはやや趣が異なります。それでも白熱した名演であることに違いはないでしょう。

第1楽章コーダ、503~504小節の木管の上昇音階にホルンを重ねています。提示部の繰り返しは省略。

第3楽章中間部の繰り返しは実行。

第4楽章ではティンパニに思い切った改訂を加えることで有名。360小節と362小節を皮切りに、コーダは加筆・減筆のオンパレードで、金管のファンファーレでは加筆、二度(434と438)の三連音を一発に減じ、447と449ではリズム音型を追加しています。
その他、269小節と270小節のホルン加筆は、昔から多くの指揮者が踏襲してきた加筆でしょう。

②~⑤は一曲づつバラバラに演奏・録音したものではなく、4曲をほとんどアタッカで続けて演奏しています。特に④と⑤の間は休止がありません。これも音質優秀。

②の中間部と⑤の前半に繰り返し記号がありますが、どちらも実行。

ドヴォルザークがオーケストレーションした⑤ではハープの使用がアドリブ(使っても使わなくてもよい)となっていますが、トスカニーニは使っています。
そもそもこのハープは他の楽器に埋もれて聴き取り難いパートですが、最後から2小節前に出るアルペジオでハープ使用が確認できますね。

参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.130
②カーマス No.772(ポケット版ブラームス全集)
③④⑤カーマス A 1352(17~21番合本)

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