今日の1枚(161)

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団によるブラームス交響曲全集の3枚目。BVCC-9927、「トスカニーニ・ベスト・セレクション」第17集は、

①ブラームス/交響曲第3番
②ブラームス/悲劇的序曲

録音データは、
①1952年11月4日 カーネギーホール
②1953年11月22日 NBC放送録音、カーネギーホール

当シリーズの交響曲は全て1950年代の収録で、音質的にはモノラル最盛期の優秀録音で統一されています。最初から全集を意図して企画されたシリーズでしょう。

しかしながら①は、私の判断ではあまり成功した演奏とは言えないようですね。あくまでも個人的な感想ですが、トスカニーニはブラームスの第3交響曲を苦手にしていたのじゃないでしょうか。
この作品の枯淡とも言える性格を意識し過ぎているように感じられます。
例えば、第2楽章や第3楽章中間部のテンポが遅過ぎますね。単に物理的に遅いというより、音楽に活気が感じられません。

演奏時間で判断するのは危険ですが、トスカニーニは前回取り上げた第2を38分ほどで演奏しているのに対し、第3には凡そ40分を要しています。つまり第2より第3の方が時間がかかっているということ。普通は逆でしょ。

第1楽章提示部の繰り返しは実行。(これも時間がかかる原因の一つではありますが)
第4楽章再現部、174小節から177小節にかけては、コントラバスのアクセントに合わせて控え目ながらティンパニを加筆しているのが認められます。

②は放送用のテイクながら、聴衆を入れていない録音と思われます。こちらもトスカニーニとしては遅めのテンポで、特にモルト・ピウ・モデラートはゆったりした印象。

第146、147小節に代表されるトランペットのリズムをホルンに合わせて変更するのは、以前に紹介したベイヌム盤と同じ。

参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.132
②オイレンブルク No.657

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