今日の1枚(162)
トスカニーニ指揮NBC交響楽団のブラームス交響曲全集、最後の1枚です。「トスカニーニ・ベスト・セレクション」第18集となる BVCC-9928 。
①ブラームス/交響曲第4番
②ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
いずれもセッション録音による収録をカップリングしたもので、
①1952年12月3日 カーネギーホール
②1952年2月4日 カーネギーホール
これまで同様、モノラル最盛期のハイファイ名録音。もちろん現代のテクノロジーによる録音に比べれば物理的特性は劣るかもしれませんが、産業としての録音芸術にかける情熱は現代より遥かに上。数値では表現できない芸術性を味わう1枚と言えましょう。
①は淡々とした歩みの中にもトスカニーニの譜読みの深さが窺われる名演。
この作品では第3楽章と第4楽章にコントラファゴットが登場しますが、どうもトスカニーニは第1楽章でも僅かに使っている様子。
それはコーダに入る直前、391小節から392小節にかけてのファゴットの超低音(ラ♯)で、ここは何度聴いてもコントラファゴットを重ねているように聴こえます。どうか注意して聴いてみて下さい。
第4楽章ではトロンボーンに注目。練習記号Gの2小節目(170小節)、トロンボーンの sf を楽譜に書かれた一拍目から2拍目に移動して吹かせています。これは以前にも紹介したメンゲルベルクと同じ改訂です。
②の初出はHMVのLP、ALP 1204 という品番で、エルガーのエニグマ変奏曲とのカップリングでした。このオリジナル・カップリングは、確かXRCDシリーズで復刻されたはずです。
真に端正な演奏。繰り返しは全て実行していますが、第7変奏の後半は省略。
そもそもこの変奏の繰り返しは疑問があり、手元のユニヴァーサル版スコアでは、後半部は繰り返しの起点には反復記号があるものの終点には記号がありません。これをどう解釈するか。
当スコアの印刷ミスとも考えられるのですが、指揮者によって繰り返す人と省略する人に分かれます。恐らくプロでも見解が割れているのでしょう。詳しい事情を御存じの方は是非ご教示願いたいものだと思います。
(別の譜面がどうなっているか調べたことはありません)
参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.133
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.134
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