アメリカは大統領の日

昨日のアメリカは祝日。大統領の日 President’s Day ということで、各地の競馬場でもGレースが行われました。
アメリカ大統領で真っ先に指を折るのはジョージ・ワシントンとエイブラハム・リンカーンでしょうが、実は二人とも同じ2月中旬に生まれなんですね。ワシントンの誕生日は2月22日、リンカーンが2月12日。
ということで、2月の第3月曜日をプレジデンツ・デイとして祝日に定めたのだそうな。
この日はローレル競馬場、オークローン・パーク競馬場、サンタ・アニタ競馬場で計4鞍のGレースが組まれていました。

先ずはローレル競馬場のジェネラル・ジョージ・ハンデキャップ General George H 。3歳上、7ハロンのGⅡ戦です。レース名のジェネラル・ジョージとは正にジョージ・ワシントン大統領のことで、この祝日に行われる恒例の一戦でもあります。
今年の勝馬はノー・アドヴァンテッジ No Advantage 。11頭立ての混戦を後方から追い上げ、本命レイシュ・レイシュ・レイシュ Laysh Laysh Laysh の追い込みを首差抑えての優勝です。
スタートのあまり良くなく、ローレルではここ5戦して勝てなかった馬ですが、今日は後方からの差し足が生きる展開にも恵まれました。去年のこのレースは4着。
調教師はステファニー・ベアッティー、騎手はマニュエル・シェイヴス。

次のオークローン・パーク競馬場 Oaklawn Park はこのコーナー初登場。アーカンソー州ホット・スプリングスにある競馬場です。ホット・スプリングスという位ですから温泉があり、療治や観光で名高い保養地ですね。1904年に開場したコースですが、その後何度かの閉鎖を乗り越えて今日に至っています。
このコース最大の呼び物はアーカンソー・ダービーと古馬によるアップル・ブロッソム・ハンデキャップでしょうか。
サウスウエスト・ステークス Southwest S は3歳馬による1マイルのGⅢ戦。当然ながらアーカンソー・ダービーへのトライアルに位置するレースで、プレジデンツ・デイに行われる習わしになっています。
今年の勝馬はアーチアーチアーチ Archarcharch 。名前の通りアーチ Arch 産駒で、父親の名前を三つ重ねた面白いネーミング。
11頭立て。中団から進み、1番人気のジェイピーズ・ガスト J P’s Gusto に1馬身差を付けての優勝。Gレース初勝利で、三冠路線に名乗りを挙げました。
ウイリアム・ファイアーズ厩舎、騎乗したジョン・ケントン・コートにとってファイアーズ師は義理の父親。

この日、サンタ・アニタ競馬場ではラ・ハブラ・ステークス La Habra S とブエナ・ヴィスタ・ハンデキャップ Buena Vista H が行われました。
先ずラ・ハブラは3歳牝馬によるGⅢ。芝の1300メートルで行われる短距離戦です。ラ・ハブラはカリフォルニア州の地名、南カリフォルニアでは最も早く拓けた街だそうです。
今年の勝馬はキャンビーナ Cambina 。11頭立て。直線で抜け出したクワイエット・オアシス Quiet Oasis が楽勝かと思われた時、大外から一気にハナ差で差し切った末脚は見事でした。流石に芝コースだけのことはあります。
勝利調教師はジェフ・ボンド、鞍上はギャレット・ゴメスでした。

続いてブエナ・ヴィスタ・ハンデは4歳上牝馬によるGⅡ戦。1マイルの芝コースで行われます。レース名のブエナヴィスタは日本の年度代表馬のことではありません。単に「絶景」という意味なのか米・メキシコ戦争の古戦場から採った名前なのかは調べが付きませんでした。ま、カリフォルニアにもブエナヴィスタという地名がありますから、それが無難でしょう。
今年の勝馬はコージー・ロージー Cozi Rosie 。10頭立てでしたが、これもラ・ハブラ同様に直線一気の差し足が決まりました。この日の直線は大外からの追い込みが決まる馬場状態だったのでしょう。
コージー・ロージーは去年の5月以来の休養明けでしたが、ブランクを感じさせないレース内容。これで9戦4勝となり、芝コースでは4戦2勝で堅実な成績です。
調教師はジョン・サドラー、この冬のサンタ・アニタで8勝目のステークス優勝となりました。騎手はマイク・スミス。

≪今日のポイント≫
今回は血統の話題にしましょう。ブエナ・ヴィスタに勝ったコージー・ロージーの父はプレザントリー・パーフェクト Pleasantly Perfect 。その父はプレザント・コロニー Pleasant Colony ですから、イタリアの名馬リボー Ribot の血を引くサイヤーラインに属します。
この父系は、ボビンスキーの分類で言えばセント・サイモン系になるのですが、かつては大繁栄したセント・サイモン系も最近はほとんど見掛けなくなりました。
例えば今年のアメリカのG戦線を見ても、勝馬の父系は、ボビンスキー分類ではファラリス系かファロス系がほとんど。その中でもメリーウイロウ版サイヤーラインではミスター・プロスペクター系かノーザン・ダンサー系が主流です。

メリーウイロウ版サイヤーラインについてはいずれ取り上げたいと思いますが、世界のサイヤーラインはほぼ二つか三つの系統に収斂しつつあります。かつて王国を築いたセント・サイモンも、ハイペリオンも、ブランドフォードも、フェアウエイも、ブリュルールも、マッチェムも、今や絶滅危惧種の仲間入り。
そんな時代であればこそ、昨日のコージー・ロージーの末脚には胸がすく思いがしました。リボーに代表される一瞬の鋭い差し足は、このサイヤーラインの特徴でもありましょう。

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