今日の1枚(168)
トスカニーニ指揮NBC交響楽団の名録音を日本ビクターが独自に開発したK2レーザーカッティングによってリマスターーした「トスカニーニ・ベスト・セレクション」、愈々第25集は名盤中の名盤に到達しました。
さすがにこれは売れ行きが良かったものと見え、私の手元にある BVCC-38040 は再販復活した方の一枚です。オリジナルと再販の違いは値段。オリジナルが1枚1000円だったのに対し、再販は1500円。5割値上げでも再販に踏み切ったのですから、BMGとしても勝算があったのでしょうね。
①レスピーギ/交響詩「ローマの松」
②レスピーギ/交響詩「ローマの泉」
③レスピーギ/交響詩「ローマの祭」
全てカーネギーホールで行われたセッション録音で、
①1953年3月17日 カーネギーホール
②1951年12月17日 カーネギーホール
③1949年12月12日 カーネギーホール
私もローマ三部作はトスカニーニの録音で育った世代ですが、既にLPでも「三部作」が1枚ものとして発売されていた記憶があります。しかし改めてWERMを紐解いてみると、録音年代で判るように③のみはSP期の収録で、実際にSPで発売された記録になっています。
資料によると初出はヴィクターの WDM 1490 というセット。ところがこのセットは45回転SPとなっていて、6面と記載。SP(Standard Playing)の標準は78回転でしたから、これは違う規格のようですね。
私は技術的なことは疎いのですが、どうもSPからLPに移行する間に実験的な試みがあったようです。それが45回転SPではないか。現物を見ていないので詳しいことは判りませんが、ローマの祭はその意味でも貴重なドキュメントと言えましょう。
①と②は最初からLPで発売され、HMVの ALP 1101 が品番。カップリングもこの2曲がオリジナルです。
録音年代から予想できるように音質は③→②→①の順に良くなりますが、不思議に録音年代による差がほとんど感じられません。①が当時の最優秀録音であるのは当然ですが、SP期ということを考慮すれば③の音質は驚異的と評して良いでしょう。
演奏・録音共に録音芸術のクラシック。LP、ステレオ、CD、ディジタルと技術がいくら進歩しても永久に色褪せない録音だと思います。
詳細は不要ですが、①でのオルガンの揺るがせるような響き、②では繊細な鐘やチェレスタの細やかな音、③に登場する歯切れの良いマンドリンなど、当時のアメリカの技術に驚嘆。
参照楽譜
①リコルディ P.R.439
②リコルディ P.R.438
③リコルディ P.R.473
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