今日の1枚(243)

漸く寒さも緩んできたようで、今日は午前中一杯を掛けてヒストリカルの大物を聴きました。バイロイト音楽祭の実況録音で、ルドルフ・ケンぺが指揮したニーベルングの指輪の第2夜「ジークフリート」全曲です。
配信しているレーベルは「MYTO」。何と読むのかは判りませんが、1990年にイタリアに設立されたレーベルで、オペラのヒストリカル音源が中心です。所謂スタジオ録音ではなく、実際の舞台上演を実況した放送局の音源が多いようですね。
現在の所で100点近いアイテムが配信されていて、メトロポリタン、スカラ座、ウィーン国立歌劇場、それにバイロイト音楽祭など。オペラ以外ではフルトヴェングラーの放送録音などもいくつか聴くことが出来ます。

今朝新たに配信されたのは MYTO 00272 というアルバムで、CD自体は何年も前にリリースされたものだそうです。1960年7月28日のバイロイト音楽祭公演で、主なキャスト等は登場順に、
ミーメ/ヘロルド・クラウス Herold Kraus
ジークフリート/ハンス・ホプフ Hans Hopf
さすらい人(ヴォータン)/ヘルマン・ウーデ Hermann Uhde
アルベリヒ/オタカール・クラウス Otakar Kraus
ファーフナー/ペーター・ロト=エーランク Peter Roth-Ehrang
小鳥の声/ドロテア・ジーベルト Dorothea Siebert
エルダ/マルガ・へフゲン Marga Hoffgen
ブリュンヒルデ/ビルギット・ニルソン Birgit Nilsson
バイロイト祝祭管弦楽団
指揮/ルドルフ・ケンぺ

実はMYTOからは既に1962年度のケンぺ指揮による指輪全曲が配信されていて、今日はその2年前のツィクルスの第一弾ということになります。何れ残りの演目も配信されるでしょう。
私は指輪をこのケンぺ指揮、NHKが年末に放送していたライヴ録音で初体験した口で、実に懐かしく聴くことが出来ました。記録によるとバイロイトの指輪は、戦後ずっとヴィーラント・ワーグナー演出の物が繰り返し上演されてきましたが、それは1958年で一段落。1959年はお休みで、1960年に弟ヴィーラント・ワーグナー演出のプロダクションが新演出として上演されたのでした。
従ってこれは新演出の記録。この演出はケンぺの指揮で1963年まで4年間続けて上演されましたから、私の指輪初体験はこの4年間の何処かだったことになります。

当時はFM放送が未だ実験段階で、バイロイトの実況は最初はAMで放送されていました。日本人には難しい内容だったため、実際にバイロイトを体験された評論家の柴田南雄氏が演奏の途中に筋書きなどを解説しながら放送していたものでした。
それがFMでもオンエアされるようになり、こちらは音楽中心と言うことで解説抜き。ところがNHKには“FMには解説が入らないぞ!!”という苦情が寄せられたという笑い話もありました。
私は毎年の年末、ペータース版のヴォーカル・スコアと首っ引きで指輪一色に染まっていましたね。中学から高校の頃です。

改めて今朝の配信を聴くと、モノラル録音ながら意外に音質が良いことに驚きました。もちろんライヴということで限界はありますが、当時のオーケストラ、歌手のレヴェルの高さに、通して全3幕を聴き通してしまいます。
若いニルソンはもちろんですが、ジークフリートのホプフがハリのある歌唱で、真に立派な歌を聴かせます。私がホプフを初めて聴いたのはタンホイザーのLP盤でしたから、より一層懐かしく感じた次第。

ところでNMLでは実に多くの「指輪」が配信されていて、ジークフリートだけでもこれが何と19種類目です。バイロイト上演だけでも今回のケンぺが2種類、クナッパーツブッシュも2種類あって、他にバレンボイムとティーレマン。更にはフルトヴェングラーのスカラ座盤、新録音ではヤング、ヤノフスキ、ハイティンク、ヴァイグレ、ツァグロセクなどより取り見取り。
指輪など夢のまた夢だった昔を思えばウソのようです。これだけ聴く時間があるかどうかが問題ですけどね。

 

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