今日の1枚(13)

リタイヤードにとっては盆休みも正月休みもぜ~んぜん関係ないので、一日1枚のレコード聴きは続けています。BS放送じゃニューイヤー・コンサートもやらないみたいだし。
トスカニーニを続けていますが、このシリーズの第1巻に遭遇しました。
RCAの BVCC-9911 (74321-45618-2) 、トスカニーニ指揮NBC交響楽団によるハイドンを集めた1枚。

①ハイドン/交響曲第94番ト長調「驚愕」
②ハイドン/交響曲第101番二長調「時計」
③ハイドン/協奏交響曲変ロ長調

③でのソロは、ミッシャ・ミシャコフ(ヴァイオリン)、フランク・ミラー(チェロ)、パオロ・レンツィ(オーボエ)、レナード・シャロウ(ファゴット)。
録音データは、
①1953年1月26日 カーネギーホール
②1946年10月9日と11月6日、ただし第1楽章だけは1947年6月12日と後から追加録音したもので、NBC 3-A スタジオでの収録。
③1948年3月6日 NBC8-H スタジオ。NBCの放送録音。

これは些か問題のあるディスクです。私はそう思うんですがね。
②と③はいかにも録音が古い。致し方ないといえばそれまでですが、トスカニーニ・ファン向けのディスクで、普通のクラシック・ファンがハイドンを聴いてみようというケースならお薦め出来ません。

②は珍しく何度にも分けた録音で、トスカニーニとしては気に入らない箇所があったんでしょうか。
繰り返しは基本的には実行していますが、何故か第2楽章の主題の2箇所はどちらも実行していません。ここを繰り返さない演奏はかなり珍しいものだと思います。
第1楽章と第3楽章は全部繰り返しています。

②については、私はロビンス・ランドンが校訂した新しい版しか持っていません。この録音はランドン版とはアーティキュレーションが微妙に違う箇所があるので、それが旧版の通りなのかトスカニーニの指示なのか不明。 一例として、第4楽章の二重フーガが始まる直前、188小節に書かれた(新版)休止符のフェルマータを完全に無視しています。もしかすると旧版にはフェルマータがないのかも知れません。

③についてはもっと問題が多く、これまたランドン校訂版とは大きく異なります。もう、全く別の作品かと思うくらいアチコチ違うところだらけ。生憎、協奏交響曲の旧版が手元に無いので、これをスコアを参照しながら聴くとストレスが溜まります。
この版について解説書が何も触れていないのも不親切。「時計」程度の違いなら仕方ないとしても、③については、こうも違ってはジャケット表記の誤りと言いたくなります。Hob.Ⅰ-105 って書いてあるんですが、ホーボーケンじゃないんですからね。

③は録音も冴えません。ボクシーというのか、全体にこもった感じ。

①は、他に比べれば遥かに優れた録音です。モノラルの最高傑作と言っても良いでしょう。
演奏もトスカニーニ独特の緊迫感に満ちたもの。ここでは繰り返しも全て実行しています。
ただし、第3楽章の速さは異常なほど。メヌエットですが、スケルツォと表記したとしても早すぎるくらい。この間聴いたフルトヴェングラーも速い部類ですが4分4秒。これに対しトスカニーニは2分36秒。全部繰り返してですよ。
トスカニーニのハイドンの好き嫌いはここでしょうか。このテンポを心地良いと感ずるか、忙しないと感ずるか。 第4楽章233小節のティンパニのクレッシェンド、フルトヴェングラーは無視していましたが、トスカニーニは実行しています。

参照楽譜
①ユニヴァーサル(フィルハーモニア旧版) No.26
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア新版) No.804
③ユニヴァーサル(フィルハーモニア新版) No.805
②と③は見ないで聴く方が精神衛生上よろしい。もしくは、旧版の楽譜を探すか・・・。

 

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