ウインター・ダービーと愛のクラシック・トライアル

3月26日の土曜日、英国リングフィールド・パーク競馬場でウインター・ダービー(GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン)が行われました。ダービーと言っても古馬によるポリトラックでの一戦で、冬競馬の総決算しての意味を持つレースです。英国のパターン・レース体系の中では最初に行われるグループ・レースでもありますね。

今年は13頭が出走、結果も1番人気(9対4)の馬が勝ち、2番人気を分け合った2頭が2・3着に入るという極めて順当な結果に収まりました。
優勝は4歳のニデーブ Nideeb 、1馬身半差2着にダンジリ・ダンサー Dansili Dancer で、更に3馬身4分の3差3着がパチャタック Pachattack の順。

勝利調教師のクライヴ・ブリテン、勝利騎手フィリップ・ロビンソンというコンビは、1980年代にペッブルス Pebbles でクラシックを制覇したこともある懐かしい組み合わせ。
ロビンソン騎手は近年マイケル・ジャーヴィス厩舎の主戦として活動してきましたが、ジャーヴィス師の引退に伴って往年の名コンビが復活したことになります。

続く3月27日の日曜日は、イギリスより一足先に平場シーズンが開幕したアイルランドのレパーズタウン競馬場でクラシックに向けたトライアルが2鞍行われました。

最初はレパーズタウン・2000ギニートライアル・ステークス(GⅢ、3歳、1マイル)。登録があったのは僅かに4頭という寂しさでしたが、オックス厩舎(ムルタ騎乗)のココーザ Cocozza が二度に亘ってゲートインを拒否、スタート時間を5分も遅らせたため、スターターの権限で発走除外になってしまいました。
結局は3頭立ての淡々たるレース。最初から伏兵視されていた2頭の先頭争いを尻目に、直線で難なく抜け出した本命(5対4)ダンボイン・エクスプレス Dunboyne Express の楽勝。
1馬身4分の3差2着にオブライエン厩舎のエクソダス Exodus が入り、首差でホイップレス Whipless という結果。レースの流れで2馬身弱の差でしたが、内容は遥かに楽なダンボイン・エクスプレスの圧勝と読めるでしょう。ココーザが走っていれば、もう少し骨のあるレースになったかも…。

勝馬には仕上がり途上という噂もありましたが、3頭の中ではスタート遅延の影響を唯一受けなかったことも馬には幸いでした。
ダンボイン・エクスプレスはケヴィン・ブレンダーガスト厩舎、デルカン・マクダナー騎乗。2歳時は3戦2勝、アングルジー・ステークス(GⅢ)に勝ち、レーシング・ポスト・トロフィー(GⅠ)は5着の成績。もちろんこれがシーズン初戦です。

もう一鞍はレパーズタウン・1000ギニートライアル・ステークス(GⅢ、3歳牝、7ハロン)。牡馬のトライアルが3頭立てだったのに対し、こちらは14頭立ての多頭数。しかし結果は1~3番人気で比較的順当に終わりました。
勝ったのはオブライエン厩舎のエンパワーリング Enpowering (3番人気)。1馬身4分の3差2着も同じオブライエン軍団のワイルド・ウインド Wild Wind (2番人気)が入り、幸先よくオブライエン厩舎のワン・ツー・フィニッシュです。短頭差3着に1番人気(3対1)のヒストリー・ノート History Note が激しく追い込みましたが、時すでに遅し。
エイダン・オブライエンは3頭出しで臨みましたが、厩舎としては2番手の馬での勝利となります。スタートして直ぐに先頭を奪い、そのまま気持ち良く逃げ切ったジョゼフ・オブライエン騎手の好判断が光りました。

エンパワーリングはオブライエン夫人の持ち馬でもあり、いわばファミリーの勝利。2歳時は3戦1勝、12月にダンダルク競馬場の全天候コースで勝った馬。英1000ギニーに登録があるので、先ずはイギリスのクラシックを目指すことになります。

ところで去年までオブライエン厩舎の主戦騎手を務めたジョニー・ムルタ、この日は第1レース(新馬戦)と第6レース(ハンデ戦)でジョン・オックス厩舎の馬を御して早々とダブルを達成しています。トレーナーとジョッキーの駆け引きにも目が離せないシーズンではあります。

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