クレイヴァン・ステークスは人気通り

ニューマーケット・シーズン最初の開催となるクレイヴァン・ミーティング、二日間の最終日に行われるのが、開催の名前に冠されているクレイヴァン・ステークス Craven Stakes (GⅢ、3歳、1マイル)です。
2000ギニーと同じコース、同距離で行われるトライアルですが、今年はやや小粒の感は否めません。前日と同じ good to firm の馬場に顔を揃えたのは6頭。2歳時にジュライ・ステークスとリッチモンド・ステークスの二つのGⅡに勝ったリブランノ Libranno はペナルティーの3ポンド負担があり、それが嫌われてか2番人気に落ち着きます。
代わって8対11の1番人気に支持されたのが、去年ソラリオ・ステークス(GⅢ)を制し、レーシング・ポスト・トロフィー(GⅠ)で4着したネイティヴ・カーン Native Khan でした。

レースはムーア騎乗のリブランノが引っ張り、本命ネイティヴ・カーンはこれをマークする展開。ゴール前2ハロン、キーレン・ファロンの合図に反応したネイティヴ・カーンが鋭く抜け出し、逃げ粘るリブランノに2馬身差を付けて優勝。
更に頭差3着に食い込んだヤシーヤ Yaseer も前で競馬した一頭です。

勝ったネイティヴ・カーンは、エド・ダンロップが調教する芦毛のフランス産馬。師によれば、予想以上に仕上がりが早く、このレースに出走したのは結果論だった由。
2000ギニーには12対1のオッズが出されましたが、出否は未定とのこと。同馬がフランス産ということもあり、仏ギニーに向かう芽も残されているようです。
騎乗したファロンによると、ネイティヴ・カーンはファロンが2000年にギニーを制したキングズ・ベスト King’s Best とそっくりな走り方をする馬だそうな。ところがファロン騎手、水曜日のケンプトンで10日間の騎乗停止を受けたばかりで、今年のギニーには乗れない運命。この裁定には大いに不服なファロン、意義を申し立ててあくまでも争う姿勢を見せています。
それもあって、ネイティヴ・カーンのギニー出走は未定の段階なのでしょうね。

この日はもう一鞍のパターン・レースが行われています。アール・オブ・セフトン・ステークス Earl of Sefton S (GⅢ、4歳上、1マイル1ハロン)。
2頭取り消しがあり、7頭立て。2対1の1番人気に支持されたのは、去年のクレイヴァン・ステークス優勝馬で2000ギニーは5着だったエルーシヴ・ピンパーネル Elusive Pimpernel 。その2000ギニー以来となる久々の実戦です。

レースは意外にもスタートから先頭を奪った伏兵ランソム・ノート Ransom Note の逃げ切り勝ち。6対1の5番人気でした。1馬身半差2着にはフランスから遠征してきたファーブル厩舎、ペリエ騎乗のポリテクニシャン Polytechnicien が続き、更に1馬身でエルーシヴ・ピンパーネルの順。

バリー・ヒルズ調教師、マイケル・ヒルズ騎乗の親子コンビによるランソム・ノートは、去年はハンデキャップ・クラスで走っていた4歳馬。今回はパターン・レース初挑戦での初勝利です。
師によれば、去年のケンブリッジシャー・ハンデ(18着)は調子がピークを過ぎており、今年は去年より遥かに力を付けている由。この勝利により計画を変更、シーズン後半は適距離の10ハロン戦を探して世界を飛び回りたい意向だそうです。

また2着のポリテクニシャンを管理するファーブル師は、この日ニューマーケットに出張するほど期待していただけに結果にはガッカリの様子。ペースが遅すぎて同馬の末脚が生きなかったことが敗因とコメントしています。このあとはフランスに戻り、得意の1マイル戦を中心にローテーションを組む予定とのこと。

そして最終日は、リステッドながら今季最初のスプリンターが集うアバーナント・ステークス(6ハロン)も行われました。
何と、今年は面白いことに「元気」という名前の馬が勝ちました。Genki という表記ですから「ジェンキ」と読むべきでしょうが、日本人の我々には元気と読めてしまいますね。
馬名はどう読もうと構わないのが原則で、実際ニューマーケットのレースを中継したレーシング・UKのレース実況アナは「ゲンキ」、コメンテイターは「ジェンキ」と発音していました。

ま、それはともあれ Genki よ、今年のスプリント路線を大いに暴れ回って、日本に「元気」を与えて下さいな。

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