今日の1枚(180)

昨日に続いて「トスカニーニ・エッセンシャル・コレクション」からドイツ・ロマン派の1枚。BVCC-9709 の第8集は、

①シューマン/交響曲第3番
②シューマン/マンフレッド序曲
③シューベルト/交響曲第5番

録音データは、

①1949年11月12日 NBC放送録音 NBC8-Hスタジオ
②1946年11月11日 カーネギーホール
③1953年3月17日 カーネギーホール

トスカニーニ/NBCの録音は、これまでプロデューサーやエンジニアの名前はクレジットされていませんでしたが、当盤では③のみプロデューサー Richard Mohr 、エンジニア Lewis Layton の名前が表記されています。いずれもRCAのリヴィング・ステレオを手掛けた名コンビですね。

このディスクのジャケットは、表裏ともオリジナルLPのものが印刷されていて、好みに応じて楽しめます。裏面はシューマン第3のオリジナル・デザイン。
また当盤のエッセイはハリス・ゴールドスミスのもので、シューマン第3のオーケストレーション改変について。特にホルンの変更は、シューマン当時はバルブ式ホルンとナチュラル・ホルンを同時に使用したことに配慮したものだという意見は尊重できるものでしょう。

その①も前回のケルビーニ同様、輸入盤のレヴューで取り上げましたので、ここでは省略します。(シリーズ144(2011年1月6日))
ただ輸入盤と当日本盤の違いは、輸入盤では拍手がカットされていたのに対し、当盤にはそのまま収録されていること。更に第1楽章が終わった後にも数人から拍手が起きています。拍手を収録するのには賛否が分かれるところでしょうが、如何にもアメリカという感じで、私は面白く聞きました。日本盤と輸入盤のコンセプトの違いも同様です。

②はSP用にセッション録音したもの。初出はHMVの DB 6992/3 の2枚3面。よく聴くと盤面の切り替え個所が判ります。このセットの4面にはグルックの「オルフェオ」舞曲がフィルアップされていました。
録音は1946年だけに如何にも古く、SP特有のノイズも煩く感じられます。
トスカニーニは、シューマンのオーケストレーションのうちホルンに拘りがあったようで、51・52・53・57小節の各3拍目と、再現部に当たる216・217・218小節の3拍目にホルンを加筆しています。

③は最初からLP用にセッション録音されたもの。プロデューサーとエンジニア名が残っていることからも判ります。そのLP初出はヴィクターの LM 1869 。フィル・アップがメンデルスゾーンの八重奏曲のスケルツォという贅沢な組み合わせでした。
(WERMの記述ではメンデルスゾーンは弦楽合奏版となっていますが、これは誤り。既に当シリーズで紹介したように、これはメンデルスゾーン自身が編曲したオーケストラ版に更にトスカニーニが加筆した版が演奏されています。)

シューベルトは明らかに小編成で演奏していることが判りますが、オーケストレーションに手を加えるようなことはしていません。
繰り返しは第1楽章提示部は省略、第2楽章の2番目の繰り返しは省略、第3楽章は全て実行、第4楽章は全て省略。

参照楽譜
①オイレンブルク No.408
②オイレンブルク No.646
③オイレンブルク No.508

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