アスコット終戦とエクリプス賞

凱旋門賞が終わった週末とあって、今週はあまり目立たないパターン・レースが組まれています。先ずはイギリスから、アスコット競馬場で行われる平場シーズン最後のパターン・レース3鞍から紹介しましょう。

最初はコーンウォリス・ステークス(GⅢ、2歳、5ハロン)。シーズン末期とあって出走頭数が多く、9頭の牡馬に5頭の牝馬が挑む14頭立て。牡馬と牝馬の負担均量差は3ポンドです。キロに直せば1.3キロほど。

7対2の1番人気に支持されたディンカム・ダイアモンド Dinkum Diamond は、先月ドンカスター競馬場のフライング・チルダーズ・ステークス(GⅡ)でゼベデー Zebedee の2着した馬です。

しかし結果は、7対1の4番人気イレクトリック・ウェイヴス Electrick Waves が競り勝ち、2馬身4分の1差2着がムーヴ・イン・タイム Move In Time 、短頭差3着にダラジャート Darajaat の順。
ディンカム・ダイアモンドは4着敗退です。

勝ったイレクトリック・ウェイヴはエド・マクマホン厩舎、リチャード・マレン騎乗の牝馬。この馬も前走はフライング・チルダーズ・ステークスでしたが、結果は7着。入れ込みが激しく能力を出し切れずに終わりましたが、ここは彼女本来の走りで人気馬に雪辱した形です。

続いてはべングー・ステークス(GⅢ、3歳上、6ハロン)。ここも多頭数で、2頭が取り消したものの17頭立ての混戦。1番人気(5対2)は、エア・ゴールド・カップを含めハンデキャップ戦で2連勝中のせん馬レッドフォード Redford 。ここは格上挑戦ですが、この相手なら勝ち負けという期待をこめての本命でしょう。

しかしレッドフォード、格の壁があったのか11着惨敗と期待を裏切り、優勝は6対1で2番人気を分けあったビウィッチド Bewitched 。4分の3馬身差2着にもう1頭の2番人気ジェンキ Genki が入り、更に1馬身差3着がシークレット・ウィットネス Secret Witness 。
2着の Genki はこれまで「ゲンキ」と表記してきましたが、「ジェンキ」に変えました。現地では両方の発音が使われていますが、多数派はジェンキなので・・・。

さて勝ったビウィッチドはチャールズ・オブライエン厩舎、ジョニー・ムルタ騎乗の3歳牝馬。調教師は高名なヴィンセント・オブライエンの子息で、エイダン・オブライエンとは血の繋がりはありません。

これでビウィッチドはルネサンス・ステークス(GⅢ)に続くGⅢ競走2連勝。この時期で古馬(しかも牡馬を含め)を蹴散らすのは並大抵のことではなく、来シーズンのGⅠクラスでの活躍が期待できそうですね。

アスコットの最後はオータム・ステークス(GⅢ、2歳、1マイル)。8頭立てのうち4頭が無敗馬という新星たちの一戦です。

2対1の1番人気に支持されたトゥーレイン Toolain は、初戦で鞍ズレを起こして落馬。その後2連勝中の馬で、事実上の無敗馬です。

しかしここでも本命馬は期待を裏切り、優勝は何と33対1という大穴アブジャー Abjer 。1馬身4分の3差2着がパウサニアス Pausanias 、半馬身差3着にダックス・スカラー Dux Scholar が続き、トゥーレインは4着に終わりました。

アブジャー(これは牡馬です)を管理するクライヴ・ブリテン師は、先週のニューマーケットの一般戦でも20対1の大穴を開け、このところ「穴のブリテン」と呼ばれる勢いです。
しかしブリテン師は、“オッズがおかしいのさ。少なからず勝つチャンスのある馬だし、ヒューズにも勝っても驚かないように、と言っておいたからね” とコメント。

アブジャーはこれが4戦目。3戦目で初勝利を挙げ、これがパターン・レース初挑戦での初勝利となります。
ところで、同馬はこれまでの4戦で騎乗した騎手が全て異なるという面白い記録の持ち主。しかもデビュー戦では、我が後藤浩輝が騎乗していたことも付け加えておきましょう。

さてアスコットはこれでお別れ、フランスのメゾン=ラフィット競馬場に飛びましょう。エクリプス賞(GⅢ、2歳、1200メートル)。
イギリスから挑戦したガルティモア・ラッド Galtymore Lad が跛行のため取り消し、6頭立てで行われました。

アスコット同様、9対5の1番人気に支持されたチャイニーズ・ウォール Chinese Wall は5着敗退。
出走6頭が3馬身以内に犇めく接戦で、写真判定の結果、優勝はスプリット・トロワ Split Trois 、短頭差2着がキャプテン・チョップ Captain Chop 、更に頭差3着がスプリット・オブ・バトル Split Of Battle で確定しました。

勝ったスプリット・トロワはイヴ・ド・ニコライ厩舎、クリストフ・ルメール騎乗で、これまた牝馬。
この後は、11月初めに同じ競馬場で行われるクリテリウム・ド・メゾン=ラフィットを狙う由です。

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