東北応援 チャリティ・コンサート

昨日(4月21日)、東京赤坂のサントリーホールで東北応援チャリティ・コンサートが行われました。様々な場所でチャリティ・コンサートが行われていますが、昨日は仙台フィルを迎えての演奏会、改めて「音楽家」の絆の強さを実感してきました。

チャリティーですから、細かいことには触れません。概要は以下の通り。

発起人(五十音順)
 青木賢児(財団法人 宮崎県立芸術劇場 理事長)
 小澤征爾(指揮者)
 児玉幸治(社団法人 日本オーケストラ連盟 理事長)
 田中珍彦(社団法人 日本クラシック音楽事業協会 会長)
 堤剛(チェリスト)
 徳永二男(ヴァイオリニスト)

この他、この企画に賛同された指揮者の大野一士氏からも本公演に寄付とメッセージが寄せられ、アメリカ・ツアー中のサンクト・ペテルブルク・フィルと出演者(指揮者のユーリ・テミルカーノフ、ピアニストのニコライ・ルガンスキー、チェリストのアリサ・ワイラースタイン)たちからもツアーの収益金の一部が仙台フィルの活動に寄付されました。
もちろん出演者は全てヴォランティア(ノー・ギャラ)で、売り上げの半分が仙台フィル自らが被災地を巡って音楽を届ける「復興コンサート」の活動費として、残り半分が日本赤十字社を通じて被災地に寄付されます。

プログラムは、

モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲~第1楽章
 独奏/高木綾子(フルート)、吉野直子(ハープ)
 指揮/山下一史
 管弦楽/仙台フィルハーモニー管弦楽団

マスネ/タイスの瞑想曲
 独奏/高嶋さち子
 指揮/山下一史
 管弦楽/仙台フィルハーモニー管弦楽団

バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲~第1楽章
 独奏/加藤知子、漆原朝子
 指揮/山下一史
 管弦楽/仙台フィルハーモニー管弦楽団

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲~第1楽章
 独奏/三浦文彰
 指揮/広上淳一
 管弦楽/仙台フィルと有志による合同オーケストラ

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番~第2・3楽章
 独奏/小山実稚恵
 指揮/広上淳一
 管弦楽/仙台フィルと有志による合同オーケストラ

     ~休憩~

ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲~第1楽章
 独奏/徳永二男(ヴァイオリン)、堤剛(チェロ)
 指揮/広上淳一
 管弦楽/仙台フィルと有志による合同オーケストラ

ベートーヴェン/交響曲第7番(全曲)
 指揮/広上淳一
 管弦楽/仙台フィルと有志による合同オーケストラ

以上が、山田美也子と高嶋さち子の司会で進められ、演奏会の構成は新井鷗子が受け持っていました。

要するに三部構成。休憩を挟んだ前半が更に二部に分かれ、その第1部が山下/仙台フィルの演奏、第2部と後半が広上/合同フィルの演奏という成り立ちです。
参集した「有志」の顔ぶれがまた凄く、とても全ては紹介できませんが、例えば第1ヴァイオリンには東京のプロ・オケのコンサートマスター級がズラリ、読響の藤原浜雄と小森谷巧、日本フィルの扇谷泰朋、加えて最後のベートーヴェンでは堤・徳永以下、出演したソリストたち全員参加という豪華版です。
演奏会は6時半に開演、全部が終了した時には10時を10分ほど回っていたという長丁場でしたが、これを長いと感じた人は一人もいなかったのじゃないでしょうか。

そもそもこの企画が公表されたのは、3月31日の「オーケストラの日」だったと思います。チケットの売り出しは4月5日の10時からだったと記憶しますが、反響は極めて大きかったようです。
実際私共は他に用事があったので、チケット販売当日の10時にサントリーホールのチケット売り場に行ったのですが、窓口嬢と応対している間に全国から予約が殺到。私は2番目だったにも拘わらず、1階の2席を確保したのがやっとでした。あの調子では発売から30分位でチケットは完売したのじゃないでしょうか。
当日はホール前にも「当日券の販売はありません」の看板が出ていましたし、ホールも空席はほとんど見出せませんでした。世に「チケット完売」というコンサートは多々ありますが、実際には空席がチラホラあるもの。昨日の様に満席というのは久々に体験しました。それこそ50年前の海外有名オケの来日公演みたい。

会は、照明を落とした会場に仙台フィルのメンバーが入場することでスタート。客席から暖かい拍手が送られます。

プログラムに先立って、先ず山口綾規のパイプオルガン(メンデルスゾーンのオルガン・ソナタ)が、続いて山下/仙台フィルによるアヴェ・ヴェルム・コルプス(チャイコフスキー編曲のモーツァルティアーナの祈り)が献奏されます。ここで黙祷。

以下は、司会進行によって予定されたプログラムが粛々と進められ、最後にアンコールとしてルロイ・アンダーソンの「忘れられた夢」(ピアノは小山実稚恵)が演奏されて幕が降ろされました。

夫々の音楽に様々な想いが交錯しましたが、最後のベートーヴェンの圧倒的な感動。ベートーヴェンは、この日あるを予感してこの交響曲を書き残したのではないか、とまで思えるほどに参加したすべての人に勇気を与えた音楽は他に無いでしょう。
オーケストラのメンバーを最大限に増やし、倍管で奏でられるベートーヴェンの迫力。
この場にはこの人しか考えられないマエストロ広上の、“ちょっと息切れしちゃって”というほどに全力を傾注した渾身のタクト。広上スペシャルを出し尽くした演奏は、恐らく初めて聴く人の度肝を抜いたことでしょう。最後はスタンディング・オーヴェイションになっていました。

日本人てなんて凄いんだ! この絆がある限り、日本は間違いなく復興する。その暁には、ニッポンはかつてない黄金時代を迎えるのではないか。という確信。
歴史的な演奏会だったと言って良いでしょう。

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