ヨーク・メイ・ミーティング最終日

ヨーク競馬場のメイ・ミーティング、3日目の昨日が最終日。パターン・レースはヨークシャー・カップ Yorkshire Cup (GⅡ、4歳上、1マイル6ハロン)一鞍です。

戦前までの英国競馬(イギリスに限りませんが)では、長距離戦の占めるウエイトは極めて大きいものがありました。6月にロイヤル・アスコットで行われるゴールド・カップ、8月グッドウッドのグッドウッド・カップ、9月ドンカスターのドンカスター・カップの三つが「長距離三冠」として親しまれてきましたし、毎年のダービー馬やセントレジャー馬が長距離三冠を目指すことは謂わば競馬界の常識でもありました。
しかし現在では競馬自体のスピード化、国際化に加えて「経済性」の重みが増し、長距離戦の意義は下降線を辿ります。それでもなお所謂「カップ・レース」は綿々と続けられ、英国競馬に「伝統」の痕跡を残しているのが現状でしょう。

5月に行われる伝統のヨークシャー・カップは、その長距離三冠へのトライアルとして位置付けられるもの。今年は1頭が取り消し、8頭が出走してきました。コースは good 、所により good to firm という馬場状態です。
5対2の1番人気に支持されたのは、前走ニューマーケットのジョッキー・クラブ・カップでダンディーノ Dandino と接戦の末2着したネイティヴ・ルーラー Native Ruler 。セシル/クィーリーの絶好調コンビです。

レースは長距離戦の常でスローに流れますが、ウイリアム・ビュイック騎乗のダンカン Duncan が単騎で馬場の中央を通り先頭。他の7頭は一団でスタンドから遠い内ラチ沿いに進む面白い展開に。
しかしビュイックは途中で進路を内に変え、巧みに馬群の先頭に付けます。直線では大外(スタンドに近い側)を選んで、そのまま内から追い上げるブルー・ベイジャン Blue Bajan を半馬身振り切っての逃げ切り勝ち。更に半馬身差3着にマニガー Manighar の順。本命ネイティヴ・ルーラーは4着でした。

ダンカンは既にGⅡに勝っており3ポンドのペナルティーを背負っていました。11対4の2番人気に甘んじていたのはその所為もあるでしょう。これから見ても、着差以上に強かった計算になります。
ダンカンと言えば昨秋にフォア賞でナカヤマフェスタを破った馬、と言えば思い出す方も多いでしょう。凱旋門賞では道中二度も他馬と接触する不利があり大敗しましたが、昨日はそれ以来の久しぶりの実戦でした。
騎乗したビュイック騎手によれば、せん馬にしたことで馬に集中力が高まり、6歳となる現在でも去年からの成長を維持している由。当然ながらアスコット・ゴールド・カップが目標。オッズは10対1が出されました。

調教するジョン・ゴスデン師もビュイック騎手も、ヨークシャー・カップは初制覇となります。

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