今日の1枚(186)

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団によるヴェルディの歌劇全曲録音シリーズ、第3弾は最も古い録音の歌劇「オテロ」全曲です。BVCC-9719/20 の2枚組。アイーダと同じようにCD1枚目に第1幕と第2幕、2枚目に第3幕と第4幕が収められています。

配役は以下。

オテロ/ラモン・ヴィナイ Ramon Vinay (テノール)
デズデモナ/ヘルヴァ・ネルリ Herva Nelli (ソプラノ)
ヤーゴ/ジュゼッペ・ヴァルデンゴ Giuseppe Valdengo (バリトン)
エミーリア/ナン・メリマン Nan Merriman (メゾ・ソプラノ)
カッシオ/ヴィルジニオ・アッサンドリ Virginio Assandri (テノール)
ロデリーゴ/レスリー・チャベイ Leslie Chabay (テノール)
モンターノ/アーサー・ニューマン Arthur Newman (バス)
ロドヴィーコ/ニコラ・モスコーナ Nicola Moscona (バス)
合唱/ピーター・ウィロウスキー Peter Wilhousky 指揮・合唱団
少年合唱/エドゥアルド・ペトリ Eduardo Petri 指揮・少年合唱団

録音は「仮面舞踏会」や「アイーダ」とは微妙に異なり、NBCの放送録音にリハーサルでの追加録音を加えて編集しているようです。
ブックレットに掲載されたデータをそのまま転記すると、
1947年12月6日、13日のNBC放送録音及び、1947年12月4日、5日、12日のリハーサル。会場は全てNBCの8-Hスタジオ。

当録音は、実際の録音年代よりかなり後になって発売されたようで、WERM第3巻(1953~1955年度)に登場しています。HMVのLPで、ALP 1090/2 の3枚組6面。WERMの脚注には1947年12月の放送録音とクレジットされています。

やや古い録音なので、会場ノイズが聞こえる個所もあり、全く聞き取れない場面もあります。本番とリハーサルが混在しているためでしょうが、音楽的には全く違和感は感じられません。

ハーヴェイ・サックスのコメントにあるように、ジェームス・レヴァインが“オペラ録音史上最高”と絶賛しているに相応しい圧倒的な感銘を与える録音。多少の録音の古さは全く気になりません。
場所によってトスカニーニの唸り声も聞こえます。オテロを歌うヴィナイの入魂の歌唱は聴きもの。これを上回るオテロ歌いは二度と出ないと思わせるほど。特に死の場面は圧巻。

この作品は冒頭からずっとオルガンの低音が鳴らされますが(練習記号Tまで)、弱音の部分ではそれがハッキリと聴き取れます。
また冒頭の嵐の場面では、スコアに「雷鳴と電光」のパートもありますが、当然ながら録音では判りません。(雷鳴の効果音は使っていないと思われます)

もう一つ、大砲の一撃(colpo di canone)を2拍目から3拍目(練習記号Bの4小節目)に移動して目立たせているのも面白い処置。

参照楽譜
インターナショナル・ミュージック・カンパニー No.1150

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