今日の1枚(174)
引き続き「トスカニーニ・エッセンシャル・コレクション」の第2集で、BVCC-9702 というアルバム。
①ベートーヴェン/交響曲第3番
②ベートーヴェン/序曲「レオノーレ」第3番
トスカニーニのベートーヴェンは既に1950年代の全集を取り上げましたが、当シリーズでは旧録音が何曲か選ばれています。これもその一つで、
①1939年10月28日 NBC放送録音 NBC 8-Hスタジオ
②1939年11月4日 NBC放送録音 NBC 8-Hスタジオ
モーティマー・フランク氏のコメントによれば、
“この1939年録音の「英雄」は、トスカニーニがNBC交響楽団と行った2回のベートーヴェン・チクルスのうちの1回目で演奏され放送用としてライヴ収録されたソースからレコード化されたものであり、後年の録音にはない、リズムの柔軟性を最大の特徴としている”もの。
実際、冒頭の2つの和音は、後に続く主部のテンポよりもゆったりと演奏されているのが聴き取れます。
後年の演奏も録音を含めて極めて優れたものでしたが、演奏のみに注目すれば、当録音の完成度の高さは新録音以上と申せましょう。
①②ともに演奏終了後の客席の拍手が収録されています。特に②は圧倒的な演奏だったようで、当時としては珍しい大きな歓声も聞こえます。
①はSPで発売され、HMVの DB 5946/52S の7枚13面セット(14面は空白)でした。一方②は同じくHMVの DB 6424/5 で、2枚3面。こちらは第4面にベートーヴェンの「プロメテウスの創造物」序曲がフィルアップされています。もちろんトスカニーニ/NBC響の演奏。
録音は1939年だけに流石に古さを感じさせますが、年代の割には優れたもの。どちらも若干低音不足は否めませんが、聴き始めればほとんど気になりません。
①の細部は新盤(シリーズ150)とほとんど同じですが、新録音の第3楽章トリオは楽譜通りで、当盤の方が自然。
②では、454小節の3拍目にティンパニを追加。またコーダでは562小節から569小節まで木管にホルンを重ねています。更に629、631小節のホルン追加も当時の慣習。
参照楽譜
①オイレンブルク No.914(歌劇全曲版)
②ユニヴァーサル(フィルハーモニア) No.9
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