マイル頂上決戦の行方

今日は東京競馬場でもシーズン最初のマイル戦の頂上決戦が行われますが、それは英国でも同じ。5月14日の土曜日、ニューバリー競馬場でロッキンジ・ステークス Lockinge S (GⅠ、4歳上、1マイル)が行われました。
東京とは違って直線コースの1マイル。馬場は good to firm で、馬によってはやや硬いと感じられる馬場状態だったかも知れません。

最終登録により枠順が発表された時点では10頭が出走を予定していましたが、3頭が取り消し、最終的には7頭がゲートインしました。
今年のロッキンジの話題は専らリチャード・ハノン厩舎。去年、パコ・ボーイ Paco Boy でこのGⅠ戦を制したハノン師は、今年は厩舎のエース格の2頭、キャンフォード・クリフス Canford Cliffs とディック・ターピン Dick Turpin を出走させてきました。単にハノン厩舎の2枚看板と言うに止まらず、英国マイラー戦線の頂上を狙う2頭でもあります。

4対5の1番人気に支持されたのは、これがシーズン初戦となるキャンフォード・クリフスの方。既にサンダウン・マイルで今季デビュー勝ちしたディック・ターピンが11対4の2番人気。使われた有利不利よりも、馬本来の実力を評価しての人気だったと言えましょう。ハノン厩舎の主戦リチャード・ヒューズはキャンフォード・クリフスを選び、ディック・ターピンにはライアン・ムーアが騎乗します。
メンバーはこれだけではありません。セシル/アブダッラー/クィーリー・チームは、チャンピオン・ステークスを連覇したトゥワイス・オーヴァー Twice Over を距離をマイル戦に挑戦させてきました。このGⅠホースが7対1の3番人気で続きます。

レースはコンパクトながら中身がギュッと詰まった濃い内容。押し出されるようにイタリアから遠征してきたウォーサード Worthadd (ミルコ・デムーロ騎乗)が先頭、トゥワイス・オーヴァーもこれに並びかけるようにレースを引っ張ります。
中団に控えたハノン厩舎の2頭はほぼ並んで追走、ディック・ターピンの方が少し前に付けて勝負どころを迎えます。

ここで先ずトゥワイス・オーヴァーが脱落、ウォーサードが懸命に粘る内(スタンドから遠い方)から抜け出したのは本命キャンフォード・クリフス。ゴールではウォーサードに1馬身4分の1差を付けて貫録を見せつけ、見事人気に応えました。
ウォーサードから2馬身4分の3遅れて3着にプレミオ・ロコ Premio Loco が入り、ディック・ターピンは意外に伸びず4着敗退。トゥワイス・オーヴァーは6着に沈んでしまいました。

4つ目のGⅠ制覇となったキャンフォード・クリフス、ヒューズ騎手によれば未だ本来の力は出し切っておらず、100%の調子ではない由。この後はロイヤル・アスコットのクイーン・アン・ステークスに向かいます。
今期のヨーロッパには、強力なマイラーたちがキャンフォード・クリフスを待っているのは衆目の一致するところ。女傑ゴールディコヴァ Goldikova も現役を続けますし、3歳世代には怪物フランケル Frankel が登場してきました。いずれゴールディコヴァ、キャンディー・クリフス、フランケルの3強対決が実現するでしょう。
管理するハノン師は遂にこの言葉を吐きました。“The best horse I’ve ever had” 。

2着に頑張ったウォーサードにも注目。ヴィットリオ・カルーソ厩舎、日本にも馴染のデムーロが騎乗した同馬は、去年のイタリア2冠馬。プレミオ・パリオリ(GⅢ、伊2000ギニー)とダービー・イタリアーノ(GⅡ)を制したイタリアのチャンピオン・ホースで、この後は登録のないロイヤル・アスコットには向かわず、夏のジャック・ル・マロワ賞に向かう予定。デムーロのコメントでは、この日の馬場はウォーサードにとっては少し硬かったとのこと。
このコメントは凡走(と言ってよいでしょう)したディック・ターピンにも当て嵌まりそうで、ムーア騎手は同馬はほとんどレースをしていない、と語っていました。ディック・ターピンはこの後ロンシャンのイスパハン賞に向かう予定で、ここでゴールディコヴァとの対決が実現するでしょう。

いずれにしても今シーズン後半のマイル路線、近年になく高レヴェルの頂上決戦が見られそうです。

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