今日の1枚(187)

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団によるヴェルディの歌劇全曲録音シリーズの最後は、いうまでもなく歌劇「ファルスタッフ」全曲。BVCC-9721/22 の2枚組で、配役は以下。

ファルスタッフ/ジュゼッペ・ヴァルデンゴ Giuseppe Valdengo (バリトン)
アリーチェ/ヘルヴァ・ネルリ Herva Nelli (ソプラノ)
ナンネッタ/テレサ・シュティッヒ=ランダル Teresa Stich-Randall (ソプラノ)
クイックリー/クローエ・エルモ Cloe Elmo (メゾ・ソプラノ)
フェントン/アントニオ・マダーシ Antonio Madasi (テノール)
ペイジー(メグ)/ナン・メリマン Nan Merriman (メゾ・ソプラノ)
フォード/フランク・グァレラ Frank Guarrera (バリトン)
カイウス/ガボール・カレルリ Gabor Carrelli (テノール)
バルドルフォ/ジョン・カーメン・ロッシ John Carmen Rossi (テノール)
ピストラ/ノーマン・スコット Norman Scott (バス)
合唱/ロバート・ショウ合唱団(合唱指揮/ロバート・ショウ Robert Shaw)

これまでのヴェルディ歌劇全曲シリーズ同様、聴衆を入れての公開録音ですが、全3幕を如何に2回に分けたのかは不明です。
これまでの3曲に比べ、各幕の最後には客席から盛大な拍手が送られているのをそのまま収録しているのが他と違うところ。特に全曲最後、第3幕終了時の歓声は凄いものがあります。
ブックレットに記された録音データは、
1950年4月1日、8日 NBC放送録 NBC8-Hスタジオ。

CD1枚目には第1幕と第2幕第1場まで、2枚目に第2幕第2場と第3幕が収録されています。

当録音の初出はHMVのLPセットで、ALP 1229/31 の3枚組6面。WERMの脚注にも1950年4月の放送録音のクレジットがあります。

当盤のコメントもハーヴェイ・サックス。それによれば「ファルスタッフ」はトスカニーニが生涯で最も多く指揮したオペラの由。このコンサート形式による演奏は、マエストロが最後にこのオペラを指揮してから23年後に行われた演奏とか。

ファルスタッフ役のヴァルデンゴは7か月前からトスカニーニの指導を受け、全員を対象にしたピアノ・リハーサルは1日6時間、6週間にも及んだそうです。
当録音はそれだけの熱意を傾けて行われただけに、あらゆるオペラ録音の中でも最高の名盤の一つに挙げられるでしょう。作品の見事さと相俟って、人類の遺産と呼べるもの。レコード愛好家必携のアルバム。
多少録音の古さから来る聴き辛さを感じる個所もありますが、鑑賞にはほとんど問題にならないレヴェルです。

参照楽譜
カーマス No.F287

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