ユニオン・ラグス強し

日曜日はガルフストリーム・パーク競馬場で注目のファウンテン・オブ・ユース・ステークスが行われました。レース名が長いので、現地では「FOY」と愛称で呼ぶことが多いようです。
レース前は、現時点でケンタッキー・ダービーの1番人気に支持されているユニオン・ラグスと、同馬をBCで破り2歳チャンピオンに輝いたハンセンを前走で破ったアルゴリスムスの対決に話題が集中していました。これにアルゴリスムスと同厩の新星ディスクリート・ダンサーが挑戦するのも見どころです。
その前に行われた芝のGⅡ戦と合わせてレポートして行きましょう。

ガルフストリーム・パーク競馬場の第10レースは、マック・ダイアルミダ・ステークス Mac Diarmida S (芝GⅡ、4歳上、11ハロン)。このレースの歴史やレース名の由来については去年紹介済みです。
今年は10頭立て。人気は割れ、4頭2対1から4対1の間に差無く犇めいていました。優勝はその中の1頭、4対1で並んだ3番人気に支持されていたシマード Simmard です。芝の長距離レース、ゆったりしたペースの3番手に付け、第3コーナー手前から仕掛けて先頭に立つと、直線追い上げる1番人気(2対1)ニュースダッド Newsdad との激しい叩き合いに持ち込みます。先に主導権を握ったシマードが、スリリングな死闘をハナ差でギリギリ凌いでの優勝。5馬身4分の3差離された3着に2番人気(3対1)のマスケティーア Musketier (ドイツ産で、これが45戦目となる10歳馬!)が内ラチ沿いに追い上げ、頭差でセンター・ディヴァイダー Center Divider (勝馬と並ぶ4対1の3番人気)を捉えました。人気上位4頭が1着から4着までに入り、結果的には順当だったと言えるでしょう。
勝ったシマードは3か月の休養明け。7歳にしてG戦は初勝利となります。前走W.L.マックナイト・ハンデ(去年の11月26日、芝GⅡ)では僚友マスケティーアの2着に惜敗していた馬ですが、ここ15戦で僅か1勝しかしていませんでした。通算成績は28戦6勝2着4回3着2回となります。
シマードを管理するロジャー・アトフィールドは、3着マスケティーアの調教師でもあります。騎手はハヴィエル・カステラノ。

そして愈々ファウンテン・オブ・ユース・ステークス Fountain of Youth S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。去年は創設年やグレードの経緯について触れませんでした。改めて紹介すると、創設は1945年。アメリカにグレード制が導入された1973年にはGⅢに格付けされました。1982年にはGⅡに昇格、更に1999年には最高格のGⅠ戦に昇り詰めます。しかし2004年以降は現在のGⅡに再び降格され、現在に至っています。
当初は8頭が登録していましたが、当日の朝、トッド・プレッチャー師が期待馬アルゴリスムス Algorithms の取り消しを発表。右後脚に不安が出たということです。結局7頭立て行われましたが、4対5の1番人気に支持されたのは、ステークス初挑戦ながら同じプレッチャー厩舎が送る2戦無敗のスピード馬ディスクリート・ダンサー Discreet Dancer でした。デビュー戦でガルフストリーム・パークの5.5ハロンのレコードを更新、2着に9馬身以上の大差を付けて圧勝したスピード馬です。BCジュヴェナイルで初黒星(2着)を喫したユニオン・ラグス Union Rags は、意外にも6対5の2番人気。BC以来のレースでシーズン初戦だったこと、BCの1・3着馬がいずれもシーズン初戦で敗れていたことも嫌われた一因だったかもしれません。
スタートすると、先ず持ち前のスピードを活かしてディスクリート・ダンサーが先頭に立ちます。伏兵(27対1)ニュース・ペンディング News Pending に競り掛けられる場面もありましたが、ハナを譲らず3コーナーを回ります。しかしここで楽に進出してきたのが3番手に待機していたユニオン・ラグス。先行2頭に外から並び掛けると、第4コーナーでは早くも先頭。直線ではそのままリードを広げ、2着争いに競り勝ったニュース・ペンディングに4馬身差を付ける楽勝でダービー本命馬の貫録を見せ付けました。ディスクリート・ダンサーは初めての距離が堪えたか、2着から2馬身4分の1差の3着敗退に終わりました。見事復権を果たしたユニオン・ラグスは、これで5戦4勝2着1回。
ユニオン・ラグスを管理するマイケル・マッツ師は、バルバロ Barbaro で2005年のケンタッキー・ダービーを制した調教師。このあとはフロリダ・ダービー(GⅠ、3月31日)からケンタッキーを目指すことを明らかにしました。騎手は同馬に初騎乗となるジュリアン・ルパルー。これまでユニオン・ラグスとコンビを組んできたハヴィエル・カステラノは、アルゴリスムスと三冠に臨むことが決まったため乗り替わったのです。今回は直前にアルゴリスムスが取り消したため、カステラノにとっては何とも皮肉な結末となってしまいましたね。

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