記録尽くめのケンタッキー・ダービー

2000ギニー・レポートをアップして一段落、次はアメリカ競馬です。とは言っても昨日のG戦スケジュールはケンタッキーの6鞍に加えてベルモント2鞍、ハリウッド2鞍のてんこ盛り。見ただけでウンザリですわ。
ということで、先ずはダービーだけ単独にレポートしちゃいましょう。鮮度が落ちちゃ面白くありませんし、ダービーだけで他はどうでも、という意見もあるでしょ。他はゆっくり、一息ついてから取り掛かかりましょう。終わるのは何時になるか判りませんヨ、念のため。

さて気を取り直してケンタッキー―・ダービー Kentucky Derby (GⅠ、3歳、10ハロン)。オークスと同じ年に創設されましたから、こちらも今年で第138回を迎えました。
チラッと Twit したように、出走枠20頭に21頭が最終登録、結局は20頭以内に入った馬から取り消しが出なかったため、予備登録のマイ・アドニス My Adonis は発走除外になりました。
1番人気(4対1)はアーカンソー・ダービー(GⅠ)を逃げ切って圧勝したボウディマイスター Bodemeister 、今回もスピードに任せて逃げ切る作戦でしょう。名手マイク・スミスに全ては委ねられました。2番人気は長い間本命視されてきたユニオン・ラグス Union Rags の5対1、続いてはウッド・メモリアル(GⅠ)の覇者ジェモロジスト Gemologist の8対1で、単勝10倍以下はここまで。あとは単位続きで可能性のある馬に人気が割れていました。

レースは予想通りボウディマイスターがハナに立ちます。スローに落とす気配はなく、後続が付いて行くのに苦労するほどのハイペース。記録によれば、1マイルの通過タイムはダービー史上5番目の速さだったとか。
第4コーナーを回って直線、依然としてボウディマイスターが3馬身ほどの差を付けて逃げ込みに入ります。しかし流石に最後は逃げ足が鈍る気配。そこに追い込んできたのは、前半は6番手辺りに付けていた伏兵(15対1、人気としては8番目でしょうか)のアイル・ハヴ・アナザー I’ll Have Another 。最終コーナーは馬4頭分の外を回って本命馬を追い詰め、遂にゴールではボウディマイスターを1馬身半差し切っての優勝です。アイル・ハヴ・アナザーの更に外からデューラハン Dullahan とウエント・ザ・デイ・ウェル Went The Day Well が追い上げてきましたが、本命馬には届かずデューラハンが首差3着、更に4分の3馬身差でウエント・ザ・デイ・ウェルが4着。
以下有力馬では、クリエイティヴ・コース Creative Cause 5着、ユニオン・ラグス7着、直線で一旦は2番手に上がったハンセン Hansen 9着、アイルランドからオブライエン師が送り込んだダディー・ロング・レッグス Daddy Long Legs (オダナヒュー騎乗)は20着どんじりに惨敗しました。

アイル・ハヴ・アナザーはダグ・オネイル師の管理馬。師がダービーに駒を進めたのは3頭目で、2007年に出走させた2頭はいずれも惨敗に終わっていました。もちろん師にとってダービー初制覇。また騎乗したマリオ・グティエレスに至っては、何とこれがダービー初騎乗。何度挑戦しても勝てないジョッキーが多い中、何ともラッキーな若者です。メキシコ出身の25歳。カナダでキャリアをスタートさせ、南カリフォルニアに移ってきたニューフェイスです。
更に記録を紹介すると、大外の一つ内側、19番枠からダービーを制したのはアイル・ハヴ・アナザーが初めてのことだそうです。外は不利というのが定説ですが、それを覆す快挙でしたね。因みにボウディマイスターは6番枠でした。
勝馬の父はフラワー・アレー Flower Alley 、2005年のダービーでジャコモ Giacomo の9着だった馬で、又してもミスター・プロスペクター Mr. Prospector 系の種牡馬です。アメリカの三冠はミスター・プロスペクターが圧倒的に強く、未だこの父系の優位は続きそう。

アイル・ハヴ・アナザーは2歳時、7月3日の新馬戦(ハリウッド)でデビュー勝ち。その後ベスト・パル・ステークス(GⅡ)で2着、ホープフル・ステークス(GⅠ)6着でシーズンを終えます。
3歳デビューはロバート・B・ルイス・ステークス(GⅡ)、ここで勝った時には陣営は“信じられん”という感想だったようですが、続いてサンタ・アニタ・ダービー(GⅠ)と連勝。この時に“よっしゃ、ダービー行くぞ”と気合が入ったのだそうな。
陣営はデビューのときから「プラン」を持って馬を使ってきました。ケンタッキー・ダービーの優勝まで6戦4勝2着1回。勢いに任せて行き当たりばったりの使い方をしてこなかった「プラン」が出した結果かもしれませんね。次はプラン通り、2冠目のプリークネスに向かうでしょう。

今年のケンタッキー・ダービーを現場で観戦したファンは16万5千307人、これまでの記録を更新する盛況だったようです。

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