タピット産駒に注目

今冬のアメリカは異常な暖冬ということで、ワシントンでは既に桜が満開を迎えているようです。暖かいのは結構ですが、逆に豪雨や竜巻シーズンの到来も速目になっているのだとか。
昨日の日曜日、カリフォルニアは大雨の予報が出ていて、予定されていた芝コースのサン・ルイ・レイ・ステークスは週の半ばに早々と1週間の延期が発表されました。アメリカでは馬場が悪化すれば芝コースがダート・コースに変更されるのは日常茶飯事、サン・ルイ・レイは来るサン・ファン・カピストラーノの重要なトライアルということもあり、ダートへの変更を早目に回避しようとの処置なのでしょう。
日本ではあり得ないことですし、アメリカでも全てがこのように対応するわけではないと思われますが、今回の対処もそれほど例の多い事ではないでしょう。

ということで、昨日のアメリカG戦はガルフストリーム競馬場の一鞍、こちらも芝戦でしたが無事に予定のコースで行われました。ダート変更を見越して登録する馬もありましたから、仮に馬場が悪化すればダート・コースに変更して開催されたものと思われます。

それがハネー・フォックス・ステークス Honey Fox S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。去年は詳細不明と紹介しましたが、その後調べたところによると、創設は1985年のようで、最初はジョー・ネーマス・ハンデキャップ Joe Namath H というレース名だったようです。GⅢにランクされたのは旧レース名だった1994年のようで、2001年から現在の名前に改名されたと思われます。2008年は開催が無かったようで、勝馬の記録が残っていません。
今年は11頭が登録、冒頭で紹介したように更に雨で馬場がダート・コースに変更された場合にのみ出走する2頭の登録もありました。しかし結局は予定通り芝で開催、芝登録馬からも2頭の取り消しが出て、最終的には9頭立てで行われています。この中から3対2の1番人気に支持されたのは、アイルランドから転厩してきたフューチャー・ジェネレーション Future Generation 。アメリカでのステークスは初挑戦ですが、去年アイルランドでGⅢのデスモンド・ステークスに勝った実績が買われていました。2番人気(9対2)には前走マーシュアズ・リヴァー・ステークス(芝GⅢ)でハナ差2着だったラ・レーヌ・リオンヌ La Reine Lionne と、やはり前走フロリダ・サンシャイン・ミリオンズ・ターフで2着したロマカカ Romacaca が並んでいます。
レースはそのロマカカがハナに立ち、ラ・レーヌ・リオンヌとベイ・トゥー・ベイ Bay to Bay が追走する展開。直線入口でラ・レーヌ・リオンヌがロマカカを捉えて先頭に立ちましたが、好スタートから一旦は6番手に下げたタピッツフライ Tapitsfly が先行3頭の外から鋭く伸び、2着以下に4分の3差を付けての差し切り勝ち。接戦の2着はベイ・トゥー・ベイがラ・レーヌ・リオンヌにハナ差で先着し、本命フューチャー・ジェネレーションも後方から直線で良く追い込んだものの4着まで。逃げたロマカカは5着入線です。先行馬群にいたルーヴァコーヴァ Louvakhova が直線で競争を中止しました。
デール・ロマンス師が調教、ジュリアン・ルパルーが騎乗したタピッツフライは、2歳時にBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフに勝った馬。その後は勝星に見放され、ここまで7連敗中。前走マーシュアズ・リヴァーでは今回破ったラ・レーヌ・リオンヌに続く3着で、今回は5対1の4番人気でした。3年前はBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフはGに格付けされていませんでしたので、意外にもこれが同馬にとってG戦初制覇となります。
馬名から想像できるように、彼女の父はタピット Tapit 。今年のダービー候補ハンセンHansen や我がテスタマッタの父として注目の種牡馬です。タピットはローレル・フューチュリティー(GⅢ)とウッド・メモリアル(GⅠ)など3勝した2001年生まれの芦毛馬。タピッツフライもハンセンも父と同じ芦毛ですが、テスタマッタが鹿毛であるところも血統の面白さと言えましょうか。

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