またしても雨に祟られたサンタ・アニタの芝コース

一昨日の日曜日、アメリカでは本来サンランド・パークとサンタ・アニタで一鞍づつのG戦が組まれていましたが、先週の大雨で順延されたサンタ・アニタのサン・ルイ・レイ・ステークスも追加で組まれています。
雨を避けたはずのサン・ルイ・レイでしたが・・・・。

先ずはニュー・メキシコ州のサンランド・パーク競馬場からサンランド・ダービー Sunland Derby (GⅢ、3歳、9ハロン)。2009年に4着だったマイン・ザット・バード Mine That Bird がケンタッキー・ダービー馬になったレースですね。
今年は fast 馬場に8頭立て。8対5の1番人気には、分割されたサウスウエスト・ステークス(GⅢ)の勝馬の1頭キャスタウエイ Castaway が挙げられ、地元馬で前走ボーダーランド・タービーに勝ったイズント・ヒー・クレヴァー Isn’t He Clever が3対1の2番人気で続いていました。
レースはキャスタウエイとエンダー・クニーヴェル Ender Knievel が激しく先頭を争って逃げる展開。両者がバテるのと入れ替わってイズント・ヒー・クレヴァーが先頭に立ち、直線で他馬を引き離して逃げ込みを図りましたが、後方3番手から向正面で徐々に進出した3番人気(7対2)のダディー・ノーズ・ベスト Daddy Nose Best が直線入口で2番手まで押し上げ、最後の直線でジリジリ差を詰めると、ゴール手前で4分の3馬身イズント・ヒー・クレヴァーを差し切って優勝。3着は7馬身4分の1の大差が付いてサウスウエストのもう一方の覇者スティアード・アップ Stirred Up が続きました。本命キャスタウエイはバテて7着敗退。
スティーヴン・アスムッセン師が管理、ジュリアン・ルパルーが騎乗したダディー・ノーズ・ベストは前走2月にエル・カミノ・リアル・ダービー(GⅢ、ゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場)に勝った馬で、ケンタッキー・ダービーへの切符をほぼ手中にしています。2歳時には主に芝コースで走り、ダートコースは去年の夏以来の競馬でした。アスムッセン師によれば、このあと3月27日にケンタッキー入りして本番に備える由。
なお、この日は来場したファンも熱く、馬券売り上げはニュー・メキシコ史上最高額を記録したそうです。

続いてサンタ・アニタ競馬場。冒頭で紹介したように、第4レースに行われたのは、悪天候のために1週間延期されたサン・ルイ・レイ・ステークス San Luis Rey S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)です。去年も馬場が悪化しましたが、ダート・コースに変更しGⅢで開催されていました。今年は何としても芝コースで、という思いが延期となって表れたのでしょう。
この日も雨でしたが、順延が巧く行って芝コースは何とか firm で持ち堪えます。それでもヒルサイドのコースはメインの芝コースに変更され、6頭の登録から1頭取り消しがあって5頭立ての寂しい一戦となってしまいました。6対5の1番人気は、3か月の休養明けとなる前走サン・マルコス・ステークス(芝GⅡ)で僅差4着したバーボン・ベイ Bourbon Bay 。一昨年のサン・ルイ・レイの勝馬で、サンタ・アニタの芝コースは7戦して5勝という実績を味方につけていました。サン・マルコス2着のユートピアン Utopian が2対1の2番人気、同レースを伏兵で勝ったスリム・シェイディー Slim Shadey が4対1の3番人気で続きます。人気の上では前走の逆転あり、という予想。
そして結果も予想を裏切りませんでした。最低人気(8対1)のホグズ・ホロウ Hog’s Hollow がスローペースで逃げましたが、スリム・シェイディーがこれを捉えて先頭、そのまま勝負が決したと思われた時、終始先行馬群から離れた最後方に待機したバーボン・ベイの末脚が直線で爆発、ゴール寸前でスリム・シェイディーを頭差差し切るスリリングな結果となりました。3着は2馬身半差でホグズ・ホロウの逃げ残り。更に1馬身半差4着がユートピアンでした。
バーボン・ベイはナイル・ドライスデール師の管理馬、今回初騎乗となったジョエル・ロザリオが最後方でジッとしているので、ドライスデール師はひやひやだった様子。そもそも2・3番手で競馬、という指示でしたから、それも止むを得ないでしょう。それでも馬場状態はジョッキーにしか判らない部分もあり、雨が降り出したばかりの難しい判断を克服したロザリオの好判断と評すべきです。
これで2度目のサン・ルイ・レイ優勝となるバーボン・ベイ、サンタ・アニタの芝コースではGⅡ5勝目でもあります。当然ながら開催最終日のサン・ファン・カピストラーノでも2度目の制覇(前回は2010年)を目指すことになります。

続いてこの日の本来のメイン・イヴェント、第7レースのサンタ・アナ・ステークス Santa Ana S (芝GⅡ、4歳上牝、9ハロン)。1981年にGⅢ、翌年にGⅡ、1984年からは芝コースのGⅠ戦と徐々にステイタスが変わり、1997年からは再び芝のGⅡ戦に降格した一戦です。
開催途中で降り出した雨は次第に激しくなり、第7レースがスタートする頃には音を立てて降る始末。馬場状態は good 発表まで渋っていましたが、実際はもっと重い馬場だったように見えました。スタート地点など雨で煙って視界が通らないほど。当初は11頭が登録していましたが、1頭取り消しが出て10頭立て。力量の比較が難しく、8対5の1番人気にはフランスから転戦して2戦目のカメリア・ローズ Camelia Rose が選ばれていました。去年のBCフィリー・アンド・メア・ターフを制したキャンビーナ Cambina が7対2で2番人気。3番人気は7対1で3頭が並ぶ混戦です。
レースは3番人気の一角ストローベリーダイキリ Strawberrydaiquiri の逃げで始まりましたが、最後は後続各馬が一斉に追い込む大混戦。結局は1番外を通った3番人気の1頭でチリ産馬ヴァモ・ア・ガルーピアー Vamo a Galupiar が抜けていました。2着以下も4頭が並ぶ写真判定となり、勝馬から半馬身差2着に11対1のワイルド・ミア Wild Mia 、ハナ差3着に65対1の大穴ハード・セヴン Hard Seven が飛び込み、更にハナで4着シティー・トゥー・シティー City to City (これも3番人気)、5着に本命カメリア・ローズの順。キャンビーナは6着、ストロベリーダイキリは8着に終わりました。雨が結果に大きく作用したと言わざるを得ないでしょう。
ヴァモ・ア・ガルーピアーを管理するのは、サン・ルイ・レイに続いてネイル・ドライスデール。同馬に初めて騎乗したマイク・スミス騎手は、これがアメリカでの4997勝目。五千の大台が見えてきました。ずぶ濡れになって“天気よりは良い気分”と答えたドライスデール師にとって、これはサンタ・アナ2度目の制覇。1998年のフィジー Fiji に続く快挙です。
チリではGⅠに勝っているヴァモ・ア・ガルーピアー、1月にサンタ・アニタで一般のステークスに勝っていましたが、ブエナ・ヴィスタ(芝GⅡ)では1番人気で6着。馬場が適していたことと、通ったコースが雪辱の要因かもしれません。

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