5月3日のアメリカ競馬(3)

ここまでチャーチル・ダウンズのG戦を紹介してきましたが、残るニューヨークとカリフォルニアのG戦を最後に纏めておきます。

ベルモント競馬場では芝のG戦が2鞍、牡馬版と牝馬版のほぼ同じ条件で行われるレースです。馬場状態は good 、日本で言う稍重で、ボーゲイ・ステークス Beaugay S (芝GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)は3頭が取り消して7頭立て。去年までは3歳上でしたが、3歳馬の出走は期待できないので牡馬版と同じ条件に変わりました。前走タンパ・ベイのヒルスボロー・ステークス(芝GⅢ)でハナ差2着と惜敗のウォーターウェイ・ラン Waterway Run が2対1の1番人気。
逃げるアッサティーグ Assateague を4~5番手で追走したウォーターウェイ・ラン、直線では馬群を割るように抜け出すと、2番人気(5対2)のオリオン・ムーン Orion Moon を首差で抑える順当な結果。1馬身4分の1差で英国産馬バイラーマ Byrama が3着に入りました。
チャド・ブラウン厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のウォーターウェイ・ランは、これがアメリカ初勝利で、もちろんG戦も初勝利。1マイルか8.5ハロンを守備範囲とする芝馬です。

もう一鞍のフォート・マーシー・ステークス Fort Marcy S (芝GⅢ、4歳上、9ハロン)。これも去年までは3歳上という条件で、距離も8.5ハロンから僅かに延長されています。10頭立て。イギリスから転じてきたグレール Ghurair が6対5の1番人気。果たして評判通りアメリカ・デビューを飾れるでしょうか。
レースは伏兵(19対1、8番人気)ファイヴ・アイアン Five Iron が後続を10馬身も引き離す大逃げ、直線に向けて徐々に差が詰まりましたが、結局は後方4番手から懸命に追い上げる2番人気(3対1)のサマー・フロント Summer Front に1馬身差を付ける逃げ切り勝ちでした。最後に実況アナが“Yes, He Can !”と絶叫していたのは笑ってしまいましたね。2馬身差で接戦の3着には5番人気(10対1)のテトラドラクム Tetradrachm が入り、グレールはスタートも悪く、最後方からレースを進めて8着と期待を裏切りました。
ブライアン・リンチ厩舎、今回が初コンビとなるマイケル・ラッツィ騎乗のファイヴ・アイアンは、去年9月のサラトガでサラナック・ステークス(芝GⅢ)を同じように逃げ切って以来の勝利。その後ホーソン・ダービー(芝GⅢ)では3着、今年3月にはアップルトン・ステークス(芝GⅢ)で9着に終わっていました。

昨日最後のG戦は、サンタ・アニタ競馬場のプレシジョニスト・ステークス Precisionist S (GⅢ、3歳上、8.5ハロン)。もちろん閉鎖されたハリウッドのレースを引き継いだもので、ハリウッド時代はメルヴィン・ルロイ・ハンデ Mervyn LeRoy H で知られていたレースです。かつてはGⅠに格付けされていましたが、今回はGⅢまで降格。とは言っても6月28日に予定されているゴールド・カップ(以前はハリウッドと冠が付いていましたが、今年は単にゴールド・カップなのでしょうか)のトライアルであることには変わりありません。1頭取り消して6頭立て。G戦初挑戦ながら、目下3連勝中の上がり馬フューリー・カプコーリ Fury Kapcori という馬が2対5の圧倒的1番人気。
そのフューリー・カプコーリ、スタートこそ最後と出遅れ気味ながら直ぐに先頭に立つと、そのまま楽に逃げ切ってしまいました。2着は5馬身4分の3も離されて2番手を追走した4番人気(15対1)のハンサム・マイク Handsome Mike が入り、所謂行った行ったの競馬。更に4分の3馬身差で3番人気(5対1)のマジェスティック・シティー Majestic City が3着。最後は抑えた本命馬の強さだけが目立ったレースでした。
勝馬のオーナーの一人でもあるジェリー・ホーレンドルファー厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗のフューリー・カプコーリは、前走サンタナ・マイル(一般ステークス)を含めて3連勝し、今回のG戦初制覇で連勝記録を「4」に伸ばしました。未だ4歳、これから更なる成長が期待できそうです。

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