不良馬場のサンダウン・マイル
今週末、英国のサンダウン競馬場は春開催です。二日間、伝統のスプリング・ミーティング。初日のパターン・レースは一鞍、現在は bet365 Mile というレース名ですが、通称サンダウン・マイル Sandown Mile (GⅢ、4歳上、1マイル14ヤード)が行われました。
馬場は「重」 soft を通り越して「不良」 heavy 、ここがミソですね。当初登録から1頭取り消して6頭立て。15対8の1番人気には、既にGⅢをいくつも制してきたフェイマス・ネイム Famous Name 。アイルランドからデルモット・ウェルド師が送り込んできた7歳馬で、今シーズンも既にレパーズタウンのリステッド戦に勝って健在です。
レースは日本では中々見られない展開。サンダウンのマイル・コースは向正面からスタートし、右にカーヴして残り1000メートルほどが直線となる右回り。コチャバンバ Cochabamba が逃げ、最初は内と外に3頭づつのグループに分かれます。直線に入る所でコチャバンバ1頭が内(スタンドから遠い側)を衝き、他の5頭は外で一団。前半2番手を進んだクエスチョニング Questioning が自然に外のグループの先頭に立ちます。
直線、逃げたコチャバンバは後退し、クエスチョニングが先頭に立った所に後続馬群からペニテント Penitent が抜け出し、最後はクエスチョニングとの叩き合い。最後はこの馬場をより得意とするペニテントがクエスチョニングに1馬身4分の3差を付けて優勝しました。3着は8馬身の大差で本命フェイマス・ネイムが入り、更に8馬身差が開いて2番人気(5対2)のデュバウィ・ゴールド Dubawi Gold の順。
ペニテントとクエスチョニングは共に5対1の並んだ3番人気。両馬は平場開催初日のドンカスター・マイル(リステッド戦)でも対戦しており、その時もペニテントが勝ってクエスチョニングは2着(頭差)でした。クエスチョニングは先週ニューマーケットのアール・オブ・セフトン(GⅢ)を制したばかりで、ここは連闘で臨んでいました。
ペニテントは去年までウイリアム・ハッガス師が管理してきましたが、今年初めにデヴィッド・オメーラ厩舎に移籍、転厩してから2連勝と絶好調です。オメーラ師にとってはこれまでで最大の勝利。レース直後は、“フランケル Frankel に挑戦だ”、と快気炎を上げていましたが、“一晩眠れば冷静になるけどネ” と自制を忘れません。鞍上はダニエル・タドホープ騎手。
それでも馬主(ミドルハム・パーク・レーシングという共同馬主)サイドは強気で、単なる重馬とは思わない、と期待を表明しました。
一方G戦2連勝を逃したクエスチョニングのジョン・ゴスデン師は、“今日の馬場は重じゃなくて不良だからネ”と、最後の叩き合いで敗れた原因を強調しています。フランケルに挑むのはどちらでしょうか。
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