不良馬場のサンダウン

昨日はサンダウン競馬場の春開催、3鞍のG戦が行われました。イギリスは未だ早春ということもあり、馬場は雨にそぼ濡れた soft 。これを嫌って取り消す馬も多かったようです。

最初は第52回ゴードン・リチャーズ・ステークス Gordon Richards S (GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン7ヤード)。1頭が取り消して5頭立て。去年の仏ダービー3着(勝馬はインテロ Intello)で、アンドレ・ファーブル厩舎にいたスカイ・ハンター Sky Hunter が6対5の1番人気。今期からゴドルフィンにトレードされ、スロール厩舎でのデビューを迎えます。

しかし結果は3番人気(4対1)ノーブル・ミッション Noble Mission の一方的な逃げ切り勝ち。休み明けの死角があることを公言していたスタウト厩舎の2番人気(5対2)テレスコープ Telescope が9馬身離された2着に入り、更に9馬身の大差が付いてコントリビューター Contributer が3着。如何にも不良馬場らしい結果になりました。本命スカイ・ハンターはスタートこそ先手を取りましたが、直ぐに後方に下げて全く伸びず期待を裏切っています。
勝ったノーブル・ミッションは、度々紹介しているように名馬フランケル Frankel の全弟。サー・ヘンリーから引き継いだレディー・セシルが管理し、今回はジェームス・ドイルが騎乗していました。フランケル同様ハーリッド・アブダッラー殿下のジャドモント所有馬で、2012年のゴードン・ステークス以来2つ目のGⅢ勝ちとなります。去年はドラー賞(GⅡ)4着でシーズンを終え、今期は既にジョン・ポーター・ステークス(GⅢ)2着で一叩きされていました。陣営は叩かれた利と先行する馬が不在なことを考慮し、逃げ切りはレース前からの作戦だった由。次走は来週のニューマーケットか、6月のロイヤル・アスコットを予定しているようです。

続いては今年が30回目となるサンダウン・マイル bet365 Mile (GⅡ、4歳上、1マイル14ヤード)。史上3頭目の2連覇を目指していたトランペット・メジャー Trumpet Major が取り消して6頭立て。去年のフォレ賞(GⅠ)で3着したガースウッド Garswood が5対2の1番人気。最近はより短い距離で走っていましたが、2000ギニー7着以来となる1マイルの距離に再挑戦してきました。

5番人気(5対1)ペニテント Penitent の逃げ。ムーア騎乗のガースウッドは、ゴードン・リチャーズのスカイ・ハンターと同じようなレースで、終始後方のまま伸びず5着に敗退してしまいます。勝ったのは4番手から伸びた3番人気(9対2)のタリアス Tullius 、後方から追い込むモンティリッジ Montiridge に3馬身4分の3差を付けていました。更に2馬身4分の3差で逃げたペニテントが3着逃げ残り。
アンドルー・ボールディング厩舎、ジミー・フォーチュン騎乗のタリアスは、一昨年のソヴリン・ステークス(ソールズベリー競馬場)に続く二つ目のG戦制覇。去年は故障に泣いて3戦(未勝利)しか使えませんでしたが、今年はドンカスターのオープニングでリンカーン・ハンデで2着と健闘、復活の兆しを見せていた6歳せん馬です。重馬場を得意とする利を活かした勝利と言えそうです。
今回のGⅡ勝ちにより今期はペナルティーが付いて回ります。ロッキンジ・ステークスやクィーン・アン・ステークスなどペナルティーの無いGⅠ戦を使っていかざるを得ないでしょうが、最高格レースでの入着狙いでも賞金的には充分ペイするというのが陣営の目論見のようです。

最後は、ダービーのトライアルとして知られるサンダウン・クラシック・トライアル bet365 Classic Trial (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン7ヤード)。今年が62回目となりますが、最近ではここからダービー馬は出ていません。今年はどうでしょうか。2頭の取り消しがあり6頭立て。G戦クラスには初挑戦ですが、ここまで2戦無敗のウエスタン・ヒム Western Hymn が1対2の断然1番人気、ここを勝たなければダービーへの出走権は得られない一戦です。

2番人気(7対1)のレッド・ガリレオ Red Galileo と伏兵オートメイテッド Automated の逃げで始まりましたが、後方に待機したウエスタン・ヒムが期待通りの末脚で前を捉えると、最低人気(25対1)のインパルシヴ・モーメント Impulsive Moment に1馬身4分の3差を付けて見事人気に応えました。更に2馬身差で3番人気(8対1)のマスター・カーペンター Master Carpenter が3着。
これで無敗記録を「3」に伸ばしたウエスタン・ヒムは、このトライアル7勝目となるジョン・ゴスデン師の管理馬で、ウイリアム・ビュイック騎乗。2歳時にケンプトンでデビュー勝ちし、今期は前走ニューバリーの条件戦に勝ってきたダービー候補。もちろん今回が最も手強いレースで、馬場も初めて経験する渋いコース。陣営は取り消しも考えましたが、ここは経験のためと、ここを勝たなければダービー出走は望めないという想いから敢えて挑戦してきました。
父はダービー馬ハイ・シャパラル High Chaparral 、このあとはヨーク競馬場のダンテ・ステークスを使い、結果を見て本番に向かうものと思われます。ダービーのオッズはレース前と変わらず12対1ですが、今回のトライアルでダービーのオッズが出されていたのはウエスタン・ヒム唯1頭。期待馬が、内容的には驚かせるようなものではなかったものの、順当に勝った一戦と言えるでしょう。

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