5月5日、ダービー以外のアメリカ競馬

今日3つ目の日記は、5月5日にアメリカで行われたケンタッキー・ダービー以外のG戦9レースのレポートです。いい加減疲れましたからね、サーッと流していきましょう。と言ってもGⅠが二つもあるぞ。
もう順序はどうでもいいので、先ずはGⅠが3鞍も組まれていたチャーチル・ダウンズ競馬場から行きましょう。ダービーを彩るG戦5鞍、全て古馬のレースで、芝コースは good 、ダートコースは fast の馬場状態でした。

最初は第6レースのターフ・スプリント・ステークス Turf Sprint S (芝GⅢ、4歳上、5ハロン)から。12頭が出走し、3対2の1番人気はこれがシーズン・デビューながら既にステークスに5勝しているブリッジタウン Bridgetown でした。
本命ブリッジタウンを含めた4頭が激しいハナ争いを演じ、5番手に待機していた3番人気(4対1)のグレート・アタック Great Attack が鮮やかに差し切りました。4分の3馬身差2着に本命ブリッジタウン、2馬身遅れて3着には伏兵(25対1)カクタス・サン Cactus Son が飛び込んでいます。
調教師がウェスリー・ワード、勝利騎手はジョエル・ロザリオ。

続いて第7レースのチャーチル・ダウンズ・ステークス Chrchill Downs S (GⅡ、4歳上、7ハロン)。8頭立てですが、ここは2強対決の趣です。去年のプリークネス・ステークスを制したシャックルフォード Shackleford 対 去年のBCスプリントの覇者アマゾンビー Amazombie 。微妙な距離ですが、前者が9対5の1番人気、後者は2対1で2番人気。他は付け入る余地はなさそうに見えます。
実際、レースも正にマッチレース。最初はウイルズ・ワイルドキャット Will’s Wildcat が逃げましたが、2強が並ぶように先頭を奪うと後はスリリングなマッチレース。結局は枠順の関係か、4枠のシャックルフォードが内、6枠のアマゾンビーが外を通っての叩き合いとなり、シャックルフォードが1馬身リードを付けていました。3着は5馬身離されてガントリー Gantry が何とか。
デール・ロマンス厩舎、ヘスス=ロペス・カスタノン騎乗のシャックルフォードはプリークネス以来の勝利、7連敗に終止符を打ちました。連敗と言っても前走カーター・ハンデ(GⅠ)は3着に健闘しており、G復活は相手関係次第だったでしょう。次はGⅠを狙いたいところ。

3つ目のグレード戦は、第8レースのチャーチル・ディスタッフ・ターフ・マイル Churchill Distaff Turf Mile (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。ここは3頭が取り消し、7頭立てで行われました。芝コースでは5戦して負けは一度と言うマーケティング・ミックス Marketing Mix が3対2の1番人気。
レースは2番人気(7対2)のデイジー・ディヴァイン Daisy Devine が逃げ、マーケティング・マックスは2番手でマークする展開。しかし人気2頭は共に不発、勝ったのは後方3番手から追い込んだ3番人気(5対1)のハングリー・アイランド Hungry Island でした。3番人気を分けあった2009年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフの覇者タピッツフライ Tapitsfly が1馬身差2着、更に1馬身半差で3着にはラ・レーヌ・リオン La Reine Lionne が追い込んでいます。マーケティング・ミックスは4着、デイジー・ディヴァインも5着敗退。
クロード・マゴーヒー厩舎のハングリー・アイランドは、昨夏サラトガのレーク・プラシッド・ステークス(芝GⅡ)以来の勝利、4連敗中でやや人気を落としていた存在です。鞍上ジョン・ヴェラスケスは同馬に初騎乗でした。

そしてここからはGⅠ戦3連発が続きます。GⅠのトップバッターは、第9レースのフマーナ・ディスタッフ Humana Distaff (GⅠ、4歳上牝、7ハロン)。9頭が出走し、僅差で1番人気(3対1)に支持されたグルーピー・ドール Groupie Doll の独り舞台になりました。
マイルドリー・オフェンシヴ Mildly Offensive の逃げを2番手でマークしていたグルーピー・ドール、3角手前で先頭に立つと、あとは後続を引き離す一方。結局2着ミュージカル・ロマンス Musical Romance に7馬身4分の1の大差を付けていました。3着マジカル・フィーリング Magical Feeling は更に5馬身4分の1差離されての入線。勝時計1分20秒44はトラック・レコード、グルーピー・ドールがほぼ自身で記録した実力でしょう。
ウイリアム・ブラッドリー師が管理、ラジーヴ・マラー騎乗のグルーピー・ドールは、これがシーズン5戦目でGⅠに2連勝。4月21日キーンランドのヴァイネリー・マディソン・ステークス以上の圧勝劇でした。

このコーナーの最後、ダービーの直前に行われたのが第10レースのターフ・クラシック・ステークス Turf Classic S (芝GⅠ、4歳上、9ハロン)。11頭が顔を揃えました。去年のBCマイルでハナ差2着に惜敗したトゥラルアー Turallure が2対1の1番人気。
しかしここは番狂わせ、本命馬は7着に敗れる波乱で、後ろから4番目の人気薄(12対1)リトル・マイク Little Mike がまんまと逃げ切ってしまいました。2馬身半離された2着スリム・シェイディー Slim Shadey も、更に半馬身差3着ブリリアント・スピード Brilliant Speed も手も足も出ず。2番人気(9対2)のダブルス・パートナー Doubles Partner も4着がやっと。
デール・ロマンス師が管理するリトル・マイクは、GⅢに3勝している5歳せん馬。同馬とコンビを組んでいるジョー・ブラーヴォは、“オレも24年乗ってるけど、一番愛着が沸くのがリトル・マイクなんだよね” とエールを送っていました。

最後のケンタッキー・ダービーは紹介済みッ、と。
で、次はベルモント・パーク競馬場の2鞍に行きましょうか。さすがのニューヨークもハリウッドもこの日ばかりは脇役ですけどね。

ベルモントの2鞍はいずれも芝コース、雨で馬場は yielding と渋っていました。先ずフォート・マーシー・ステークス Fort Marcy S (芝GⅢ、3歳上、8.5ハロン)は3頭が取り消して6頭立て。シーズン初戦ながらベルモントではG戦に3勝しているウインター・メモリーズ Winter Memories が9対10の断然1番人気に支持されていました。
前半は3~4番手に付けていたウインター・メモリーズ、直線入口では5番手まで下がりましたが、外から馬群をこじ開けるようにして抜けた後は直線一気、2着ギッチー・グーミー Gitchee Goomie に2馬身4分の1差を付ける快勝です。3着にはプリンシパル・ロール Principal Role が追い上げましたがハナ差届かず。
ジェームス・トーナー師が管理するウインター・メモリーズはG戦6勝目、ベルモントではガーデン・シティー・ステークス(GⅠ)を含めて4勝目という相性の良さです。今回彼女に初騎乗したエディー・カストロは、これが節目となる全米での2000勝目。2003年からアメリカで乗るようになった同騎手はパナマ出身の今年27歳。10年目で2000勝というのは速いですねェ~。

続くボーゲイ・ステークス Beaugay S (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)も3頭が取り消し、元々ダートに変更された場合にのみ出走を予定していた1頭は出ませんので、ここも6頭立てで行われました。ここも1番人気(7対5)に支持されたボアステラス Boisterous が期待に応えて快勝しています。
レース内容もフォート・マーシーに酷似したもので、アップグレード Upgrade の逃げを3~4番手で待機、直線入口で一旦は5番手に下げながら外に回って馬群をこじ開け、最後の100ヤードで抜け出すとデザート・ブラン Desert Blanc に1馬身差を付けてコーストの相性の良さを証明して見せました。3着は3馬身4分の3差でトップ・サプライズ Top Surprize 。
クロード・マゴーヒー厩舎のボアステラスは、これがニューヨークのG戦3勝目。騎乗したアラン・ガルシアは、最後に“待って、待って、待って、待って”仕掛けた由。同馬の脚質に万全の信頼を置いています。

やれやれ、やっとハリウッド・パーク競馬場にまで辿り着きます。そして、ここでもドラマが待っていました。
先ずは firm の芝コースで行われたセニョリータ・ステークス Senorita S (芝GⅢ、3歳牝、8ハロン)。7頭が出走、芝コースとあって英国から転じたアイルランド産馬のグレイザー Graser が2対1の1番人気。
しかしレースは激しい展開となり、前半は最後方に控えていた2番人気(3対1)のボビーナ Bobina が直線で急襲、最後はハナ差でマイ・ジー・ジー My Gi Gi を捉えたところがゴール。その直後、ボビーナは右前脚を骨折する不運に見舞われ、騎手共々落馬してしまいます。
実はゴール直前、ボビーナが急に内のマイ・ジー・ジーに寄れ、2着のクリッガー騎手が進路妨害を主張して審議になったほど。結果は着順通りで確定しましたが、何とも後味の悪い結末になってしまいましたね。3着は1馬身差でバイラーマ Byrama 。この馬も直線で行き場を失いながら立て直しての3着、すんなり走っていればもっと際どい勝負になっていたことは間違いないでしょう。ボビーナは安楽死に、ヴィクター・エスピノザ騎手は無事ながら、続く2レースの騎乗をキャンセルしています。
A・C・アヴィラ師が管理してきたボビーナは3月末にサンタ・アニタでデビュー勝ち、このレースを含めて3戦3勝が生涯の記録となってしまいました。

漸く最後はメルヴィン・ルロイ・ハンデキャップ Mervyn LeRoy H (GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。オール・ウェザー・コースの馬場状態は fast の発表です。9頭立て。9歳馬ながら2010年のハリウッド・ゴールド・カップを制したオウサム・ジェム Awesome Gem が5対2の1番人気。
しかしここもレースは荒れました。ゲートインを嫌い、一旦ジョー・タラモ騎手が下馬してからゲートに収まり、再騎乗で何とか発馬に漕ぎ着けたモーニング・ライン Morning Line が、スタートするや先頭、そのまま逃げ切ってしまいました。2番手を追走したプレイヤー・フォー・リリーフ Prayer for Relief が直線でジワジワと追い詰めましたが半馬身まで。3馬身4分の3差離された3着にはケトル・コーン Kettle Corn が入り、本命オウサム・ジェムは7着敗退。
ジョン・シェリフス厩舎のモーニング・ラインは、去年までミック・ジート厩舎に所属していた馬。ジート師の下では3歳時にペンシルヴァニア・ダービー(GⅡ)に勝ち、その年のBCダート・マイルで2着惜敗した実績もあります。更に去年はカーター・ハンデ(GⅠ)にも勝った実力馬。ゲートインを手古摺らせる悪癖がありますが、実は同馬の父ティズナウ Tiznow も現役時代には同じ癖を見せていた馬で、血統的な特質と言えるのかも知れません。

以上、大急ぎで纏めたレポート、文脈の怪しい所や誤字脱字があるかも。その辺りは斟酌して読んで下さいな。

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