仰天! ルイジアナ・ダービー

去年から行われてきたフェア・グラウンズ競馬場のマラソン開催、昨日は愈々最終日とあって、G戦3鞍が組まれていました。そのメインは同州を代表するルイジアナ・ダービー。人気馬が期待に応えるか、それとも新たなヒーローが誕生するか・・・。

G戦第一弾はニュー・オーリーンズ・ハンデキャップ New Orleans H (GⅡ、4歳上、9ハロン)。この日のメイン・コースは firm の発表です。人気の一角になると思われたネーロ Nehro が取り消して8頭立て、実績あるビッグネームが揃いました。6対5の1番人気に支持されたのは、一昨年のルイジアナ・ダービー馬ミッション・インパジブル Mission Impazible 。去年のルイジアナ・ハンデの勝馬でもあり、前走はドン・ハンデ(GⅠ)2着、管理するトッド・プレッチャー師もこのレースここ5年で4勝と死角を探すのに苦労するほど。
しかし相手も多士済済。3対1の2番人気トビーズ・コーナー Toby’s Corner は去年のウッド・メモリアル・ステークス(GⅠ)の勝馬で、ケンタッキー・ダービーは故障で断念した実力馬。更に去年のルイジアナ・ダービー馬パンツ・オン・ファイア Pants On Fire も開催リーディングを走るロージー・ナプラヴニクを背にチャンスを窺います。
しかし並み居る強豪を蹴散らしたのは、9対1の5番人気ネイツ・マインシャフト Nates Mineshaft 。スタートから逃げ、直線では後続との差を広げる一方の逃走劇。漸く追い上げてきたミッション・インパジブルに何と7馬身4分の1差を付けての逃げ切り勝ちでした。3馬身半差3着にトビーズ・コーナー、パンツ・オン・ファイアは5着まで。勝時計1分47秒64は、1998年に出たこれまでの記録1分48秒13を破るトラック・レコードです。
オースチン・スミス師が調教、ジェッシー・キャンベルが騎乗したネイツ・マインシャフトの父マインシャフト Mineshaft も2003年のニュー・オーリーンズ・ハンデの勝馬。前走2月25日のマインシャフト・ハンデ(GⅢ、奇しくも父に因んだレース名)での逃げ切り勝ちを含めて4連勝、フェア・グラウンズでは5戦5勝の上がり馬です。

続いては芝コースのメルヴィン・H・ミュニッツ・ジュニア・メモリアル・ハンデキャップ Mervin H. Muniz Jr. Memorial H (芝GⅡ、4歳上、9ハロン)。good の芝コースに11頭が出走。人気は割れましたが、5対2の1番人気にはフランスから転戦して2戦目のスロー・ペース Slow Pace が選ばれていました。実績よりは管理するトッド・プレッチャー人気と言えるでしょう。去年のこのレースに勝ったストーム・ビッド Storm Bid が差無く2番人気で続き、前走サンタ・アニタのフランク・F.キルロー・マイルに勝ったウィリーコンカー Willyconker が3番人気。
レースはミスター・ヴェガス Mr. Vegas が逃げ、本命スロー・ペースは2番手追走。しかし外目を通って終始差の無い5番手に待機した6番人気(10対1)のカジノ・ホスト Casino Host が直線、馬5頭分の外から追い上げ、一つ内で粘るパパウ・ボウディー Papaw Bodie (ナプラヴニク騎乗)に半馬身差を付けて優勝。更に1馬身4分の1差3着には大外を通って伏兵(28対1、最低人気)ジョイネム Joinem が突っ込みました。逃げたミスター・ヴェガス4着、人気のスロー・ペース5着、スマート・ビッドは7着敗退です。
チャド・ブラウン師が調教、ジョン・ヴェラスケスが騎乗したカジノ・ホストは、これがステークス初勝利。去年は芝コースのGⅠ戦に3レース連続で挑戦しましたが、いずれも着外に敗退していました。陣営によれば、このコースと距離が同馬には最も適しているとのこと。

そして愈々ルイジアナ・ダービー Louisiana Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)を迎えます。混戦が予想されたこともあって14頭が登録してきましたが、1頭が取り消して最終的には13頭立て。オーナー(ブレトン・ジョーンズ)も調教師(ラリー・ジョーンズ)も同じの2頭、マーク・ヴァレスキ Mark Valeski とミスター・ボウリング Mr. Bowling がペアの1番人気(3対2)に支持されていました。前者はトライアルとなるリズン・スター・ステークス(GⅢ)で勝馬とは僅差の2着した馬、後者はそのまたトライアルであるルコント・ステークス(GⅢ)の勝馬です。リズン・スターに勝ったエル・パドリーノ El Padrino が前日のフロリダ・ダービーで4着と凡走したのが気になるところ。
しかしレースは意外な結末が待っていました。コミスキーズ・ヒューモア Comisky’s Humor の逃げを2番手で追走したヒーロー・オブ・オーダー Hero of Order が、3~4コーナー中間で先頭に立つと、そのまま後続を振り切って番狂わせを演じたのです。人気のマーク・ヴァレスキ(又してもナプラヴニク騎乗)が追い上げましたが、直線で差が詰まらず半馬身差の2着、更に1馬身半で3着にはラウジング・サーモン Rousing Sermon が入りました。
勝ったヒーロー・オブ・オーダーのオッズは、何と109対1の大穴。私がアメリカ競馬をカテゴリーに加えてから1年チョッとになりますが、恐らくこれはこれまでの最高配当になるでしょう。もちろんルイジアナ・ダービー史上でも最大の穴馬。それもそのはず、同馬はこれまで13戦1勝、9戦目で漸く未勝利を脱した(去年、ホーソン競馬場)馬。リズン・スターに出走して4着でしたが、勝馬とは6馬身の差がありました。また前走はフェア・グラウンズの芝コースで行われた一般のステークスで、2着で入線したものの進路妨害の廉で4着に降着となっており、ここでは完全無視状態だったのも当然でしょう。
勝馬を管理するのは、ロシア生まれの元騎手ゲンナディー・ドロチェンコ師。ヒーロー・オブ・オーダーの馬主でもあります。師にとってG戦は初勝利、鞍上はエディー・マーチンでした。この馬はケンタッキー・ダービーの登録が無く、仮に追加登録するなら20万ドルが必要となります。果たして陣営、というかドロチェンコさんがその決断を下すかどうか、現時点では不明。

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