オークス、荒れてもオブライエン
6月1日、英国のクラシック第3弾、オークスが行われました。馬場は予報通り good 、所により good to firm 。当初14頭が登録していましたが、当日の朝、オブライエン厩舎でムーアが騎乗する予定だったキスド Kissed と、トムキンズ厩舎のトップテンポ Toptempo が取り消し、12頭立てで行われました。
最終的な1番人気(11対4)は、ミュージドラ・ステークスに勝ったゴスデン厩舎のザ・フューグ The Fugue 、ウイリアム・ビュイック騎乗です。続いては5頭を出走させてきたエイダン・オブライエン厩舎のエース、ジョセフ・オブライエン騎乗のメイビー Maybe が2番人気(10対3)。1000ギニーもオブライエン騎乗で3着でした。
3番人気(9対2)は2戦無敗のヴォウ Vow 、ハッガス厩舎ムルタ騎乗。ゴドルフィン(ザルーニ厩舎、バルザロナ騎乗)の無敗馬カイラーニ Kailani が6対1で4番人気。その他の馬は単勝10倍以上で伏兵視されています。
レースは最低人気(50対1)のナヤーラ Nayarra の逃げ。オブライエン軍団のトゥワール Twirl が2番手に付け、これもオブライエンのウォズ Was が内ラチ沿いに3番手。ヴォウがその後4番手で追走しますが、ペースが遅く、全馬一団の展開。
コースが右にカーヴして丘の頂上に向かう手前、残り9ハロン辺りで馬群がゴチャつきました。中団の内側に付けていた本命ザ・フューグの進路が狭くなって後退、あおりを受けて他馬と接触したメイビーも後方に下がってしまいます。
直線、バテたナヤーラが後退し、終始内を追走していたウォズは抜け出すと、これを追ってヴォウが外から。最後は中団に付けていた5番人気(16対1)のシロッコ・スター Shirocco Star が猛追しましたが、先に抜けていたウォズが粘り切って首差シロッコ・スターを抑えての戴冠。チーム・オブライエンでは2番目、全体では7番目の20対1という伏兵でした。
大きな不利があったザ・フューグも大外から追い上げましたが、シロッコ・スターを半馬身捉えられず3着。1馬身差でヴォウが続き、最後方から脚を伸ばしたメイビーは更に2馬身及ばず5着という結果。内で先行し、絶妙なタイミングで抜け出したシーマス・ヘファーナンの好騎乗が光りました。
ウォズの2歳時は8月にカラーの新馬戦に勝った1戦のみ。シーズン初戦のブルー・ウインド・ステークス(GⅢ、5月のナース競馬場)は3着で、オークスが未だ3戦目の馬。当日朝の時点では50対1の評価でしたが、馬体を見て20対1まで急速に指示が集まっていました。
エイダン・オブライエン師にとってはこれが節目となるGⅠ戦200勝目。オークスは1998年のシャントゥーシュ Shantoush 、2001年のイマジン Imagine 、2006年アレクサンドロヴァ Alexandrova に続く4勝目となります。騎乗したヘファーナンはオークス初制覇。
いずれ血統プロフィールで詳しく紹介する予定ですが、ウォズは父ガリレオ Galileo 、母はシンコウフォレストとダービー馬ニュー・アプローチ New Approach の姉妹という血統。やはりクラシック本番では良血馬が強いという一例にもなりましたね。
陣営によれば、次走は愛オークス。一方敗れたメイビーは距離に限界があったという見解で、次は1マイルのコロネーション・ステークスを予定している由。
オークス・デイのエプサム競馬場は、他にG戦2鞍。開催オープニングのプリンセス・エリザベス・ステークス princess Elizabeth S (GⅢ、3歳上牝、1マイル114ヤード)は8頭立て。去年3歳時は4戦2勝とキャリアの浅いレイ・タイム Lay Time が、シーズン初戦ながら13対8の1番人気に支持されていました。
レースは2番人気(4対1)ベアフット・レディー Barefoot Lady の逃げで始まり、2番手を追走していた4番人気(7対1)のクリニカル Clinical が抜け出して快勝。2着は4分の3馬身差でジョヴィアリティー Joviality が追い込み、ベアフット・レディーが粘って1馬身差3着。本命レイ・タイムは5着と期待を裏切りました。
クリニカルはサー・マーク・プレスコット師の管理馬、ルーク・モリス騎乗。去年のこのレースで3着していた馬で、秋にはケルン(ドイツ)、リングフィールド(イギリス)、ダンダルク(アイルランド)と世界を飛び歩いてリステッド戦に3連勝、ここでG戦初制覇を果たしました。
次走はロイヤル・アスコット、ウインザー・フォレスト・ステークスを目指します。
最後に第1回ダービー優勝馬の名を冠したダイオメド・ステークス Diomed S (GⅢ、3歳上、1マイル114ヤード)。6頭立て。5対6の1番人気には、プリンセス・エリザベスを制したプレスコット厩舎のウォーザード Worthadd が支持されていました。イタリアから輸入された馬で、前走は5月にドイツでバーデナー・マイル(GⅢ)を制し、これまでの経緯からミルコ・デムーロが騎乗。
逃げるサン・モリッツ St Moritz の2番手に付けたウォーザードが直線で抜けましたが、早々とガス欠で後退。3番手の外を通った2番人気(4対1)のサイド・グランス Side Glance が抜け出して優勝。2着は4分の3馬身差で後方2番手のダンス・アンド・ダンス Dance And Dance が追い込み、更に4分の3馬身差3着にも最後方を進んだマック・ラヴ Mac Love が食い込んでいます。ウォーザードは4着敗退。
勝ったサイド・グランスは、アンドリュー・ボールディング厩舎、ジミー・フォーチュン騎乗。明日のダービーに人気のボンファイア Bonfire で臨むコンビにとって、幸先良い勝利となりました。
同馬のG戦勝利は、去年8月のソヴリン・ステークス(GⅢ、ソールズベリー競馬場)に続く2勝目。クィーン・エリザベスⅡ世ステークスでフランケル Frankel に挑みましたが、調子がピークを過ぎていたこともあって8頭立て7着に惨敗していました。
今期はリステッド戦を二度使って(5着、3着)調子を上げ、次走はロイヤル・アスコット(クイーン・アン・ステークス)で再びフランケルに挑戦する予定。と言っても負かそうというのではなく、2・3着狙いだそうで、ボールディング師は正直なコメントを出しています。
まとめtyaiました【オークス、荒れてもオブライエン】
6月1日、英国のクラシック第3弾、オークスが行われました。馬場は予報通り good 、所により good to firm 。当初14頭が登録していましたが、当日の朝、オブライエン厩舎でムーアが騎