2012東京優駿(日本ダービー)馬のプロフィール

思えば去年はオルフェーヴルの三冠、日本のクラシック馬のプロフィールは随分と手間が省けて助かったものです。今年もジェンティルドンナが二冠を達成して喜んでいましたが、ダービーでは新たな馬が登場してきました。
御存知ディープブリランテ。今回は日本ダービー馬のプロフィールです。

その前に、仏1000ギニー馬のプロフィールで、ディープインパクト産駒のGⅠ勝利は全て1マイルということを紹介しましたが、オークス・ダービーと同馬の産駒がクラシック・ダブルを達成、オークスの1・2着と合わせてディープ産駒が1マイル半でも全く問題が無いことが証明されました。先ずこれを讃えましょう。

さてディープブリランテのプロフィールです。父ディープインパクト、母ラヴ・アンド・バブルス Love and Bubbles 、母の父ループ・ソヴァージュ Loup Savage であることはご承知の通り。
牝系に入る前に、母の父ループ・ソヴァージュ(1994年 栗毛 父リヴァーマン Riverman)を簡単に紹介しておきましょうか。

先日のイスパハン賞レポートでも短く触れたように、この馬はアンドレ・ファーブルが調教してイスパハン賞を制した馬。イスパハン賞は1マイルと2000メートルの中間と言う中途半端な距離ですが、ループ・ソヴァージュは1マイルから1マイル半までの距離で能力を発揮したタイプ。距離適性はかなり幅があったと見て良いでしょう。
3歳時はイスパハン優勝のほか、仏2000ギニーは2着、愛ダービーでも3着、チャンピオン・ステークス3着とムラなく走りましたし、4歳時にはエクスバリー賞、プランス・ドランジュ賞に勝った他、ドバイのワールド・カップでも3着と堅実に走りました。
後脚にバンデージを付けて出走することが多く、体質的にあまり固い馬場では能力を発揮できないタイプで、ファーブル師も意識的に firm な馬場は避けていました。オーナーはダニエル・ウイルデンシュタイン氏で、ディープインパクト産駒を高く評価する現在のエキュリー・ウイルデンシュタインの基礎を築いたオーナーであることは知っておいて良いかと思慮します。

以上が前置きで、ディープブリランテの牝系に入りましょう。とは言っても、このファミリーは日本との繋がりが極めて深く、ほぼ素人の私が論ずるのは烏滸がましい感じがします。馬脚を現さないように、事実だけを列記して行くことにしましょう。

母ラヴ・アンド・バブルスはフランスで走った馬。10戦3勝、クロエ賞(GⅢ、1800メートル)に勝った堂々たる重賞勝馬です。他にクレオパトラ賞(GⅢ)2着、仏オークスは12着でした。現役時代の調教師はロベール・コレ師。

日本で繁殖に入り、ディープブリランテは4番仔、現時点では3頭目の勝馬です。
ダービー馬の兄弟では、初仔のラヴインザダーク(2006年 鹿毛 牝馬 父ダンスインザダーク)が25戦2勝、インディア・トロフィー(札幌1200メートル)の特別勝鞍があります。2番仔ウインバロンドール(2007年 鹿毛 牡馬 父ダンスインザダーク)は未勝利馬(1戦)で、次のハブルバブル(2008年 鹿毛 牝馬 父ディープインパクト)が5戦1勝。阪神の新馬戦(1800メートル)に勝っただけですが、フラワー・カップ(GⅢ)で2着の実績もあります。この時勝ったトレンドハンターには岩田康誠騎手が騎乗していたのは何かの因縁でしょうか。
ディープブリランテのあとも、ラヴ・アンド・バブルスにはディープインパクトが配合される予定と聞いています。

2代母バブル・ドリーム Bubble Dream (1993年 鹿毛 父アカラッド Akarad)は未出走馬。ラヴ・アンド・バブルスの半兄ジュンヌ・ドリーム Jeune Dream (1999年 鹿毛 父ジュノム Jeune Homme)はイタリアでメラノ賞(リステッド、2000メートル)など5勝した中堅クラスの馬。
その後バブル・ドリーム自身も日本に輸出されましたが、現時点では成功した産駒は見当たらないようです。

3代母がバブル・プロスペクター Bubble Prospector (1984年 栗毛 父ミスワキ Miswaki)。7戦1勝と競走成績はパッとしませんが、繁殖牝馬としては成功、特に日本で大繁栄する勢いが感じられます。
日本との関係を中心に、彼女の繁殖実績を箇条書き風に並べていきましょうか。彼女の産駒で注目されるのは8頭。生年順に代表的な馬を取り上げます。

①フラッポニー Flappony (1989年 鹿毛 牝馬 父ヴァーノン・キャッスル Vernon Castle)。同馬の産駒フリップ・フロップ Flip Flop (2001年 父ジーテン Zieten)はアメリカでイエロー・リボン・ステークス(GⅠ)2着、ウィルシャー・ハンデ(GⅢ)3着。

②アイリッシュ・プロスペクター Irish Prospector (1990年 栗毛 牡馬 父アイリッシュ・リヴァー irish River)はフランスで走り、ラ・フォース賞(GⅢ)3着で種牡馬。

③バブル・ウィングス Bubble Wings (1992年 鹿毛 牝馬 父イン・ザ・ウィングス In The Wings)は英国で4勝。日本で繁殖に上がり、阪神ジュヴェナイル・フィリーズ(GⅠ)に勝ったショウナンパントル(2002年 鹿毛 父サンデー・サイレンス Sunday Silence)を出す。彼女は桜花賞13着、オークス7着、秋華賞8着。
他にショウナンアクロス(2005年 鹿毛 牡馬 父ダンスインザダーク)が百日草特別、神奈川新聞杯、ホンコンジョッキークラブトロフィーに優勝。その娘ウイングオブラックがフライングメリッサとシルクレイノルズと2頭の特別勝馬の母となり、フェアノータムも特別勝馬ショウナンマハを出す。

④バブル・ドリームは、ディープブリランテの2代母。

⑤バンディラス Banderas (1984年 栗毛 牝馬 父アークティック・ターン Arctic Tern)も日本で繁殖に上がり、千里山特別と境港特別に勝ったタイセイファイター(2004年 鹿毛 牡馬 父マンハッタンカフェ)を出す。

⑥マニックサンデー(1997年 栗毛 牝馬 父サンデー・サイレンス)は日本に輸入されてからの産駒で、特別勝馬プレンティフェスタ、ワールドコンパス、サイレントサタデーを産み、娘プレンティオブラヴも特別勝馬ウインベルセルクの母となる。

⑦ウインシュナイト(1998年 栗毛 牡馬 父サンデー・サイレンス)はオリエンタル賞、下鴨ステークス、巴賞と特別に3勝し、小倉大賞典(GⅢ)は微差2着惜敗。

⑧ザッツザプレンティ(2000年 鹿毛 牡馬 父ダンスインザダーク)が菊花賞を制してクラシック馬となる。他にラジオたんぱ杯2歳ステークス(GⅢ)優勝と、ダービー3着、ジャパン・カップ2着、皐月賞8着。菊花賞ではネオユニヴァース、ゼンノロブロイを破る。

これ以上付け加える必要も無いと思いますが、更に蛇足として紹介すれば、
4代母バブル・カンパニー Bubble Company (1977年 栗毛 父リファール Lyphard)は12戦1勝。仏2000ギニー2着のキャンディー・ストライプス Candy Stripes 、フランスの中長距離馬バジルッツォ Basiluzzo 、クリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)の覇者インティミスト Intimiste 等を出したあと日本に輸入、天皇賞と朝日杯3歳ステークス(当時)に勝ったバブルガムフェローを出したことを記憶しているファンも多いでしょう。

バブル・カンパニーの娘では、プレジオを産んだアイリッシュ・カンパニー Irish Company 、その娘でヒシオフェンスとコスモダンスナイトの母として知られるオージーカンパニーも日本で枝葉を広げつつある牝系です。

5代母は、サン=タラリ賞(GⅠ)に勝って仏オークスで2着した名牝プロダイス Prodice 。
彼女の娘サング Sangue はイエロー・リボン・ステークス、メイトリアーク・ハンデ、ヴァニティ・ハンデなどGⅠ3勝を含めてG戦10勝の名馬。彼女もまた晩年を日本で過ごした経歴の持ち主。
サングの海外に残した娘、シャトルサング Seattle Sangue もサンタママも日本で繁殖、その仔たちも現在までプロダイスの血を伝えています。

そう言えば、サングの娘パーフェクト・プローブ Perfect Probe の持ち込み馬トキオパーフェクトが、クリスタル・カップ(GⅢ)と中日スポーツ賞4歳ステークス(GⅢ)に勝ったことも忘れてはいけませんね。

ファミリー・ナンバーは、1-b 。名門です。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【2012東京優駿(日本ダービー)馬のプロフィール】

    思えば去年はオルフェーヴルの三冠、日本のクラシック馬のプロフィールは随分と手間が省けて助かったものです。今年もジェンティルドンナが二冠を達成して喜んでいましたが、ダービ…

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