大穴ルック・ヒア、オークス・ショックを演出

というのが、今朝の英国電子競馬新聞の見出しです。金曜日に行われたオークス、何と勝ったのは33対1の大穴、ルック・ヒア Look Here でした。
調教師レイフ・ベケット Ralph Beckett さんにとってクラシック初制覇。調教師としての夢が叶った瞬間です。それこそ、“信じらんなぁ~い”
師が、これまで制した最高のレースは何、と聞かれて答えていたのがフレッド・ダーリング・ステークスということですから、これからは胸を張って  “クラシックレース、それもオークスです”と自慢できますよね。先ずはおめでとうございます。どんなクラシックにもドラマはある。ウン。
映像を見ましたが、抜け出す脚も見事なら、末脚もシッカリ。危なげない完勝と言っていいでしょう。2着とは3馬身4分の3。
騎乗したセブ・サンダースにとっても、意外やこれが英国クラシック初勝利だそうです。彼はどちらかというと数で稼ぐタイプのジョッキー。それを象徴するかのように、オークス制覇後は恒例の記者会見を袖にして次なる騎乗地、イヴニング開催のドンカスター競馬場に向けて飛び立ってしまいました。
ルック・ヒアは、2歳の時に未勝利戦に勝ち、3歳初戦となるリングフィールド・オークス・トライアルでミラクル・シーカーの2着、これがまだ3戦目という経験の浅い馬でした。オークスで人気が無かったのも当然で、サンダース騎手は事前のインタヴューなどもぜ~んぜん受けなかったようです。
まだ若い馬、ベケット師はアイルランド・オークス挑戦は否定しています。こんな時期に長旅はすべきでない、と。
2着にはオブライエン軍団の1頭が入りました。ムルタが選んだアドアドでもなく、実績があるセイヴディスダンスフォームでもセイルでもなく、25対1というこれまた穴馬、ムーンストーン Moonstone でした。
この馬はトライアルとして使ったミュジドラ・ステークスでは着外でしたから、注目されなかったのも当然でしょう。
人気になった馬の中では、カティーラ Katiyra の3着が最高で、1番人気ラッシュ・ラッシズ(5着)も2番人気チャイニーズ・ホワイト(9着)も完敗。どちらもスタミナ不足が敗因で、脚が止まってしまいました。
3着のカティーラと4着に入ったクローワンス Clowance は共にアイルランド・オークスに挑戦する意向が表明されています。
映像は英語版とフランス語版を見ることが出来ますが、フランス語版の方が画質もカメラアングルも優れているので、そちらを紹介しておきましょう。↓
http://jp.youtube.com/watch?v=hBhUHc2I438
さてルック・ヒアの血統についても一言。
父はフランス・ダービー馬エルナンド Hernando 、母はラスト・ルック Last Look 、母の父レインボウ・クエスト Rainbow Quest です。母の名前が同馬の名前と繋がっていることが判るでしょ
エルナンドはフランス・ダービーに勝った他、アイルランド・ダービーと凱旋門賞が2着、日本にも遠征してジャパン・カップで3着していますから、雄姿を見た方も多いでしょう。
種牡馬になってからは、初年度の産駒から同じフランス・ダービーを制したホールディング・コート Holding Court を出しましたし、3年目の産駒にスラマニ Sulamani がいます。
現在までのところ、エルナンドの最高傑作がこのスラマニで、やはりフランス・ダービーに勝ったあと、父と同様に凱旋門賞2着の実績があります。4歳時にはキングジョージも2着、5歳になってからもキングジョージ3着があり、アメリカ、カナダ、ドバイでもGⅠに勝った国際的名馬と言えるでしょう。
エルナンドはその後の成績が今一つ、そろそろピークを過ぎたのかな、と思われていましたから、2008年オークスをルック・ヒアが勝ったことで再び注目を集めるでしょう。
ルック・ヒアの母は未出走馬ですが、近親にパスート・オブ・ラブ Pursuit of Love がいます。
ところでルック・ヒアのデビュー戦、2歳の未勝利戦で2着に入ったのが、何と明日のダービーでもそこそこ人気のドクター・フレマントルです。突如このソールズベリの小さなレースが脚光を浴びてますねぇ。
随分長くなってしまいましたが、金曜日の他のパターン・レースの結果も。
コロネーション・カップ(GⅠ、4歳上、1マイル4ハロン10ヤード)は精鋭11頭立て、オブライエン厩舎のエース、ソルジャー・オブ・フォーチュン Soldier of Fortune がシーズン初戦を制しています。
2着はまたもやユームザイン Youmzain 。去年のキングジョージ、凱旋門に続く2着で、よほど運がないのか。見方によっては、いずれ大レースを制する瞬間が来るのではないかとも考えられ、GⅠ路線の名脇役と言ってもいいかも。
人気を集めたゲッタウェイは折り合いを欠き、5着に沈んでしまいました。
ダイオメド・ステークス(GⅢ、3歳上、1マイル114ヤード)は、第1回ダービーの勝馬の名前を冠したレースです Diomed Stakes 。
勝ったのはブレイス・ナイト Blythe Knight 。去年もこのレースに勝っているので連覇ということになります。勝利そのものも1年ぶりでした。冬場は障害でも走っていましたし、平場シーズン開幕のリンカーン・ハンデは2着惜敗でしたね。
このリンカーン、私の日記でも詳細に報告しましたが、覚えている方いらっしゃいますか? いないでしょうねぇ~。
ということで、いよいよ今日はダービーです。でも、何で日本じゃテレビ生中継してくんないのかしら。信じらんなぁ~い。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください