プロムスのベートーヴェン・ツィクルス5
BBCウェールズ管の演奏会に次いで、アルバートホールでは西東詩編管のベートーヴェン・ツィクルス第5回が行われました。とは言っても室内楽の演奏会です。
ベートーヴェン+ブーレーズのプログラム、今回は以下の選曲。
≪Prom 17≫
ベートーヴェン/ピアノ五重奏曲変ホ長調作品16
ブーレーズ/Le marteau sans maitre
ウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団のメンバー
メゾ・ソプラノ/ヒラリー・サマーズ
指揮/フランソワ=クサヴィエ・ロート
つまりバレンボイムは出ませんし、オケのメンバーから何人かが参加し、ピアノやメゾ・ソプラノ歌手が新たに加わったもの。何とも珍しいツィクルスですな。
どうやら当初は後半をピエール・ブーレーズ自身が指揮することになっていたようですが、結局キャンセル。当夜の指揮者に替った経緯がありました。
ベートーヴェンのピアノ五重奏はプロムス初演だそうで、ピアノの他は管楽器による編成。演奏者は、ピアノ/Bishara Harouni 、オーボエ/Ramon Ortega Quero 、クラリネット/ Shirley Brill 、ホルン/Juan Antonio Jimenez 、バスーン/Zeynep Koyluoglu とクレジットされていました。名前は読めないものもあるので、原文表記だけ。
プロムスに限らず、演奏される機会はほとんどないと思われます。私も楽譜だけは持っていますが、録音も含めて初めて耳にしたと思います。
それで気が付いたことを書き残しておくと、スコア(旧ベートーヴェン全集)では冒頭(序奏部)から5人のアンサンブルで始まるように書かれていますが、今回の演奏では、ピアノは第2小節の途中から単独で弾き出しました。新版では新しい解釈になっているのでしょうか。唯一ある第1楽章提示部のリピートは実行。
後半のブーレーズ、演奏者はフルート/Guy Eshed 、シロリンバ/Adrian Salloum 、ヴィブラフォン/Pedro Manuel Torrejan Gonzalez 、打楽器/Noya Schleien 、ギター/Caroline Delume 、ヴィオラ/Ori Kam 。6人の器楽奏者にメゾ・ソプラノが加わる室内楽ですが、指揮者がいないと演奏不可能な難曲です。
私もブーレーズ作品では唯一、「打ち手のない槌」(ル・マルトー・サン・メートル)だけはスコアを持っていますが、何度接しても何処を演奏しているのか追い駆けるのが精一杯です。今回も同じ、特に器楽のみの第4曲は難しいですね。どれか一つの楽器に焦点を合わせ、音色で追っていくしかありません。私が持っているスコアの中で、難しさではカーターの弦楽四重奏曲(全曲)と両横綱でしょう。
演奏が終わると、大喝采になります。この変拍子、というか滅茶苦茶に書かれたような譜面をチャンと演奏すること自体、スポーツに通ずるところがあるのでしょうか。演奏難度で言えば、間違いなく金メダルだ。
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