プロムスのベートーヴェン・ツィクルス3

これでやっと現地のスケジュールに追い付きました。プロムス2012、月曜日に行われたコンサートが日本では今朝から1週間の期限付きで聴けます。
ベートーヴェン・チクルスの3回目ですが、先ず訂正。最初の2回、オーケストラの名称をイースト・ウエストディヴァン管弦楽団と書いてしまいましたが、これはウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団とすべきでした、ここで纏めて訂正しておきます。
これでないとゲーテの詩集のタイトルになりませんからね。ということで3回目のプログラムは以下のもの。

≪Prom 12≫
ベートーヴェン/交響曲第6番
ブーレーズ/Memoriale (‘…explosante-fixe…’Originel)
ブーレーズ/Messagesquisse
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第5番
 管弦楽/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団
 指揮/ダニエル・バレンボイム
 フルート/ギイ・エシェド
 チェロ/ハッサン・モアタズ・エル・モラ

毎回組み合わされているブーレーズ作品ですが、3回目は共に8分ほどの短い作品で、コンチェルタントな性格のもの。その分聴き易いと言えるでしょう。
どうもブーレーズは音名を象徴として使う癖があるようで、この2曲もその代表例。

最初に演奏されたメモリアルはストラヴィンスキーの思い出のために書かれたもので、最初の Es はストラヴィンスキーの S なのだそうです。言われなければ判りませんよネ。と同時に、ブーレーズが主催しているアンサンブル・アンテルコンテンポランのフルーティストだったローレンス・ボルガードの死去を悼む意味もあるとかで、作品は氏に捧げられています。
フルート・ソロと8人の演奏家~ホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ2、チェロ~による小フルート協奏曲。

次のメッサジェスキッスという聞き慣れない題名は、メッセージとエスキッス(素描または概要)を組み合わせた造語とか。チェロ・ソロと6人の伴奏チェロによる小チェロ協奏曲で、バレンボイムが指揮している写真を見ることが出来ます。
パウル・ザッハーの70歳の誕生日に作曲したもの。初日に演奏されたデリーヴ・ドゥー同様、SACHERの音型(Es-A-C-H-E-Re)で始まります。チェロの技巧を駆使したカデンツァもあり、ブーレーズ作品では最も聴していて楽しく、喝采も受け易いと感じました。実際、チェリストには盛大な拍手が送られています。

ベートーヴェンは前2回以上にフルトヴェングラーを意識した演奏だと思いました。極端にテンポを落とし、低血圧な田園。第1楽章のリピートも省略します。
第5も重めの解釈で、快速感はありません。第1楽章第2主題を導き出すホルン信号、再現部でもファゴットでなくホルンに吹かせていました。原則としてオリジナル順守のバレンボイムですが、ここだけはフルトヴェングラーに準じたのでしょうか。

尤も全てがフルトヴェングラーのコピーではなく、特に同じ音が続く個所でのレガートへの拘りは、この指揮者の特色でしょう。

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