8月最後のヨーロッパ競馬

昨日は8月最後の日曜日、当競馬日記の対象となるイギリス、アイルランド、フランス3国でも夫々にパターン・レースが行われました。英愛仏の順に紹介して行きましょう。

珍しく日曜日にG戦が組まれたイギリスは、グッドウッド競馬場オーガスト・ミーティング2日目、シュープリーム・ステークス Supreme S (GⅢ、3歳上、7ハロン)。馬場は good to soft 、所により good と相変わらずです。
2頭取り消しがあり7頭立て。ジュライ・カップ2着、モーリス・ド・ギースト賞3着とGⅠ戦で連続入着したザ・チェカ The Cheka が11対4の1番人気。

そのザ・チェカが積極的に先頭を奪って逃げましたが、スタートでバランスを崩して出遅れた2番人気(7対2)のプロデューサー Producer が残り2ハロンで抜け出し、本命馬に半馬身差を付けて優勝。3番人気(9対2)のズンビ Zumbi が4分の3馬身差3着に入りました。

プロデューサーはこれまでリステッド戦レヴェルで戦い、前々走で挑戦したジャージー・ステークス(GⅢ)では5着でしたが、リチャード・ハノン厩舎、リチャード・ヒューズ騎乗という名コンビへの期待があって急速に支持を伸ばしてきていました。
ハノン/ヒューズ・コンビは、去年のリブランノ Libranno に続く2連覇。またハノン師は2009年のオードナンス・ロウ Ordnance Row 、ヒューズ騎手も2006年のストロングホールド Stronghold に続く3度目の勝利となります。

次にアイルランドのカラー競馬場、G戦は3鞍、馬場は soft 。最初のフライング・ファイヴ・ステークス Flying Five S (GⅢ、3歳上、5ハロン)は8頭立て。前走フェニックス・スプリント(GⅢ、6ハロン)に勝ったファイア・リリー Fire Lily が9対4の1番人気、クールモアの馬ながらデヴィッド・ワッチマン厩舎所属の3歳スプリンター、前々走ジュライ・カップは7着でした。

レースはイングザイル Inxile とジャッジン・ジャリー Judge’n Jury の逃げ、3番手から伸びた伏兵(10対1、6番人気)マイ・ガール・アンナ My Girl Anna が優勝するサプライズです。ファイア・リリーはスタートで出遅れ、最後方から追い込みましたが1馬身4分の3差届かず2着。逃げたイングザイルが4分の3馬身差3着で、同じく先頭を争ったジャッジン・ファリーも4着に粘りました。

続いては2歳馬のフューチュリティー・ステークス Futurity S (GⅡ、2歳、7ハロン)。3頭登録していたエイダン・オブライエン厩舎が1頭取り消し、4頭立ての寂しいメンバーになってしまいました。1番人気(7対4)は2頭が並び、オブライエン厩舎のフライング・ザ・フラッグ Flying The Flag と英国(デヴィッド・シムコック厩舎)から遠征してきたバードマン Birdman 。

チーム・オブライエンのペースメーカーを務めるキングストン・ジャマイカ Kingston Jamaica がペースを作り、フライング・ザ・フラッグ2番手、バードマンは後方4番手で進みましたが、抜け出したのは3番人気(7対2)のファースト・コーナーストーン First Cornerstone 。人気2頭も食い下がりましたが、1馬身半差でフライング・ザ・フラッグ2着、半馬身差でバードマン3着の順。

ティッペラリーのリステッド戦に勝ち、追加登録料を支払って参戦したファースト・コーナーストーンは、アンディ―・オリヴァー厩舎、若いクリス・ヘイズ騎乗で3戦2勝。オーナーはアメリカ人で、参戦はオーナーの希望によるものだそうです。いずれはアメリカに席を移す予定とも聞いていますが、少なくとも2歳戦線はヨーロッパで戦うものと思われます。

カラーの最後はランウェイズ・スタッド・フィリーズ・ステークス Lanwades Stud Fillies’ S (GⅢ、3歳上牝、1マイル1ハロン)。モイグレア・スタッド・フィリーズ・ステークス、ダンス・デザイン・ステークスと改名が続き、今年からこの名前に変更された一戦。2009年からGⅢに格付けされてきました。
今年は7頭立て。11対4の1番人気に支持されたジョン・オックス厩舎のマニエリー Manieree は、昨秋エステート・ステークス(GⅢ)、ブランドフォード・ステークス(GⅡ)と連覇した馬で、4歳の今期はそれ以来の休養明けとなりますが、得意の重馬場で先行有利という条件から支持を集めています。

そのマニエリーが順当にハナに立ってレースを引っ張りましたが、やはり休養明けが堪えたか5着敗退。優勝は後方2番手から脚を伸ばした2番人気(3対1)のアップ Up 。3馬身4分の3差で4番手を進んだ伏兵(20対1)アルーフ Aloof が飛び込み、更に4分の3馬身で3番人気(7対2)のバリーバッカ・レディー Ballybacka Lady が3着。

勝ったアップはエイダン・オブライエン厩舎、ジョセフ・アブライエン騎乗。仏1000ギニー2着、仏オークス7着、プリティー・ポリー・ステークス4着、エステート・ステークス(GⅢ)3着から前走は渡米してビヴァリー・D・ステークス(GⅠ)6着とトップ・クラスを激走してきた3歳馬。主戦ジョセフが同厩のデヴォーション Devotion 、スーン Soon の中から選んだだけのことはあるでしょう。

最後はフランスのドーヴィル競馬場から。夏のドーヴィル開催もG戦は最終日を迎えました。こちらも雨中の競馬、馬場も good と柔らかい状態です。

先ずはモトリー賞 Prix Meautry (GⅢ、3歳上、1200メートル)。3頭が取り消して10頭立て。ダイアモンド・ジュビリー3着、モーリス・ド・ギースト賞5着とGⅠ戦を連戦してきたレスティアダルジャン Restiadargent が5対2の1番人気。

2番人気(53対10)のシャマルガン Shamalgan が逃げ、レスティアダルジャンは3番手に付けましたが、共に討死。レスティアダルジャンは6着、シャマルガンも7着惨敗に終わりました。
優勝は、スタートして直ぐにスタンド側のラチ沿いの2番手から抜けたブービー人気(184対10)のジミー・スタイルズ Jimmy Styles 。4分の3馬身差で4番人気(6対1)のガマース Gammarth が2着、頭差で2009年の勝馬マリオル Mariol 。

ジミー・スタイルズは、先週レックレス・アバンダン Reckless Abandon でモルニー賞を制した英国のクライヴ・コックス厩舎、ジェラール・モッセ騎乗のコンビ。G戦は初勝利となる8歳せん馬ですが、2009年にはエア・ゴールド・カップ(6ハロン)、去年はカミッジ・トロフィー(6ハロン)と伝統ある短距離ハンデ戦に勝ってきたスプリンター。8歳にしてなお進化中のヴェテランです。

続いてはカンセー賞 Prix Quincey (GⅢ、3歳上、1600メートル)。この日のG戦3鞍の中では最も混戦が予想されるレースです。14頭立てと多頭数、人気も割れて去年の仏2000ギニー馬ティン・ホース Tin Horse と、前走ここドーヴィルで1マイルのリステッド戦に勝ったフラクショナル Fractional が4対1で1番人気を分け合っていました。

シャマーダンス Shamardance が逃げ、人気2頭は共に中団、内にティン・ホース、外にフラクショナルが付けていましたが、伸びたのはフラクショナル。最後は2番手で先行していたムーンウォーク・イン・パリ Moonwalk In Paris を短頭差捉えたところがゴール。3着も頭差の接戦で、伏兵(21対1)キング・エア King Air 。人気の一方ティン・ホースは9着に沈みました。
3頭が横に並ぶ大接戦でも、2着のクリストフ・スミオン騎手が優勝したマクシム・グィヨン騎手に握手を求めて祝福していましたから、ジョッキーには微妙な勝ち負けも判るのでしょう。

フラクショナルはゴドルフィンの所有馬で、アンドレ・ファーブル師の管理馬。ファーブル師はこのレース6勝目、歴代最多勝利記録を更新しました。

夏のドーヴィル最後のG戦は、ドーヴィル大賞典 Grand prix de Deauville (GⅡ、3歳上、2500メートル)。最後の大一番だけに11頭が出走、ゴドルフィン/ファーブル・チームのテネンバウム Tenenbaum が23対10の1番人気に支持されていました。前走ここドーヴィルのリステッド戦(同じく2500メートル)を含めて3連勝中の3歳馬です。

しかしテネンバウムは中団から抜けようとした時に前が塞がって出られず、7着に敗退。優勝は、逃げたドン・ボスコ Don Bosco を好スタートから内に一旦下げ、馬場中央に持ち出して差し切った本命馬と同厩のマスターストローク Masterstroke 。短首差で3番手を追走から早目先頭に立った3番人気(13対2)のゲートウッド Gatewood が粘り2着、4分の3馬身差で最低人気(24対1)のオーケー・コーラル OK Coral が食い込みました。2番人気(9対2)のトップ・トリップ Top Trip が4着。

マスターストロークは、既に触れたように今ドーヴィル開催でG戦5勝目を挙げたアンドレ・ファーブル厩舎所属。これもゴドルフィンの所有馬で、ファーブル師共々カンセー賞に続きこの日ダブル達成です。ファーブルはドーヴィル大賞典、何とこれが9勝目に当たり、ダントツのリーディング・トレーナーを更新中。
本命のテネンバウム同様3歳馬で、オカール賞(GⅡ)とリス賞(GⅢ)で2着、前走はヴィシーのリステッド戦に勝っており、これで6戦4勝2着2回とパーフェクトに馬券に絡んだことになります。秋の中長距離戦の伏兵的存在に上がってきそうな予感がしますね。

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