ドーヴィルが閉幕

昨日の日曜日、ヨーロッパの夏競馬を象徴するようなドーヴィル競馬場が閉幕しました。
今朝の首都圏も西からひいやりした風が吹いてきて、季節が代わったことを感じさせます。ドーヴィルが開幕したのもついこの間のことのよう。競馬をウォッチングしていると、1年が真に短く感じられます。

感慨はここまで。ドーヴィルに行く前に、英国としては珍しい日曜日のG戦をレポートしておきましょう。
グッドウッド競馬場のシュープリーム・ステークス Supreme S (GⅢ、3歳上、7ハロン)。馬場は good 、所により good to soft に9頭が出走してきました。人気は割れ、GⅡ2勝馬で前走クィーン・アン・ステークス(GⅠ)8着のペニテント Penitent と、前走ソヴリン・ステークス(GⅢ)3着のプロフェッサー Professor が11対4で1番人気に並んでいました。

グッドウッドのコースを得意とするブーム・アンド・バスト Boom And Bust が先頭に立った所、中団6番手に付けていた3番人気(4対1)のロックウッド Lockwood が鋭く伸び、ブーム・アンド・バストを半馬身差し切って優勝。首差で人気の一角プロフェッサーが3着に入りましたが、ペニテントは6着敗退。
ロックウッドはこの所好調なゴドルフィンの所有馬で、サイード・ビン・スロール厩舎、シルヴェストル・デ・スーザ騎乗。前走はサースク競馬場の条件戦に勝ったばかりですが、3歳時にはアンドレ・ファーブル師の管理下でリゾランジス賞(GⅢ)に勝っていた馬。冬場をドバイで過ごしてから英国に転じ、英仏を跨いでG戦2勝目を記録しています。

ここでドーヴィルに移動しましょう。こちらも馬場は good to soft 、次第に秋の重馬場競馬が近付いてきていることを暗示するような馬場状態です。
最終日のG戦は3鞍、最初はアベイ・ド・ロンシャン賞(GⅠ)のトライアルの一つでもあるモトリー賞 Prix de Meautry (GⅢ、3歳上、1200メートル)。16頭と多頭数が揃い、前走モーリス・ド・ギースト賞(GⅠ)でムーンライト・クラウド Moonlight Cloud の4着したファーブル厩舎のチューリップ Tulips が3対1の1番人気。

中団を進んだチューリップも確実に脚を伸ばしましたが、それ以上の差し足を発揮したのが、最後方から一気の脚を使った伏兵(134対10、9番人気)ミアサン Myasun 。首差でチューリップを抑え、短首差3着にディバージ Dibajj の大接戦。
南仏を本拠とするクリスチャン・バイエ厩舎、今回はオリヴィエ・ペリエが騎乗したミアサンは、去年のシーズン末期にセーヌ・エ・オワーズ賞(GⅢ)を制したのに続きG戦2勝目。前走リゾランジス賞(GⅢ)では7着に終わり、人気を落としていました。予定通りアベイに向かうでしょう。

続いてドーヴィルの締め括りに相応しいドーヴィル大賞典 Grand Prix de Deauville (GⅡ、3歳上、2500メートル)。11頭が出走。一昨年の勝馬で古豪シリュス・デ・ゼーグル Cirrus des Aigles が参戦、今年は3戦して勝星が無いものの、実績から9対5の1番人気に支持されていました。今回はペリエからスミオンにスイッチして復活に期待を託します。

中団を進んだシリュス・デ・ゼーグル、今回も末脚は不発に終わり、GⅡに格下げしても5着と残念な結果に終わりました。これまでシリュス・デ・ゼーグルとコンビを組んで来たペリエが騎乗したスロー・ペース Slow Pace の逃げ、抜け出したのは4番人気(11対1)のトレ・ブルー Tres Blue 。2番人気(5対2)ペングレ・パヴィオン Penglai Pavilion に頭差の優勝です。更に短首差でスロー・ペースが3着に粘り、シリュス・デ・ゼーグルは勝馬からほぼ2馬身差で5着。復活は成らないのでしょうか。
アンリ=アレックス・パンタル厩舎、ファブリース・ヴェロン騎乗のトレ・ブルーは、今年新設されたG戦のルー賞(GⅢ)に勝った馬で、その前はドイツ・ダービーで2着した3歳馬。前走でも紹介しましたが、G戦連勝で凱旋門賞に色気が出てきました。パンタル師によれば、トライアルを使えばローテーション的にキツくなるのは必定とのことで、本番に直行するとのことです。

最後はカンセー賞 Prix Quincey (GⅢ、3歳上、1600メートル)。ここは9頭立て。シャンティーでGⅢ(旧シュマン・ド・フェール・デュ・ノール賞)に勝ち、前走メッシドール賞(GⅢ)でも2着したメインセイル Mainsail が9対5の1番人気。

しかし結果は7番人気(168対10)の伏兵ファイア・シップ Fire Ship の逃げ切り勝ち。短首差2着には、ロイヤル・アスコットでロイヤル・ハント・カップ(ハンデ戦)に勝ったベルジアン・ベル Belgian Bell が入って英国馬のワン・ツー・フィニッシュ。3着には更に短首差で地元のスポイル・ザ・ファン Spoil The Fun が続き、メインセイルは9着敗退。
勝ったファイア・シップは、前走グッドウッドのハンデ戦で5着した4歳馬。G戦は初勝利で、管理するウイリアム・ナイト調教師にとってもフランスでの初勝利でした。騎乗したネイル・カランは、前日のヨークでジムクラック・ステークスに勝ったばかり。連日の英仏G戦制覇で風を捉えたようです。

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