関心薄い土曜日のG戦
今週もヨーロッパ平場競馬では予定通りG戦が行われていますが、凱旋門賞まで中2週という位置付けでは注目されるレースも少なく、競馬マスコミも余り関心が無いようで詳報が入って来ません。
従って結果だけという簡単なレポートになります。
英国ではもう一つの投票、スコットランドが独立を選択するかというニュースに隠れて馬の話題はまるで盛り上がりません。
それでも当事者であるスコットランドのエア競馬場で、スコットランドでは唯一つのG戦となるファース・オブ・クライド・ステークス Firth of Clyde S (GⅢ、2歳牝、6ハロン)が行われました。good to firm 、所により good の馬場に3頭が取り消して13頭立て。ドンカスターのフライング・チルダース・ステークス(GⅡ)で1番人気になりながら5着に敗れたアイニッペ Ainippe が再度3対1の1番人気。
しかし結果は波乱、優勝は下から三つ目、11番人気(25対1)のダーク・レコニング Dark Reckoning でした。短頭差で4番人気(9対1)のパースリー Parsley が2着、2馬身4分の1差で人気のアイニッペは又しても3着と敗退しています。
アン・ダッフィールド夫人が管理し、グレアム・リーが騎乗したダーク・レコニングは、ポンテフラクトとライポンの条件戦に2連勝し、前走ライポンのリステッド戦では5着だった馬。もちろんG戦は初挑戦での初勝利です。
なおこの日のエアは、伝統あるハンデ戦のエア・ゴールド・カップが行われ、ファンもマスコミも関心はそちらに向かっていました。
一方イングランドではニューバリー競馬場でG戦3鞍。こちらは soft と重いコースで行われています。
アーク・トライアル The Arc Trial (GⅢ、3歳上、1マイル3ハロン5ヤード)とは名ばかりですが、馬場が悪化したこともあって2頭が取り消しての7頭立て。GⅠでもGⅢでも2着が続いているヒルスター Hillstar がそれでも11対4の1番人気。
しかし今回ばかりはヒルスターも人気に応え、2番人気(7対2)のタサデイ Tasaday に1馬身半差を付けて久々の勝利を獲得しました。更に1馬身4分の3差で4番人気(5対1)のキュバニータ Cubanita が3着。
サー・マイケル・スタウト厩舎、ライアン・ムーア騎乗のヒルスターは、去年3歳時にロイヤル・アスコットでキング・エドワード7世ステークス(GⅡ)に勝ち、次走キング・ジョージで3着したほどの実力馬。今期はドバイで着外の後帰国、全てG戦で4連続2着とフラストレーションが溜まる結果が続いていました。漸く今期初勝利となります。それでも凱旋門賞という選択にはならず、カナダ・インターナショナルが狙いとのこと。
2歳馬のミル・リーフ・ステークス Mill Reef S (GⅡ、2歳、6ハロン8ヤード)は取り消しが2頭で6頭立て。前走2走目でフランス遠征、ロベール・パパン賞(GⅡ)で2着したストラス・バーン Strath Burn が11対8の1番人気。
しかしストラス・バーンはスタートで出遅れ、前を追走するのが精一杯、結局4着に敗退しました。優勝は逃げた3番人気(4対1)トゥークールフォースクール Toocoolforschool の逃げ切り勝ち。何と7馬身の大差が付いて5番人気(11対1)グロウル Growl が2着、半馬身差で最低人気(16対1)キバール Kibaar が3着という大波乱です。
カール・バーク厩舎、シルヴェストル・デ・スーザ騎乗のトゥークールフォースクールは、ライポンの6ハロンで初勝利。その後アコーム・ステークス(GⅢ)と先週のドンカスターでリステッド戦が共に2着と、それなりに走ってきていました。せん馬ということもあり、来年のクラシックには無関係の1頭です。
ニューバリーの最後はワールド・トロフィー World Trophy (GⅢ、3歳上、5ハロン34ヤード)。4頭が取り消して9頭立て。今期4戦3勝と好調の3歳馬、メッカズ・エンジェル Mecca’s Angel が13対8の1番人気。
2番人気(7対2)テイク・カヴァー Take Cover の逃げを先行でマークしたメッカズ・エンジェル、人気に応え、3番人気(6対1)ジャスティス・デイ Justice Day に2馬身半差を付けて見事G戦初勝利を達成しました。更に1馬身半差で最低人気(33対1)のアジャッド Ajjaadd が3着。
マイケル・ドッズ厩舎、ポール・マラーマン騎乗のメッカズ・エンジェルは、前々走フランス遠征でメゾン=ラフィットのリステッド戦こそ5着でしたが、前走ドンカスターのリステッド戦も含めてイングランドでは4戦4勝となります。再度遠征してアベイ挑戦という計画は無いようですが、来年はそこを目指す馬に成長することが期待されます。
さてフランスのロンシャン競馬場でも2鞍のG戦が行われましたが、こちらもマスコミの関心は薄かったようです。馬場は秋らしく雨が降って soft に軟化しています。
シェーヌ賞 Prix des Chenes (GⅢ、2歳牡せん、1600メートル)は7頭立て。実績は無いものの、前走2戦目のドーヴィルで初勝利を挙げたアガ・カーンのシェレク Cherek が6対4の1番人気。
シェレクは3番手を進みましたが、直線はワンペースのまま3着で入線。優勝は中団から伸びた3番人気(18対5)のイヴェイシヴズ・ファースト Evasive’s First 、2番人気(7対2)ドゥ・トレヴィユ De Treville に1馬身半差を付けていました。短首差でシェレク3着。
フレデリック・ロッシ厩舎、フランク・ブロンデル騎乗のイヴェイシヴズ・ファーストは、ローカル競馬でここまで6戦も消化し、4勝を挙げた馬。中央場所もG戦も初挑戦で、見事4連勝を達成しました。沈滞気味の2歳路線に新風を吹き込むことが出来るか?
最後はプランス・ドランジュ賞 Prix du Prince d’Orange (GⅢ、3歳、2000メートル)。現在は3歳限定戦ですが、かつて古馬混合戦だった時代にはここから凱旋門賞を制した馬も出ていた一戦。去年はフランスダービー馬インテロ Intello が勝って話題にもなりましたが、今年はどうでしょう。
1頭取り消して5頭立て。クラシック路線を歩んできたフリー・ポート・ラックス Free Port Lux が4対5の1番人気。
レースはミスター・ポムロイ Mr Pommeroy が逃げ、フリー・ポート・ラックスは丁度真ん中の3番手から。直線、着実に伸びると、最後方から追い込む3番人気(32対5)のボダイ Bodhi を頭差凌いで人気に応えました。4分の3馬身差で最低人気(104対10)のコーリング・アウト Calling Out が3着。
フレディー・ヘッド厩舎、ミケール・バルザロナ騎乗のフリー・ポート・ラックスは、春のトライアルでオカール賞(GⅡ)に勝った馬。そのあと仏ダービーに挑戦するも14着(16頭立て)、パリ大賞典では4着と巻き返し、前走ドーヴィルのギョーム・ドラノ賞(GⅡ)でも2着。話題になっていない存在ですが、凱旋門の可能性もゼロじゃないでしょう。
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