読売日響・第493回名曲シリーズ
8月12日以来でオーケストラ・コンサートを聴いてきました。やっぱりナマのコンサートはいいですね。
《グリーグ没後100年、シベリウス没後50年記念》
東京芸術劇場
グリーグ/2つの悲しい旋律
グリーグ/ピアノ協奏曲
~休憩~
シベリウス/交響曲第2番
指揮/現田茂夫
ピアノ/中村紘子
コンサートマスター/藤原浜雄
フォアシュピーラー/鈴木理恵子
正直に言うと、このコンサートはあまり食指が動きませんでした。本来家内のチケットですから、“今日の読響行かない?”と水を向けたんですが、指揮者とソリストの名前を告げたら、“行かない”と取り付くシマもありません。券を無駄にしてはオケに申し訳ないし、聴き所などを書いた手前もあって、出掛けてきました。
しかしこれ、良かったですよ。
グリーグとシベリウスのアニヴァーサリーがこれだけ、というのは読響さん、少し寂しいのじゃないかしら。まぁ、他のオケも似たり寄ったりかな。
客席はよく埋まっていましたが、満席ということでもなかったようです。人数の割には熱気が乏しいのは暑さのせいでしょうか。
グリーグの弦楽器アンサンブルはアンコールで聴くことが多いので、冒頭に置かれると、何かお葬式のような雰囲気になってしまいます。
悪く言うと固さが感じられますが、良く言えば折り目正しい演奏。丁寧に弾かれていくので、弦の分奏の美しさがよく出ていました。
ピアノ協奏曲はソリストの独壇場。この人の場合、楽譜を彼女なりに咀嚼してしまうので、グリーグの音楽を聴くというより、中村紘子を聴くことになってしまいます。第2楽章などはその典型で、テンポの揺れやアーティキュレーションに付いていけない場面もしばしば、ってオケの話じゃなく、私のことですがね。
中村版グリーグの語り口は、要所をピアノを押し潰すような強音で額縁を作っていきます。最初は“オォ”と感心しても、慣れてくるとその艶歌調が鼻に付いてしまうのでした。
シベリウスは結構聴かせましたね。現田氏は何か特別な表現を持ち込むわけではないのですが、音楽を自然に流していきますから、こちらもリラックスして楽しめました。
変に癖のある表現で面白く聴かされるよりも、オーソドックスに表現することで返って作品の良さが伝わってくる。そういうことだってあるのです。
何よりオーケストラが素晴らしい。金管の安定度など抜群ですし、今日のトランペット首席・長谷川氏、第2・4楽章の弱音のソロは本当に巧かったですねぇ。これだけでも来た甲斐があったというものでしょう。
今日はソロもオーケストラもアンコールはありませんでした。第2交響曲でお腹一杯です。
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