読売日響・第495回名曲シリーズ
今朝の出勤途上、有名なヴァイオリニストと遭遇しました。7時10分頃、溜池山王で銀座線渋谷行きに乗り込んでこられたのですが、名前を思い出せません。メガネをかけた小柄な中年女性。ソリストというより室内楽やオーケストラの中で弾いているのを時々見るんですがね・・・。
まぁ、それは余談。昨日の演奏会の感想です。
読売日響・第495回名曲シリーズ サントリーホール
チャイコフスキー/組曲第2番
~休憩~
チャイコフスキー/歌劇「イオランタ」(演奏会形式、日本語字幕付き)
指揮/ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
コンサートマスター/デヴィッド・ノーラン
フォアシュピーラー/鈴木理恵子
歌手の詳細は読響コミュニティの聴きどころに書いたので省略します。その他のスタッフとして、
副指揮/上野正博
合唱指揮/前田淳
コレペティトール/大藤玲子
ロシア語指導・字幕/一柳冨美子
字幕操作/幕内覚・中村ちひろ
以上です。このコンサート、事前に葉書が送付されてきました。演奏時間が長く、全体で2時間半になるという案内。これ、既に聴きどころに書きましたよ。
東京芸術劇場で13日にも同じプログラムがありましたが、それはマチネーでしたからあまり影響は出ませんが、昨日は月曜日ですから、思わず引いてしまう会員諸氏もおられたようです。
会場につくと、テロップに終了予定は9時45分と表示されていましたが、実際にカーテンコールが終了したのは10時でした。3時間コンサート。
以上のような経緯で、いつもほどには客席が埋まっていません。更には前半だけで帰ってしまった人も少なからず、特にP席は閑散としてましたね。オペラの途中で退席する人も、当然ながらチラホラおりました。
ロジェストヴェンスキー、相変わらずでした。あまりリハーサルに時間をかけていないのでしょう。オーケストラのアンサンブルも完璧というわけにはいきません。演奏精度の緻密さより、音楽の流れ、プレイヤーの自発性を引き出す指揮者です。
これに文句を言う人は、真正プロフェッショナルな弦楽四重奏のコンサートにお出かけなさい、と言いたいですね。クァルテットに比べれば、オーケストラは遥かに大雑把で少ないリハーサルによって本番に入っちゃいます。オペラはそれ以上、実にアバウトな世界と申せましょう。
それでもこれだけの高い演奏レヴェルを維持できた、ということを称えたいですね。もちろん上記の「裏方」さんたちの努力があってこそ。まず第一に、彼等に敬意を表したいと思います。
「名曲シリーズ」と言いながら、殆どの人が初体験と思われる曲目。名曲の「名」は、有名の「名」ではないんでしょう。
この日のチャイコフスキーは、普段この作曲家に対して抱いているイメージをぶち壊すに充分な作品であり、演奏でした。
多少の粗さはあったものの、組曲の楽しさは想像以上でしたし、オペラにおけるポエジーの豊かさは、プログラムにロジェヴェンさん自ら紹介していた通り、最後の感動的な音楽の高まりまで一貫していました。
(私の席からは舞台が近過ぎでよく見えませんでしたが、組曲ではアコーディオンを2台使っていた、ようです。知人に教えていただいた話)
自分で言うのもナンですが、今回はコミュニティの聴きどころが大いに役立ちましたね。組曲にしても「イオランタ」にしても、事前に予習したことが大いに理解を深めてくれました。それでも尚、音楽はナマで聴くもの。CDや素人の楽譜読みでは到底これだけの感動は得られません。
ただし、ですね。
会場のほとんどの聴衆は、当日もらったプログラムと字幕スーパーで初めて概要を知ったはず。いつも思うことだけれど、事前に荒筋や聴きどころ、曲目解説を会員に配布することは出来ないのでしょうか。ホームページに掲載するという手もあるでしょ。欧米のオーケストラなど、どこも普通のプログラム以上の詳しい曲目解説をネットで公開してます。日本のオーケストラのほとんどに言えることですが、インターネットの活用はお粗末としか言いようがありません。
お客さんにも問題ありです。フライング何とかはまだ良い方、昨日は演奏中に私語に夢中なオバサンたち。私語に飽きるとプログラムをごそごそと開いて目障り。オペラは「起承転」の部分は熟睡、「転」では鼾をかいて安眠の様子。漸く「結」でお目覚め。全曲終了、“何か、ストーリーがよく判んなかったわネ”とのたまう。お前、アホか。
もっと酷い奴。最前列に陣取って、オペラグラスで女性歌手を覗くのがいる。これ、実に見苦しいですね。ホール側から注意すべきじゃないでしょうか。
昨日は、歌手たちを普段は木管楽器が並んでいる場所に配置しましたので、歌手たちは指揮者の背中が邪魔になって見えないのです。そういうことを事前に察して道具を持参してくる、などは呆れ果てた所業。
こやつ暫く見なかったので、ヤレヤレ死んだか、と喜んでいた矢先ですよ。
というわけで、音楽の感想はあまり書けません。演奏がつまらなかったのではありませんよ。オーケストラも歌手たちも、知られざる作品をよく手中に収めて、最大限の努力を傾けてくれました。
一人だけ名前を挙げさせてもらえば、ボードモンを歌った経種廉彦。歌を歌う、というレヴェルを超え、音楽を奏でていました。真に素晴らしかったのは、先日の東京音大・フィガロでのドン・クルツィオで体験したのと同質。今後最も注目したい逸材、と見ました。
3時間の演奏時間に辛抱強く付き合った数少ない聴衆も、大喝采で舞台を称えました。マエストロ・ロジェストヴェンスキーも大満足の様子。美女に囲まれていたのが原因ではないでしょう。
最後の最後、この日で退職されるヴァイオリン奏者にも花束が贈られ、ロ翁と客席も大きな喚声で華を添えました。お名前は判りませんが・・・。
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