日本フィル・第643回東京定期演奏会

ブログの日記を書く作業は存外に体力を必要とするもので、9月末から書かなければならない(自分で勝手に決めているだけだけれども)記事が山積み状態。土曜日は法事で家内の実家に出掛けていたため、帰宅してから先ほどまでパソコンと格闘していました。
昨日今日の格闘で何とか纏めた日記は8本。目、腰、肩に負担が掛かります。あ、間違っても知力は問題になりませんから、それだけが救いでしょうか。

ということで、金曜の夜(9月28日)に聴いた次の演奏会の感想もほったらかしのまま。既に印象も薄れてしまいましたが、何を聴いたか位は残しておきましょう。賞味期限はとっくに切れた、3か前のコンサートです。

ブラームス/交響曲第2番
     ~休憩~
ブラームス/交響曲第4番
 指揮/小林研一郎
 コンサートマスター/扇谷泰朋
 フォアシュピーラー/九鬼明子
 ソロ・チェロ/菊地知也

9月定期は日本フィルの新シーズン開始でもあります。開幕は桂冠指揮者・小林研一郎によるオール・ブラームス・プログラム。2回に分けて交響曲全曲が取り上げられると聞いています。

コバケンのブラームス・ツィクルスと言えば、日本フィルでは確か二度目のこと。記録を調べると1999年の4月と12月、その時も1回にシンフォニーを2曲づつ演奏していました。但し前回は1番と2番、3番と4番という組み合わせで、今回とは若干異なります。
私の記憶に間違いが無ければ、前回のチクルスはライヴで収録されてCD化。それを某レコード誌で有名なシカゴの批評家・作曲家のヒューエル・タークィ氏が絶賛していました。詳細は定かではありませんが、当時入手できたブラームス全集では世界水準で見ても最高ランク。時折聞こえる「指揮者発の雑音」が無ければ「ザ・ベスト」のブラームスということでしたっけ。

それから12年、小林マエストロのブラームスは愈々深化の度を深めた、というのが今回の印象です。
もちろん聴き手によって好き嫌いが生ずるのは毎度のことですが、クラシック音楽の場合は作品解釈の微妙な相違を経験するのも楽しみの一つ。ブラームスの場合、マエストロの独特な粘りはむしろ有利に働いていると思慮します。
特に第2番に顕著でしたが、ソナタ形式の第2主題ではテンポが若干落ちる。もちろん楽譜にはそうした指示が無いのがほとんどですが、テンポ・ルバートは自然に発生してくるのが人間の性というもの。変にオリジナルに拘って“譜面に無いから”という理由で素っ気なく処理する現代風演奏よりは遥かに好ましく感じました。

ただ、以前に比べてこちらの体力が落ちてきた所為か、交響曲を2曲タップリ味わうのは相当な疲労感を伴います。2番には集中して全曲を堪能できたのに対し、4番の最後は些か朦朧としてきたのも事実。それだけコバケンの音楽には麻薬的な要素があるのでしょう。

さて今回のツィクルスにCD化の予定はあるのでしょうか。もし世界規模でリリースされたら批評はどうなる? 一昔前とは演奏スタイルの嗜好が大きく変わった現代、この巨匠風ブラームスは受け入れられるのでしょうか。もしかすると、日本でしか聴けないブラームスかも。

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