日本フィル・第235回横浜定期演奏会

久し振りのコンサート、3月最初は日本フィルの横浜定期を聴いてきました。横浜は会員ではないので、単発買い。沼尻竜典/日本フィルによるブラームス・チクルスの3回目です。
敢えてチクルスとは銘打っていないシリーズです。私も第1回(第2交響曲)は気が付かず、2回目(第1ピアノ協奏曲+第4交響曲)をたまたま聴いてチクルスであることを知り、今回も出掛けたわけ。残るは3月東京定期の第2ピアノ協奏曲と4月名曲の第1交響曲です。この日の演目は以下のもの。
第235回横浜定期演奏会 横浜みなとみらいホール
 ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
     ~休憩~
 ブラームス/交響曲第3番
 ブラームス/ハンガリー舞曲集(第1・3・5・6番)
  指揮/沼尻竜典
  独奏/江口有香
  コンサートマスター/扇谷泰朋
いつもフォアシュピーラー席に座っている江口さんがソロのため、今日のフォアシュピーラーは平井幸子が務めていました。
ホームページやチケットを購入した人には事前に連絡があったように、いつもはホワイエで開催されている奥田佳道の「オーケストラ・ガイド」、今回は特別編としてステージ上で行われました。沼尻も参加しての聴きどころ。最後に日本フィルの2番クラリネッティスト・八段悠子(はったん・ゆうこ)と沼尻マエストロによるブラームスのクラリネット・ソナタの第1楽章も演奏されました。事前の予告では第2番ということでしたが、実際には第1番の第1楽章。本日のメイン・第3交響曲がへ長調とへ短調の間を揺れ動く作品ですから、1番ソナタ(へ短調作品で、終楽章はへ長調に解決する)が選ばれたのでしょう。演奏後、奥田氏が再登場して曲目訂正のアナウンスを入れていました。
さて本編、前半のヴァイオリン協奏曲が素晴らしかったですね。この日の白眉。失礼ながらコンサートマスターのソロということで、正直あまり期待していませんでした。しかし江口コンマス、音色はあくまでも柔らかく、かつ美しく、それでいて全奏オケにも負けずによく通ります。
もともとテクニックは立つ人ですから、ブラームスを充分に堪能してきました。
彼女はインディアナに学び、ワシントンやパガニーニ国際コンクールなどで入賞しています。日本フィルのコンサートマスターとしては、一昨年の横浜でゲストとして初登場(同じく沼尻指揮、小川典子とグリーグを演奏した会です)、コンサートマスターとしては異例のスピードで正式に就任した期待の星。
インディアナでは、特に室内楽をヤーノシュ・シュタルケルとジェルジ・シェベックに師事しています。道理でハンガリー風フレイバーたっぷりのブラームスが良いわけです。だからと言って特別に舞曲風なアクセントを強調するわけではなく、あくまでも端正。ソリスト1本で勝負するタイプではありませんが、合わせ物のツボを外さないヴァイオリンです。
珍しくクライスラーのカデンツァを弾いたのも新鮮。プロに伺うと、ヨアヒムより難度が高いそうですが、それを微塵も感じさせない名演でした。
第3交響曲。
日本フィルは、ブラームスと聞いて真っ先に頭に浮かぶオーケストラではありませんね。むしろドイツ物はしっくり来ないオケ。しかし沼尻の奮闘によって、かなりブラームスらしい音を出すようになって来ています。
今回は14型をベースに、コントラバスを1本追加してバスを補強していたようです。反対に管楽器、特に木管はやや音量的に物足りない箇所もあって、バランスとしては不満も。更にトランペット、今回は橋本+中務というコンビでしたが、音色がやや明るく、音のブレンドという点では違和感を感じたのも事実です。
沼尻の第3は、いわば中庸の美徳でしょうかね。感性は現代的なのですが、ブラームス=ロマン派という意識が勝つのか、無理をしてもロマンティックな表現に傾く。
正にこのことが第3を難しくしているポイントであろう、と私は考えてしまいました。こてこてのロマンでは胃にもたれるし、かと言って無表情では物足りない。そこを考えての処理、心より頭が勝った解釈と言えるでしょう。ホント第3って難しい。前回の第4が良かっただけに、鬼門・第3という印象が残りましたね。
ということで、最後のハンガリー舞曲4曲は、シンフォニーのストレスをぶっ飛ばすような燃え方。客席も大いに沸いていました。1番と3番はブラームス自身のオーケストレーション。第5と第6は、恐らくシュメリングのアレンジでしょう。パーロウ編もありますが、大太鼓・シンバル・トライアングルも派手に活躍していましたからね。(パーロウ版は、打楽器はティンパニだけ)
最後に拍手を制したマエストロ、
“今日は特にアンコールを用意していません。そこで今演奏したハンガリー舞曲から1曲アンコールしようと思いますが、皆さんの拍手の多さで曲目を選びたいと思います”
ということで人気投票。私は1番に拍手したんですが、人気を集めたのは5番。ということで、ハンガリー舞曲第5番がもう一度演奏されてお開き。
演奏後、桜木町駅前の「月の雫」で一杯。この演目は金曜日にも埼玉公演があって、その時のアンコールは断然第5に拍手が集中したようです。横浜はどれも拮抗、強いて判断すれば第5だったんですね。埼玉と横浜の聴衆の差、だそうですが・・・。

 

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