明暗分けたフロール賞

今日のレポートは、昨日サン=クルー競馬場で行われたフロール賞 Prix de Flore (GⅢ、3歳上牝、2100メートル)です。以前は3歳牝馬限定でしたが、1981年から古馬にも開放されたシーズン末期の一戦。
heavy の馬場に10頭、3歳馬6頭に対し古馬4頭のメンバー。注目は今年の凱旋門賞で4着に来てファンを驚かせた4歳馬ハヤ・ランダ Haya Landa が出走してきたこと。馬場は同じように極めて重く、距離こそ300メートル短いものの、彼女の成績で今年の凱旋門賞のレヴェルが測れるのではないでしょうか。ハヤ・ランダは3対1の2番人気、これを僅かに抑えて29対10の1番人気に支持されたのは未だ2戦2勝、3歳の新星リル・ウィング Lil’Wing でした。

レースはノビリス Nobilis など3頭が雁行して先頭に立つ流れ、直線に入ると馬群は少しでも馬場の良いスタンド側に進路を取ります。先行馬群をマークして進んだ本命リル・ウィングはスムースに抜け出し、後方から追い込む3番人気(53対10)ラ・パーンテュール La Peinture を4分の3馬身抑えて見事期待に応えました。1馬身4分の1差で最低人気(34対1)のオマナ Omana が3着。
ハヤ・ランダは馬群が外ラチに向かう局面で包まれる不利があったものの、結局は精彩を欠いて6着敗退。やはり今年の凱旋門賞のレヴェルに疑問符が付くのは避けられない結果でしょう。アイルランド(ポール・ディーガン厩舎)から遠征した4番人気(7対1)ミッドナイト・ソプラノ Midnight Soprano は4着、英国(ヘンリー・セシル厩舎、トム・クィーリー騎乗)のアンドロメダ・ギャラクシー Andromeda Galaxy も5着に終わっています。

勝ったリル・ウィングと2着のラ・パーンテュールは共にアラン・ド・ロワイヤー=デュプレ師の管理馬。馬主は違うので(勝馬はウイルデンシュタイン家)チームとしての出走ではありませんが、共に厩舎では期待の遅れてきた3歳馬。この1・2着は内容的にはほとんど差が無く、両陣営とも来シーズンのブレークに期待を寄せています。
ラ・パーンテュールは無傷の4連勝のあとサン=タラリ賞(GⅠ)で4着、その後休養して今回が久々の実戦でした。またリル・ウィングは2歳時は未出走、今シーズンも漸く9月なって地方競馬のシャトーブリアンでデビュー勝ち、続くサン=クルーの条件戦に連勝して3戦無敗となります。
またリル・ウィングは血統も魅力。父ガリレオ Galileo は言うまでも無く、母ルーヴ Louve もリル・ウィングと同じフロール賞(1999年)に勝った馬。今回は母娘ダブル達成の快挙でもあったわけです。更に2代母ルーヴェトリー Louveterie もヴァントー賞(GⅢ)に勝って仏オークスは2着、3代母ループ Lupe も英オークス馬という華麗なファミリーで、近親にもG戦勝馬が目白押し。来年の飛躍が大いに期待されるのも当然でしょう。

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