2010クラシック馬のプロフィール(5)

前日に続いてアイルランド・ギニー馬のプロフィール、今度は愛1000ギニーに勝ったベトラーです。ベトラーと読むかベスラーが良いのか迷うところですが、英愛での実況を聞いても両方あるようで、どちらでも良さそうな感じです。馬名の由来について何の説明も目にしていないので、ここではスペルからベツレヘムを連想して「ベトラー」としておきましょうか。

さてベトラー Bethrah は、父マージュ Marju 、母レーヴ・ディマン Reve d’Iman 、母の父ハイエスト・オナー Highest Honor という血統。

この血統紹介は基本的にレースホース誌の記述を参考にしていますが、ベトラーは2009年版(最新刊)の本体には掲載されていない馬。ここ数年レースホースにはアイリッシュ・サプリメントが付いてきますが、ここに載った短いプロフィールを基に彼方此方調べたものです。調査漏れがあるかも知れないことをお断りしておきます。

母レーヴ・ディマンはフランスで1800メートル戦に勝った馬だそうですが、それ以上のことは判りません。ベトラーはその2番仔に当たります。

レーヴ・ディマンの初仔は2006年生まれのアルレシャ Alrescha という牝馬ですが、この馬の消息も不明。少なくともイギリスとアイルランドには出走記録が見当たりません。確かなことは父がマージュで、ベトラーの全姉であることだけですね。

2代母ヌミーディー Numidie (1988年生まれ、父バイヤモン Baillamont)は12戦2勝。3歳時にエヴリー競馬場で2100メートルのリステッド戦(コシェール賞)に勝った他、2300メートルのレースでも勝鞍があります。

繁殖に上がったヌミーディーの記録を判明した限りで列記しましょう。

1995年 サー・エリック Sir Eric せん馬 父ハイエスト・オナー Highest Honour 21戦5勝
1996年 ハイ・ノルマンディー High Normandy 牡馬 父ハイエスト・オナー 勝馬
1997年 レーヴ・ドスカー Reve d’Oscar 牝馬 父ハイエスト・オナー 10戦1勝
1998年 キュティー・シングルトン Cutie Singleton 牝馬 父ベーリング Bering
1999年 エズ・エルケイル Ezz Elkheil 牡馬 父ベーリング
2001年 レーヴ・ディマン Reve d’Iman 牝馬 父ハイエスト・オナー ベスラーの母
2002年 ヌビアン・ディグニタリー Nubian Dignitary 牝馬 父ハイエスト・オナー
2003年 ヌミード Numide 牡馬 父ハイエスト・オナー 20戦7勝
2007年 カリビアン・シー Caribbean Sea 牡馬 父ガリレオ Galileo

ざっと見てハイエスト・オナーとの配合が多いこと、判った限りでの勝馬は全てハイエスト・オナーの産駒であることが判ります。

中でも1997年のレーヴ・ドスカーと2003年のヌミードの2頭はパターン・レースの勝馬で、ヌミーディーの繁殖牝馬としての名前を後世に伝えることになるでしょう。

レーヴ・ドスカー Rev d’Oscar は1勝馬ながら、その勝鞍は仏オークスのトライアル戦であるサン=タラリ賞(GⅠ)。本番の仏オークスでは4着でしたが、秋のヴェルメイユ賞で2着、ジャパンカップにも参戦したことで日本にも馴染の馬となりました。(このときはティエムオペラオーが優勝)

このあとレーヴ・ドスカーはそのまま日本で繁殖生活に入り、青葉賞に勝ったアプレザンレーヴを出していますが、この件に関しては、去年の仏2000ギニー馬シルヴァー・フロスト Silver Frost に関連し、ハイエスト・オナーの産駒を紹介した際に触れました。↓
まさか再度触れることになろうとは思っていませんでしたね。

http://merrywillow.blog35.fc2.com/blog-entry-1156.html

また2003年のヌミード Numide は仏ダービーのトライアルの一つであるオカール賞に勝ち、仏ダービーは5着と健闘しています。

ベトラーの3代母ヤムーナ Yamuna (1981年生まれ、父グリーン・ダンサー Green Dancer)は、やはりフランスで走り1600メートルと1800メートルの小レースの勝馬。

更に4代母のヨーヴィル Yeovil (1974年生まれ、父サー・ゲイロード Sir Gaylord)の別の娘ヤング・ホステス Young Hostess は、フランスでロワイヤリュー賞、コリダ賞、フィーユ・ド・レール賞などパターン・レースに3勝した女牝ファビュラス・ホステス Fabulous Hostess を出しています。

以上ざっと見た限りでは、1マイルを上回るスタミナに恵まれた牝系と言えるでしょう。
実際ベトラーのこれまでの成績を見ると、距離が延びるに従って結果も良い方向に出ています。1マイルのクラシックを制した余勢を駆ってアイルランド・オークスに向かえば、クラシック・ダブルを狙える血統ではないでしょうか。

日本で活躍しているレーヴ・ドスカー共々、今後の仔出しに注目したい牝系ですね。

ファミリー・ナンバーは1-p 。

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