強かったファミリー・ワン

フランスも愈々夏競馬のシーズンを迎えますが、ドーヴィル競馬場の開催が始まる直前、メゾン=ラフィット競馬場で行われたパターン・レース2鞍をレポートしておきましょう。

最初にロベール・パパン賞 Prix Robert Papin (GⅡ、2歳牡牝、1100メートル)。せん馬には出走権の無い2歳戦です。馬場状態は、英国式に言えば good to soft 。
出走馬は、牡馬3頭に対し牝馬2頭の5頭立て。前走ボア賞(7月3日、GⅢ)を快勝したファミリー・ワン Family One が3対5の断然1番人気に支持されています。

レースは唯1頭英国から挑戦したベアー・ビハインド Bear Behind の逃げ、前日キングジョージで金星をあげたウイリアム・ビュイックの騎乗です。しかしここはナサニエル Nathaniel のような具合には行かず、4着敗退。
好位を追走したイオリッツ・メンディザバル騎乗の本命ファミリー・ワンが楽に抜け出し、2着ルーヴ・ルージュ Louve Rouge に3馬身差を付ける圧勝です。3着にはゲートインを嫌いながら鋭く追い込んだマック・ロウ Mac Row が短首差。

ファミリー・ワンを管理するヤン・バルべロ調教師は、“前走より強かった。見ていて鳥肌が立ったよ” と厩舎開設以来のスター誕生に興奮気味です。もちろん馬としても厩舎としても初めてとなるGⅠ制覇をモルニー賞で目指す予定。
同馬はこれで5戦4勝2着1回、パターン・レースは2連勝で、目下のところフランスの最強2歳と目される存在でしょう。

続いてはユジェーヌ・アダム賞 Prix Eugene Adam (GⅡ、3歳、2000メートル)、仮にメゾン=ラフィット大賞典とも呼ばれている3歳戦です。
8頭立て。英国からは2頭が遠征してきました。6対4の1番人気は、G戦未勝利ながら4戦2勝2着2回、前走ダフニス賞(GⅢ)2着のヴァリール Valiyr 。ロワイヤー=デュプレ厩舎、アガ・カーンの地元馬です。

しかし優勝は英国から参戦した83対10のピスコ・サワー Pisco Sour 、ジミー・フォーチュン騎手の巧みなペース配分で逃げ切ってしまいました。このレースは2000メートルの直線コース、容易なことでは逃げ切れるレースではありません。
2着以下はゴール前で混戦となり、審議が行われましたが入線通りで確定。2着は4分の3馬身差でグラスヴェーギアン Glaswegian 、3着は頭差でゴスデン/ビュイック・コンビのコロンビアン Colombian の順。コロンビアンは2番手に付けていましたが最後の叩き合いで不利があり、アンラッキーでした。

ピスコ・サワーを管理するハギー・モリソン師は同馬を後方から追い込む方が適していると考えていましたが、スペンサー騎手が進言、行く馬がいなければ先に行った方が能力を出せるということで今回の逃げ切りに繋がった由。モリソン師はスペンサーの好判断を讃えてしました。
ピスコ・サワーはダービー9着、前走ロイヤル・アスコットのハンプトン・コート・ステークス(GⅢ)に続くパターン・レース連勝です。

なお、このレースにはディープインパクト産駒のバロッチ Barocci も出走(26対1の最低人気)していましたが、ゴール前で前が塞がる不利があり7着に終わっています。本命ヴァリール(6着)とはハナ差でした。

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