創意工夫のチャーチル・ダウンズ
10月28日、チャーチル・ダウンズ競馬場が秋開催初日を迎えました。11月25日までの21日間、短期開催となります。
初日の昨日は「明日のスター」と題された一日で、11レース全てが2歳戦というユニークなプログラム。G戦は2鞍が組まれ、特に牝馬によるポカハンタス・ステークスには新たな創意工夫が盛り込まれていました。
そのポカホンタス・ステークス Pocahontas S (GⅡ、2歳牝、8ハロン)は、fast の馬場に8頭立て。新馬戦に勝っただけながら、デビューで2着を11馬身4分の3差切って捨てたサイン Sign が4対5の1番人気に支持されています。
スタートでやや出遅れ、後方3番手を進んだサインでしたが、直線では思い切って内に切れ込み、ラ・ソング La Song との先行争いに競り勝ったギャル・アバウト・タウン Gal About Town (4対1、2番人気)に4馬身差を付ける圧勝。更に1馬身4分の3差でクラウディ―・ヴュー Cloudy View が3着。
サインはアルバート・ストール厩舎、ロージー・ナプラヴニク騎乗、これで2戦2勝となりますが、馬群を縫うように抜け出した脚は2歳牝馬らしからぬ所がありましたね。今後も注目の1頭です。
ところで冒頭に紹介した「創意工夫」ですが、このレースは「ケンタッキー・オークスへの道 Road to the Kentucky Oaks」と題された一戦で、来年のケンタッキー・オークスへの出走権が掛かっていました。即ち来年のオークスはポイント制で出走権が与えられる仕組みで、選択されたのは全部で35レース。うち20レースには1着から4着までに夫々10-4-2-1ポイントが加算。選択レースが終了した時点での獲得ポイント上位14頭に出走権が与えらるのだそうな。
サインはポカハンタスを制して10ポイントを獲得、現時点では第6位のポイント数となるようです。次走は11月4日、同じチャーチル・ダウンズのゴールデン・ロッド・ステークス(GⅡ)を予定していますが、これもポイント対象レース。来年5月3日のオークス本番までに何ポイント獲得できるか、アメリカ競馬は日々変化しているようですね。JRAも馬券ばかりでなく、レースの仕組みにも付加価値を付ける工夫があって良いのではないでしょうか。
続いては牡馬のためのイロコイ・ステークス Iroquois S (GⅢ、2歳、8ハロン)。こちらにはポイント制は導入されていないようです。何と言ってもケンタッキー・ダービーですからね、やはり伝統的なローテーションが優先されるのでしょう。
10頭立て。9対5の1番人気にはフューチュリティー・ステークス(GⅡ)を制したオーヴァーアナライズ Overanalyze が推されていました。ブリーダーズ・カップに行っても勝ち負けになる存在ですが、敢えてBCを蹴ってニューヨークからこちらに遠征してきたのには理由がありました。それはオーナーであるマイク・リポール氏が、ラシックス(鼻出血防止のための薬物)使用を禁止する今年のBC(サンタ・アニタ)をボイコットしたから。チャーチル・ダウンズでは薬物使用が許可されているため、出走全馬がラシックスを服用しての参戦となりました。
レースは伏兵(80対1)ロード・エージェント Road Agent が飛ばし、オーヴァーアナライズは4番手追走。しかし直線で抜けたのは、前半6番手に付け、徐々に進出して3番手で直線に入った4番人気(9対2)のアンキャプチャード Uncaptured 。終わって見れば2着2番人気(5対2)のポジティヴリー Positively に5馬身半差を付ける圧勝でした。更に2馬身半差で漸く本命オーヴァーアナライズが3着。
マーク・カッセ厩舎、ミゲール・メナ騎乗のアンキャプチャードは、カナダで一般ステークスを3連勝したあとカナダのGⅢ戦グレイ・ステークスでは1番人気になりながら不利があって5着だった馬。カナダのポリトラック・コースでは最強2歳と評判でしたが、アメリカでもその力量を披露。ここまで6戦5勝、唯一の敗戦は不利によるものという戦績です。
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