戻ってきた栄光

先週末のヨーロッパは、ニューマーケット競馬場での二つのクラシックで賑わいました。普通なら明け月曜日は一休みなのですが、昨日はフランスとアイルランドでパターン・レースが組まれています。
アイルランドは5月の第一月曜日がメーデーと決まっているそうですが、フランスは何でしょう。5月1日が土曜日だったので、日本のように振替休日なんですかね。

そのフランス、シャンティー競馬場で行われたのはアレ・フランス賞(GⅢ、4歳上牝、2000メートル)。前日のニューマーケットに組まれていたダーリア・ステークス同様、古馬牝馬の早過ぎる繁殖入りを阻止するために新設されたレースですね。共に1970年代前半を沸かせた名牝2頭の名を冠したレース。

今年のアレ・フランス賞は12頭が出走、38対10の1番人気に支持された4歳馬シェミーラ Shemiyla が期待に応えて優勝しています。
2着は首差でスーパースティション Superstition 、3着に短頭差でラ・ブーム La Boum が入る大接戦でした。

シェミーラに騎乗したのは、2000ギニー騎手となったばかりのクリストフ・ルメール。後方に待機し、大外から素晴らしい末脚でゴール寸前先行馬を測ったように差切りました。

1・2着は共に今シーズン絶好調のアラン・ロワイヤー=デュプレ師の管理馬、デュプレ厩舎のワンツー・フィニッシュです。
このレースは2004年創設ですが、デュプレ師はこれが3勝目。2004年のプライド Pride 、2009年のシェミマ Shemima に続く2連覇でもあります。騎乗したルメールはこのレース初制覇。

シェミーラはこれまで7戦して3着以下無しという堅実な馬。今後の活躍が楽しみな一頭です。
また2着したスーパースティションも鋭い末脚を使いましたが、ペースがスローに流れたことと大外を引いた枠順(12番枠スタート)が不利だったことが敗因。展開次第では逆転もありでしょうか。

因みに5着に入ったフルール・アンシャンテー Fleur Enchantee のデイヴィー・ボニラ騎手から2着のジェラール・モッセ騎手に対して進路妨害の抗議が出されましたが、審議の結果着順通りで確定しています。

アイルランドに飛びましょう。こちらはカラー競馬場で3つのパターン・レースが行われます。

先ず愛2000ギニーのトライアルとなるテトラーク・ステークス(GⅢ、3歳、7ハロン)。7頭立ての少頭数ながら出入りの激しい競馬になりました。

スタートでエルーシヴ・アワード Elusive Award が大きく出遅れ。ペースがスローに落ちたため、エルーシヴ・アワードは10馬身ほど開いた他馬との差を一気に追い上げ、更には本格的にレースが始まった地点では先頭に立ってしまいます。
しかし追いつくまでに脚を使ったのが堪え、急速にバテて後退。代わって最後の1ハロンで先頭に立ったフリー・ジャッジメント Free Judgement が、ダイナスティー Dynasty の急追を短頭差抑えて優勝。
3着は4分の3馬身遅れてザヤーン Zayaan 。

デビュー戦の内容の良さから1番人気(3対1)に支持されたアズナヴール Aznavour は、逃げたものの後半は失速して6着惨敗。
無敗馬ハシエンダ Hacienda も注目された1頭でしたが、4着に敗れています。

勝馬はジム・ボルジャー厩舎所属、ケヴィン・マニングの騎乗。
ボルジャー/マニングのコンビは、このレースを2007年のクリーチャドワール Creachadoir 、2009年のヴォーカライズド Vocalised で制しており、4年間で3勝という相性の良さ。

フリー・ジャッジメントは2歳時にキュラヴラン・ステークス(GⅢ)に勝っていましたが、レパーズタウン2000ギニートライアルで凡走(6着)、この日は10対3とオッズを落としていました。
この日はやや不得手な渋い馬場での好走、当然ながら時期的に良馬場が期待できるアイルランド2000ギニーを狙います。

続いてはアイルランド1000ギニーのトライアル戦、アサシ・ステークス(GⅢ、3歳牝、7ハロン)。
こちらは12頭と頭数が揃いました。3対1の1番人気を集めたのはコークでのデビュー勝が鮮やかだったロリー・フォー・ドリー Lolly For Dolly

勝負所では7頭が横一線になる混戦となりましたが、落ち着いて中団から進んだ本命馬が若さを見せつつも抜け出し、追い上げるフェイマス Famous に2馬身差を付けて人気に応えました。
3着は1馬身4分の1でダッチス・オブ・フォックスランド Duchess Of Foxland 。

ロリー・フォー・ドリーはトミー・スタック厩舎、鞍上はウェイン・ローダン。
この馬はアイルランド1000ギニーに登録がありませんが、3万ユーロ以上の追加登録料を支払ってもクラシックに挑戦する由。3歳デビューとスタートは遅れましたが、2戦2勝の負け知らずは不気味な存在となるでしょう。

また2着フェイマスはオブライエン/ムルタのコンビ。前走トライアル(レパーズタウン1000ギニートライアル)は11頭立て10着と大凡走でしたが、今回は希望の見えた2着好走。当然ながらこれもクラシックを目指す予定。

オブライエン/ムルタ・コンビがニューマーケットでの無念を晴らしたのが、ムーアズブリッジ・ステークス(GⅢ、4歳上、1マイル2ハロン)。
5頭立て。前走で大本命ながら3着に敗れたフェイム・アンド・グローリー Fame And Glory が、汚名を挽回すべく登場してきました。

今回、オブライエン厩舎はディクシー・ミュージック Dixie Music をペースメーカーとして使い、万全の態勢で臨みます。

厩舎の思惑通り、ディクシー・ミュージックが速いペースで流れを作ります。4番手の内を進んだムルタ騎手が3ハロン地点で馬にゴーサインを出すと、あとはフェイム・アンド・グローリーの独り舞台。3対10の圧倒的1番人気に応えての復活です。

2着は5馬身離されてリチャージ Recharge 、更に2馬身半遅れて3着にガリレオズ・チョイス Galileo’s Choice の順。

栄光を取り戻したフェイム・アンド・グローリー、次なる目標は5月23日のトトソルズ・ゴールド・カップ(GⅠ)ですが、某ブックメーカーは早くも凱旋門賞に12対1のオッズを出していますね。

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