フェスタ サマーミューザ 2010
毎年恒例、ミューザ川崎シンフォニーホールでサマーミューザが始まっています。今年で5年目でしょうか。
去年まではオーケストラ・セット券で足繁く通っていましたが、今年は自身の中にマンネリ感が生まれた所為で、聴くのは一公演だけです。それが、これ。
東京都交響楽団
ガーシュイン/パリのアメリカ人
ガーシュイン/ラプソディー・イン・ブルー
モートン・グールド/アメリカン・シンフォネット第2番
バーバー/序曲「悪口学校」
指揮/キンボー・イシイ=エトウ
ピアノ/小川典子
コンサートマスター/矢部達哉
前日までは猛暑続きでしたが、昨日は一転して雨模様。暑さは一段落しても湿気が纏いつきます。ホールの中は空調が効いていて(時に効き過ぎるほど)快適、ということもあって、12時からの公開リハーサルにも参加してきました。
(本番は3時からなので、その間の暇潰しが億劫ではありましたが・・・)
この日ゲットしたのは2階中央の最後列(6列)。リハーサルは自由席とのことでしたから、1階中央最後列で席による響きを比較してみました。
結論を先に言うと、ミューザは1階よりも2階の方が良い。1階では、例えば大太鼓の音などが座席に振動として伝わってくるのが気になりますし、音も拡散し勝ち。
対して2階ではオーケストラ・サウンドが纏まって響くし、ソロとオケのバランスもベスト。それでいて舞台が遠いというもどかしさが皆無なのが、このホールの素晴らしさでしょう。
プログラムにも紹介されていましたが、ヤンソンスとゲルギエフの間で一番音の良いホールはキタラかミューザかで議論になっているとか。
ラトルもベルリン・フィルハーモニーの改造をミューザ設計者に依頼したいそうですし、ミュンヘンの新しいホールもミューザを手本にするのだとか…。
何度か聴いた経験では、ミューザの2階中央最後列が世界最高の音響水準。クラシック音楽を聴きにわざわざ外国に出かける必要は無いでしょうな。
あとは当ホールがもっと聴きたい曲目で、もっと数多くコンサートを開いてくれること。稼動率、演奏曲目に魅力が無いのが不満です。あまりにも名曲に偏り過ぎる。
さてリハーサル。今回はいわゆるゲネプロで、プログラムを全て演奏順に全曲演奏し、何箇所かを指揮者の指示で確認するという形でした。従って本番を2度聴いたような感じです。
ラプソディー・イン・ブルーのあとで、小川典子がイシイ=エトウにインタヴューするというオマケもあります。
12歳で渡欧したマエストロ、リハーサルは日本語で通していましたが、所々外国語も混じります。小川の質問に、“ドイツ語が母国語。女性と喋る時は専らドイツ語です” と流暢な日本語で応えていました。
初めて聴いたはずのグールド作品でしたが、第2楽章が馴染あるメロディーでビックリ。子供の頃によく聴いた曲ですが、どこで聴いたのか記憶にありません。コマーシャルに使われたのか、テレビ番組のタイトルで流れたのか、懐かしさの極み。何十年振りかで学友に出会ったような不思議な感覚でした。
本番だけ聴きに来た家内に確かめたら、何と、やった(演奏した)ことがある、と言うではありませんか。
帰宅してからダニエルスを開いてみたら、「有名なパヴァーヌは第2楽章」という記載がありました。他に別のオーケストレーションも存在するとかで、ブラスバンドや学生オケでは良く演奏されるのかも知れません。(出版譜はカーマス社とべルウィン社のものがある由)
先のインタヴューでは、イシイ=エトウはグールド本人の前で当曲を演奏したことがあるとのこと。マエストロの思い入れのある一曲なのでしょう。
ということもあって、演奏は断然、後半の2曲が素晴らしいと思いました。オーケストラも絶好調で、特にヴァイオリンのアンサンブルは見事。イシイ=エトウの指揮も元気一杯でシンフォニックな演奏に特徴があります。
アンコールのアンダーソン(Plink, Plank, Plunk)もユーモラスと言うよりは、活き活きした演奏。
もちろん小川のガーシュインも圧巻でしたよ。
休憩が無く短めな選曲、あまり聴く機会の無いアメリカ作品を含んだプログラム、ということで私にも大いに楽しめたコンサートでした。
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